コラム
公開日:2019.03.29
6次産業化や法人化など、農業分野にも「経営」の知見が必要な時代になってきています。しかし、独学するにも何から学べばいいのか悩みます。また、世の中は日々変化していますので最新の情報を知っておきたいものです。
そこで今回は農家が「経営」について学ぶことができる制度、「農業経営塾」についてご紹介します。
農業経営塾とは農林水産省が行なっている事業で「高度な経営力や技術力等を習得し、今後の農業界を牽引する優れた経営感覚を備えた担い手の育成を図ることを目的」とした研修です。
基本的にはすでに就農している農家さんが対象です。各道府県の農業大学校が運営主体となっていますので、参加資格は各運営主体によって異なります。
具体的な研修内容も各道府県によって異なりますが、マーケティングや組織運営、資金計画などの農業経営全般を勉強することができます。
料金は有料ですが、他産業の経営者や税理士、コンサルタント等が講師・アドバイザーとなっており農業経営を勉強したい農家さんにはおすすめです。
基本的には農閑期や夕方以降など、農家の皆さんが参加しやすいように工夫されています。年間通して農作業で忙しく全講座を受講できない方も、“行ける時だけ行く”というスタンスでも良いかもしれません。
受講料について各地域で異なりますが農林水産省の事業のため、おおよそ年間で0円〜20,000円程度と格安です。マーケティング等の民間の経営講座を受講するともっと高いのでかなりお得な料金設定と言えるでしょう。
基本的には農家さん対象ですが、地域によっては営農指導員なども参加している場合があります。また、マーケティング等の講師と直接話しをする機会が増えるので幅広い人脈を形成することができます。6次産業化に取り組む農家など、自分で販路を作らなければならない農家にとって人脈形成は最も重要な仕事の1つと言えるでしょう。
農林水産省は平成30年新たに「農業経営の改善・発展のための基本ツール」として新たな農業経営指標を公表しました。現状の経営状況を把握し、改善につなげるためのチェックシート等があり、シートに従いながら必要事項を記入することで経営分析ができるというものです。
農業経営を両親から継承する方や田畑の移譲から農業経営をスタートする方等は、現状分析から農業経営を始めることが重要です。これらの農業経営指標は農業経営塾などにも使われる可能性があるので、予習をしておくと良いでしょう。
ライタープロフィール
【uen01】
1反のハウスで夏秋ミニトマトの養液栽培(不織布ポットを利用した少量培地栽培)を行なっています。
元営農指導員のベテラン農家指導のもと、様々な実証実験を行いながら生産しております。元金融マンというバックグラウンドを生かして、数字に基づいた栽培及び経営を行なっています。