コラム
公開日:2018.03.07
植物の維持・生長に欠かすことができない元素は16種類とされています。
※肥料ごとの詳細、特徴は以下の表を参照ください。
図のように、この中で何れかの養分が不足するとその不足したレベルの生育、収量しか得られないということが知られています。
※養分律:図の例ではリン酸施用の不具合で収量が減少しています。実際は養分の過不足ばかりでなく、温度、湿度、手入れ、病害などトータルでの管理が生育・収量に影響を及ぼしています。養分もバランスよく与えることが大切です。
一般的な土耕栽培の場合、土の化学性(肥料養分の含量、バランス、pH、肥沃度、養分保持力など)を分析し明確に管理することで(物理性も含めて)その作ごとの土壌改良内容、施肥量の対応をすることが大前提です。人間ドックと同じように毎年適正な状態を確認するつもりで実施してください。
最近は養液土耕栽培、養液栽培など機械的に肥料養分をコントロールする事例が増加し、適切に処方された液肥でコントロールができるので生理的な障害も減少しつつあるようですが、逆に与えられる肥料のみで生育することから、少しでも処方やタイミングを間違うと直接的な障害につながっています。土壌を介する栽培の場合は根の健全性は土の状態に大きく影響を受けますので、有機物施用含めた土づくり、pHの調整など基本的な管理は引き続き重要です。
ざっくりした言い方ですが、有機肥料は植物などを材料として製造された肥料で、無機は植物に吸収されやすい状態(窒素でいえば硝酸態窒素、アンモニア態窒素)のものを化学的に製造されたものをいいます。
中にはその急激な肥料効果を緩和するように、極めて穏やかに肥料分が溶出するように加工してあるものもあります。(被覆尿素など)これらは地温や土壌水分によって肥料の溶出速度が制御され、科学的に有機肥料のような優しさを持つものもあります。
近年は必要な養分を必要な時に適宜供給するという養液土耕栽培、溶液栽培が普及しています。これは人間でいうと健康な人がサプリと流動食で生活をするようなもので、効果が確実な半面、施用量や時期、タイミングを間違うと、直接的に悪影響が出る可能性もあります。養液栽培の場合は調整された液肥を使う場合と市販の単肥を調合して供給する場合があります。最近では日射の強弱で生育可能な速度を考慮し、空気の状態から蒸散速度を予測して水と肥料を的確に施用する技術も普及しつつあります。