コラム
公開日:2019.07.09
日本でトマト程好まれている野菜はないでしょう。タキイ種苗の「2018年度 野菜と家庭菜園に関する調査」によるとトマトは10年連続で好きな野菜1位に選ばれており、「トマトに関する意識調査」では85.0%もの人が「トマトが好き」と答えています。
需要の高いトマトですが栽培しようと思った時に悩ましいのが品種選びです。トマトの品種は世界で8000種類以上あり、日本だけでも100種類を超えます。生食用か加工用か、サイズは大玉かミニか等々。
そこで今回はトマト栽培初心者の方向けに品種の選び方や失敗しない栽培方法についてお伝えしたいと思います。
生食用と調理・加工用に適した品種があります。多くの品種は生食用です。加工用トマトは農林水産省の規格がありほとんどは契約栽培で露地栽培されています。ハウスなど施設栽培の場合には生食用の品種を選ぶと良いでしょう。
大玉、中玉(ミディ)、小玉(ミニ)に分けられ、150g以上のものを大玉、40g以下の物をミニ、その中間をミディと呼んでいます。果実が小さい程栽培は容易ですが収穫に手間がかかります。
有名な品種として大玉では病気に強くて育てやすい「桃太郎」、やや育てにくいものの野菜らしい味わいが人気の「ファーストトマト」などがあります。ミディでは同サイズの中では糖度が高く育てやすい「フルティカ」、ミニでは育てやすく多収の「千果」、裂果が少なく病気に強くい「アイコ」などが有名です。
果実の色の2大系統は赤色系とピンク色系です。赤色系は濃い赤色で皮が厚く香りが強い傾向があります。加工用の大玉、「フルティカ」、「千果」、「アイコ」などは赤色系です。ピンク色系は薄い赤色で皮が薄く「桃太郎」や「ファーストトマト」など生食用の大玉トマトはピンク系です。他にも黄、オレンジ、緑、黒、茶、白、しま模様など様々な色があり「イエローアイコ」や「オレンジ千果」などミニトマトは色のバリエーションが豊富です。珍しい色のトマトは付加価値を付けて売ることが可能です。
最近はフルーツトマトと言われるような高糖度トマトが人気です。フルーツトマトという品種があるわけでは無く水ストレスを与えるなど栽培管理で糖度を8以上に高めます。技術を要しますが付加価値が高く高値で販売されています。「桃太郎」や「千果」、「フルティカ」などがフルーツトマト向きの品種です。
育てたい品種が決まったらしっかりと栽培方法を調べて栽培計画を立てることが重要です。栽培方式は培地耕かNFTか、培地はロックウールかヤシガラか、何段採りかといったことを決めていきましょう。栽培時期は適期を守り、適切な潅水や農薬肥料の散布を行い、株の生育に応じて支柱で支えたり誘引したりし、腋芽かきを行います。着果率を上げるにはトマトトーンの散布なども重要です。
ここまでは栽培の基本なのでイメージできない場合は要注意です。県の農業試験場や篤農化さんなどへ相談や研修に行き基本を身に付けてから栽培に臨みましょう。栽培の成功率が格段に上がりますよ。
沢山の品種があるトマトですがサイズや色、人気などから育ててみたい品種を絞っていきましょう。トマトの就農支援に力を入れている自治体は沢山あるので栽培に不安がある場合は相談に行かれることをおすすめします。
▼参考サイト
●タキイ種苗株式会社、〔インフォメーション〕2018年、8月31日は 【野菜の日】!「2018年度 野菜と家庭菜園に関する調査」
<http://www.takii.co.jp/info/news_180809.html>
●タキイ種苗株式会社、〔インフォメーション〕2018年、10月10日は【トマトの日】、<タキイ種苗「トマトに関する意識調査」>
<http://www.takii.co.jp/info/news_181002.html>
▼参考資料
●一般社団法人全国トマト工業会、加工用トマトのはなし、(最終更新日:平成31年1月21日)
ライタープロフィール
【haruchihi】
博士(環境学)を取得しています。
持続可能な農業を目指し、有機質肥料のみを使ったトマトや葉菜類の養液栽培を研究してきました。研究機関やイチゴ農園で働いた後、2児の母として子育てに奮闘する傍ら、家庭菜園で無農薬の野菜作りに親しんでいます。