コラム

アブラムシ撃退対策!農薬がいいの?無農薬がいいの?

公開日:2018.05.01

1.農薬の使用量、減らしたいですよね

皆さんはアブラムシ対策、どうされていますか?
雌成虫のみで驚異的な速さで増えるアブラムシ、広範な被害が予想されます。


農薬を使えば簡単に駆除できますが人や農作物に対する事故の可能性はゼロではありません。また安易な使用は薬剤抵抗性獲得の原因となります。農薬使用の有無は発生状況や栽培規模などの条件によって様々だと思いますが、使わずに済むなら使いたくないという人も多いのではないでしょうか。

農薬の使用量を減らすにはどうしたらよいのでしょう。そこで今回は農薬使用も含めた病害虫防除の方法についてみていこうと思います。

2.使わない頃にはもう戻れない?農薬の絶大な効果

そもそも農薬以外にはどのような防除方法があるのでしょうか。

病害虫の防除方法は、耕種的防除物理的防除生物的防除化学的防除の4つに大別されます。

これだけ様々な方法があると、農薬って要らないのでは?と思ってしまいそうです。
ですが平成2~4年頃に行われた調査では、農薬を全く使わない場合キュウリの収穫量は60.7%減少すると報告されています。農薬の威力の一端が伺えますね。この調査から30年近くが経った現在でも農業現場において無農薬栽培が難しいことは皆さんご存知の通りと思います。

3.諦めるのはまだ早い、最新のIPM関連技術で減農薬

そうなるとやはり農薬に頼るしかないのか、と堂々巡りに陥りそうですが農業技術は日々進歩しており新しい技術が生まれ続けています。

例えば最近ではアブラムシの天敵として飛ばないテントウムシが商品化されたり、アザミウマの忌避資材として赤色系防虫ネットが商品化されたりするなど、高い防除効果を持つ資材が開発されています。


  • ▼テントウムシを活用したアブラムシの駆除方法はこちら


このような資材を用いた技術はIPM関連病害虫技術と呼ばれています。
農薬を減らすことは農林水産省も推奨しており、総合的病害虫・雑草管理(IPM : Integrated Pest Management)としてガイドラインが設けられています。IPMの歴史は長く一言で説明することは難しいのですが、今回に限っては様々な方法を駆使して化学農薬の使用量を減らすことと思って貰えれば十分です。


各農業研究機関では今現在もIPM関連技術の研究・開発が進められています。

既に体系化されたIPM関連技術情報はインターネット上の「JPP-NET 病害虫防除技術関係情報 IPM 関連情報リンク集」から簡単に見ることができ、都道府県ごとの情報を知ることができます。もちろん「ミニトマト IPM」と作物名から検索しても沢山の情報が得られます。資材情報だけでなく、効果的な使い方も知ることができますよ。


個人で無農薬、減農薬栽培に取り組むことは大変ですが、国を挙げて新技術の研究・開発をしてくれているとは何とも心強くありませんか?ぜひIPM関連情報を参考にしてくださいね。



※この記事の参考文献
農林水産省(平成17年)総合的病害虫・雑草管理(IPM)実践指針
日本植物防疫協会編 (1993) 農薬を使用しないで栽培した場合の病害虫等の被害に関する調査報告. 日本植物防疫協会.



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ライタープロフィール

【haruchihi】
博士(環境学)を取得しています。
持続可能な農業を目指し、有機質肥料のみを使ったトマトや葉菜類の養液栽培を研究してきました。研究機関やイチゴ農園で働いた後、2児の母として子育てに奮闘する傍ら、家庭菜園で無農薬の野菜作りに親しんでいます。








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