コラム

月の満ち欠けが作物に影響を与える?~月のリズムに合わせた栽培方法~

公開日:2019.03.19

みなさんは月の満ち欠けが農作物に影響を与えていることをご存知でしょうか?
農作物の成長や害虫の発生には月の満ち欠けが大きく関わっており、トマトやキュウリなどの野菜は満月の前後に収穫するとより美味しくなると言われています。
詳しくは後述しますが、これは昔の人が農業で活用していた手法であり、農法の1つとして実績があります。そこで今回は、「月のリズムに合わせた栽培方法」をご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

1.月の満ち欠けは農作物の成長に影響を与える

太陽は植物が光合成するために必要な光を与えてくれるので、日照時間を気にすることも多いと思います。しかし、月の満ち欠けも太陽と同じように農作物の成長に大きく関わっていて、昔の人は太陽の動きだけではなく、月の動きや満ち欠けを観察しながら農作物を育てていました。
その栽培方法は、月の形によって水やり・肥料の配分などの農作物に行う作業を変えるというものです。

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月の周期は、上弦の月・満月・下弦の月と移り変わります。
同様に、農作物の成長過程も常に一定ではなく、月のリズムによって変化します。
例えば、上弦の月の期間(7日~15日前後)は、農作物の成長速度がピークよりも落ちます。そして、満月の期間(15日~22日前後)では、成長速度が急速に上昇。下弦の月(22日~1日)には、また成長が緩やかになります。 このため、この月のリズムを利用すると、根元への追肥は新月~上弦の月の間、液肥の葉面散布は上弦の月~満月の間に行うと良いということになります。

月の周期に合わせて生育が変化するので、その期間に適した肥料を与えることで“作物を安定して育てることができます。

2.農業経験者も要チェック!害虫対策も月のリズムから行える

ウミガメの産卵は満月の日が1番多いという事例があるように、生物の発生周期にも月の満ち欠けが関係しています。そうなると、月の満ち欠けの観察によって生育の効率化だけではなく、害虫の脅威からも農作物を守れるかもしれません。
害虫の幼虫は、満月の3日後に孵化すると言われているため、その時期に合わせた農薬の散布は効果的な害虫防除として期待できそうです。

3.バイオダイナミック農法は効率的に行う手段のひとつ!

このような月の満ち欠けに沿った栽培方法は「バイオダイナミック農法」と呼ばれています。月の周期によって栽培方法を変化させたり、害虫対策を行う農法で、ドイツの人智学者“ルドルフ・シュタイナー”によって提唱されました。
この農法の特徴の1つに、月や太陽の引力の影響を考慮し、種まきや肥料の配分、収穫の時期を決めるというものがあります。他にも、科学肥料や農薬は使わず雄牛の角や糞、タンポポやカモミールなどの天然成分を調合した調合材だけを使うなど、すべて自然のものから使うという考え方もあります。
1970年代から広まり始めた「バイオダイナミック農法」。ドイツの老舗ワイナリー「ヅヴェルベリッヒ」はこの農法を実践した結果、質の高いブドウから美味しいワインを作ることに成功し、数々の賞を受賞しました。ワインの世界ではとても有名な農法です。
今でもヨーロッパを中心として世界各地で「世界最高の有機農法」として実践されています。今後注目される栽培方法かもしれません。




肥料を与えるタイミングや農薬散布の日を決める際に、月の満ち欠けを参考にしてみてもよいかもしれませんね。
最近では月の満ち欠けや月齢情報をわかりやすく教えてくれるアプリもあります。気になる方はチェックしてみてください。


  • ▼月齢 農作業適期カレンダー

ライタープロフィール

【施設園芸ドットコム 編集部】
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