コラム
公開日:2025.10.10
2025年10月1日~3日に幕張メッセにて開催された農業week2025東京(@幕張メッセ)に行ってきました! 今回も編集部注目の商品やサービス、資材をご紹介していきます。展示会に行った方も、行けなかった方もぜひチェックしてみてくださいね!
目次
今回の農業WEEKは、記念すべき第15回開催ということで、常設展とは別に「15周年記念コラボイベント」が開催されていました。
先進的農業法人や自治体がビジネスモデルや成功事例を共有する【ファームデザイン&ディベロップメントフォーラム2025】、施設園芸の最前線を学べる【施設園芸フォーラム2025】など、見逃せないセミナーが目白押し。
さらに、機器の実演を見たり、操作体験ができる【スマート農業タッチ&トライ2025】は、幕張メッセから少し離れた豊砂公園で開催されていました。
広い会場内には、トラクターやドローンのほか、人の運搬作業を補助するロボットも展示されていました。荷物を載せたまま人や台車の後ろを追従する運搬ロボットは、農業現場の人手不足解消や労力の削減に役立ちます。対象物の際を正確に捉えた鋭い走行が印象的でした!
ここからは編集部が出会った新商品や注目商品をご紹介します。
タキゲン製造株式会社のブースで「イチオシ商品」として紹介されたのが、今年1月に発売された農薬散布機『K-699-T』です。
農家さんのご意見を集約して開発した商品とのこと。実はタキゲン製造、100年以上前から鍵や取手を製造してきたメーカーで、農業分野への参入は15年ほど前。だからこそ、同社が開発する農業商品はすべて“農家の声から生まれている”そうです。
『K-699-T』は、ハウス内に設置したレール上をボタンひとつで自動走行しながら散布するため、農薬散布の労力を削減することできます。
散布のタイミングは「往路・復路・往復」から選ぶことができ、走行スピードもつまみで簡単に調整できるため、誰でも扱いやすい仕様です。
散布ノズルはノズルに合わせてアタッチメントを製作するため、従来の散布ノズルをそのまま再利用することができる点も魅力。本体が軽いため、力に自信がない方でも移動がしやすく、編集部も簡単に動かすことができました。
定価は90万円。省力化補助金を活用して導入することもできます。
※補助金の詳細は地域によって異なるため、各自治体へお問い合わせください。
株式会社イーズといえば「ぐっぴーバズーカ」。言わずも知れた農業用ヒートポンプです。
そんなイーズのブースでは今回、除湿効果バツグンの「ぐっぴーバズーカEX」が展示されていました。
従来のぐっぴーバズーカと比較して、熱交換器が2倍搭載されたEXは除湿量が大幅にアップしました。そのため設置スペースが限られたハウスでも、「ぐっぴーバズーカEX」ならば、1台で2台分の能力を発揮します。倉庫や保管庫の熱中症対策としても採用されているそうです。さらに風力が強い「ぐっぴーバズーカLX」はあまりに風力が強いため、通路や観光農園向きとのこと。
農業ハウスの暑さ対策や作物の高温障害対策が大きな課題となっている昨今、夏場のヒートポンプ活用を検討してみるのも良いですね。
「真夏でもおいしいイチゴが生産できる!」「イチゴの周年栽培システム」の文字が目を引く三菱重工のブースを訪れました。
2021年に試験導入を開始し、昨年正式販売を開始したイチゴの周年栽培システム。市場での取引量が激減する6~11月の夏秋期に栽培・収穫するいわゆる「夏イチゴ」を栽培するシステムです。グループ会社の菱重工エンジニアリングと共同で、ヒートポンプ空調によってイチゴ栽培に適した温度環境を作り、夏秋期でも甘くて大きい高品質なイチゴを安定的に収穫することができます。
ハウスの施工から設備まで一貫対応。既設のハウスを持っている場合は、中の設備だけを提供することも可能とのこと。四季成りイチゴの中でも「よつぼし」や「夏のしずく」の実績が多くあるそうです。
まだ新しいシステムですが、生菓子の総合メーカーシャトレーゼも導入。京都の大規模農園や、島根県にもシステムを導入した試験ほ場があり、見学も可能。一年を通して安定的に高品質のイチゴを生産できることで、今後イチゴ業界が盛り上がるのではないかとの期待が高まっています。
シンフォニアテクノロジー株式会社のブースでは「セミクローズド温室」のジオラマが展示されていました。
一般的なビニールハウスは外気を積極的に取り入れる構造ですが、セミクローズド温室は名前の通り“半閉鎖型”のハウスです。外気を極力取り込まずにハウス内の空気を循環させる構造がポイント。害虫の侵入を防ぐほか、光合成速度等を計測することで高濃度のCO2施用が可能になり、光合成を促進。作物の高品質化・高収量が期待できます。
夏場は内気循環をさせつつ天窓を開けることで、上部の温かい空気だけを抜くことができ、ハウス内が涼しくなります。トマトの実証試験場では、見学者が口をそろえて「ここが一番涼しい!」と驚くそうです。
セミクローズド温室は、「知の拠点あいち重点研究プロジェクト」において、愛知県および科学技術交流財団の支援を受け、豊橋技術科学大学と共同で開発された、国内初の生体情報活用型温室です。
光合成速度などの生体情報を計測するシステムと、複合環境制御システムを統合したハウスで、光合成が最適な状態で行われ、高品質な農作物の生産と収量の向上が期待されています。
株式会社イケックスのブースでは、片手&ワンタッチで梱包できる「イタマーズ キャップ」が注目を集めていました。果実をのせると、一瞬で果実を包み込む形状に変化します。
ブースでは、イチゴ、シャインマスカット、モモ、リンゴの偽果で体験することができました。ひとつひとつ手作業だった梱包がワンタッチで簡単にでき、作業効率が大幅に向上できそうです。
ディーアイシージャパン株式会社は、カーボンオフセットを「見える化」するアプリを開発し、100%グリーン電力のブースでコーヒーやお茶を無料提供していました。
スマホで注文するとCO2削減量が表示されます。アイスコーヒー1杯で約2kgのCO₂が削減できたようで、ちょっといいことをした気分になりました。数値化することで環境への意識が高まり、生産者と消費者が一緒に脱炭素に取り組める新しいシステムとして、直売所などへの導入拡大が期待されます。
以上、今年は15周年ということで、例年よりも盛り上がった農業WEEK2025のレポートをお届けしました!
セミナー会場では、以前施設園芸ドットコムのオンラインセミナーで登壇いただいた農林害虫防除研究会 常任幹事(元会長)の山本 敦司さんが、農業WEEKで「人と環境にやさしいIPM技術で、上手な病害虫防除をしよう!」をテーマに講演されていたため視聴しました。改めて、IPM防除についての知識が深まりました!
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ライタープロフィール
【施設園芸ドットコム 編集部】
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