コラム
公開日:2020.12.04
農村ののどかな風景とは裏腹に、最近は農作物の盗難がニュースを賑わせています。被害の当事者にならないために、わたしたちはどんなことに気をつければいいでしょうか?
この記事では、作物や農機具を守るための防犯対策についてお伝えします。
家畜や果物、野菜、米、トラクター、ミツバチの巣箱など、全国で様々なものが盗難被害にあっています。たとえば、2020年の4月中旬には群馬県太田市で、ビニールハウス1棟から収穫直前のホウレンソウが姿を消しました。また、8月末の北海道砂川市では、ビニールハウスからミニトマト100キロが盗まれました。ハウスだけでなく、畑や倉庫などでも被害が発生しています。
農業分野での窃盗被害については、そもそもきちんと統計が取られていないのが現状ですが、新型コロナウイルスの流行後に被害が増加したのでは?という声もあるようです。
せっかく丹精込めて作った野菜や果物が、ある日突然なくなってしまったら。金銭的にももちろんそうですし、精神的なショックも大きいですよね。
では、盗難を防ぐにはどのような方法があるのでしょうか?
●防犯グッズの導入
●農家の防犯意識を高める
という2つの視点から見ていきたいと思います。
1つ目に有効なのは、防犯グッズを導入することです。監視カメラやセンサーライト、サイレン、鍵などさまざまな道具があるので、状況に応じて選択します。設置場所については、泥棒が侵入しやすいドアや窓の付近が望ましいでしょう。
たとえば次のようなものがあります。
常夜灯としてもセンサーライトとしても使用することができます。泥棒は照明に照らされるのを避けたがりますし、夜間でもハウスに電気が点いていれば「誰かいるのかな?」と警戒させることができます。
LED人感ライト LCL-37/竹中エンジニアリング株式会社
現場にはインターネット環境がないことが多いと思いますが、どこでもカメラはモバイルを内蔵し、携帯電話の電波を使用することで遠隔地の様子を監視することができるのが強みです。「監視カメラ作動中!」のステッカーなどと合わせるとより効果的です。
この他にも、音で威嚇するものやスマホのアプリで操作できるものなど、色々な種類のものがあります。
前提として、農家自身が危機感を持つことがとても重要です。
戸別の農家さんレベルでは、
●収穫物や道具などは現場に置き去りにせず、こまめに撤収する
●作業車両に「○○農園」などのステッカーを貼る
●「農薬散布直後」の看板設置
などの工夫が考えられます。
また、地域として防犯に取り組むことも重要なポイントです。
●生産者同士の情報共有を行う
●防犯パトロールを行う
●注意喚起のチラシ作成
などの取り組みを行うことで、地域全体として盗難被害を抑制することができます。
何が起きるか分からない世の中、用心するに越したことはありません。被害に遭ってからでは遅い防犯対策、しっかりと取り組んでいきましょう。
▼参考資料
〇農作物の盗難の実態と対応策,農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/seisan/ryutu/engei/attach/pdf/tounan-1.pdf
ライタープロフィール
【内村耕起】
宮崎県の牛農家生まれ。大学院で植物工場での廃棄物利用に関する研究に従事したのち、全国の農家を訪ね歩いてファームステイ。岩手県の自然栽培農家で2年間の農業研修を経て、現在は宮崎県の山間部の村で自給的農業を営む傍ら、ウェブライターなどもしています。