コラム

4年ぶりの東京開催【GPEC2022】注目の出展ブースを取材!持続可能でステキな未来型農業へ

公開日:2022.07.29

こんにちは、施設園芸ドットコム編集部です!7月20日~22日に東京ビックサイトで開催された「施設園芸・植物工場展2022 GPEC」を取材しました!
東京での開催が4年ぶりとなるGPECは今回で7回目。今年も160社以上の出展社が集う夏の一大イベントです。2022年のテーマは「持続可能でステキな未来型農業へ」。ハウスの設備や資材をはじめ、ロボット、AI、IoTなどの最新技術を導入したスマート農業が盛り上がりを見せました。まさに、最先端の技術や考え方を学べる絶好の場!今回は全国各地から2万9千人以上の来場者が集いました。展示会に行けた方も、行けなかった方もぜひ本記事で最新情報をチェックしてみてください。



1.今注目の吊下げ式のピーマン自動収穫ロボット

高齢化と人手不足の問題を抱える農業界で、期待が高まっている「収穫ロボット」。GPECで注目を集めたのはAGRIST(アグリスト)株式会社が開発した吊り下げ式ピーマンの自動収穫ロボット『L(エル)』

「私たちの収穫ロボットの特徴は“吊下げ式”というところです。ハウスの中に張ったワイヤーを移動しながら自動でピーマンを探して収穫するので、既存の栽培方法を変えずに導入できる点がポイントです。実際に来場いただいた生産者のみなさんも吊下げ式に注目していました。」(アグリスト:秦さん)

吊下げ式のメリットは、地面を平らにしたり、レールを敷いたりする必要がないこと。1日かけて10aのハウス内を収穫ロボットが回る。「本体重量18キロ」と見た目以上に軽量なので、持ち運びも可能。追加でワイヤーを張ればそれ以上の広さにも対応できる。 もう一つ注目するべき点は「収穫するハンドの部分」。ハサミでカットするのではなく、ベルトで巻き取るように収穫していく。ヘタの部分を短く切る「2度切り」ができるため、人が収穫するのと同じような高いレベルで収穫できる。また、“L果を収穫することで着果負担を減らし、収量を伸ばす”のは、農家と共に開発した収穫ロボットならではの特長だ。

「宮崎県の農家さんにピーマンの特性を教えてもらったところ、ピーマンのL果だけを収穫していくことが最適だと考えました。ロボットの形がL型なのもありますが、“L規格だけを収穫していく”これも商品のネーミングにつながっているところです。」(秦さん)

今回、来場した生産者からは、具体的な使い方やコスト感などを聞かれることが多かったそうだ。それは導入のハードルが高いと思われていた収穫ロボットが、より生産者の身近になってきた証拠ではないかと秦さんは語る。
「今までは動画等で発信してきましたが、今回実物を見ていただいた方々から『けっこう採れるんだね!』と嬉しい声を聞くことができ、私たちの自信にもつながっています。」

「このロボットは比較的低コストで導入できます。今後どういった形で生産者のみなさんに商品・サービスを提供していくか、色々な声を聞いて取り入れていきたい」(秦さん)


今回の展示会で集まった生産者の生の声が、これからの製品開発にも反映されていく。





●来場できなかった方へのメッセージ

今回は東京での開催ですが、宮崎県でも現場視察ができるので、ぜひ気軽に見に来てください。




■ 収穫ロボット『L』は2022年10月よりリリース

2.遠隔モニター&操作が無料!?次世代型ハウスカオンキ

ハウスカオンキ累計販売台数30万台以上を誇るネポン株式会社は、2023年度発売予定の「つながる次世代型ハウスカオンキ」を出展。

「従来は、ハウスカオンキの設置場所まで行って燃焼時間を確認したり、送風ファンを手動でONにしていたため、手間と時間がかかっていました。そこで、スマホのアプリでモニタリングや遠隔操作をできるようにバージョンアップしたのが今回の『次世代型ハウスカオンキ』です。だれでも楽に・便利にスマホで操作、環境配慮をコンセプトに開発しました」(ネポン:中原さん)

従来のハウスカオンキと変わらない値段で通信機が搭載される上に、「警報」「機器の状態をモニタリング」「ちょこっとリモコン(遠隔操作機能)」、この3つの機能が専用アプリを通して無料で使用できる。

ネポンのハウスカオンキといえば「オレンジ」のイメージが強いが、今回の「次世代型ハウスカオンキ」は見るからに高級感のある白いカオンキだ。 「より生産者の方に高級さを感じていただきたいと思いホワイトカラーを選びました。ハウスの中で光というのは非常に重要な指標となりますので、少しでも光を反射できたらという思いもあります。また、蓄熱しづらいため、昼間の熱を夜にもっていかないというメリットもあります。」(ネポン:安藤さん)

来場した生産者からも好評。
「毎日の作業を省力化して、もっと利益を生むために時間を使っていただきたいとお伝えすると、みなさん共感してくださいます。何より無料で使えるところが嬉しいポイントのようです。」(中原さん)

昨今の燃油代高騰の問題については、
「ハウスカオンキそのものが化石燃料に頼らないようにすることと、燃焼のデータをもとに燃費をよくすることを提案することが、脱炭素につながる」(安藤さん)と語る。

“データを取って見える化”は、もう見飽きたという生産者も多いが、取得したデータに基づいて“改善ポイントまでを見える化”出来るのは、施設園芸のノウハウを持つネポンの強み。従来のハウスカオンキを使用している方も、コントローラー部分を交換をすれば通信機が搭載され、アプリが使用できるようになる。(※1)

また、コンセプトである「脱炭素・環境配慮」についても注目したい。

今回お披露目された「次世代型ハウスカオンキ」はA重油だけではなく、ガス燃料への燃料転換もできるようになり、CO₂が15%削減できる。従来のハウスカオンキを使用している方も、これから発売される新型バーナーへの交換だけで燃料転換ができる(※1)。 さらに、「次世代型ハウスカオンキ」の上に電気で動くヒートポンプ「誰でもヒーポン」を2台搭載すれば6~7割の熱量を出せる(※2)ので、燃料の消費量を3分の1まで落とすことができる。重油代+電気代のランニングコストがかかるが、トータルすれば2~3割の燃料費が削減できる。(※2)

ハイブリットカオンキでもある「つながる次世代型ハウスカオンキ」は、まさに環境配慮を考えて開発された、脱炭素に貢献する新時代のハウスカオンキだ。

(※1)対象にならない場合があります。詳しくはメーカーにお問い合わせください。

(※2)削減量は使用条件により異なります。





●来場できなかった方へのメッセージ

「つながる次世代型ハウスカオンキ」の特設WEBサイトも開設したので、オンラインとオフラインを組み合わせて商品の価値を伝えていきたいと思っています。「つながるハウスカオンキ」ですので、ぜひみなさんとつながっていきたいです。




■ 『つながる次世代型ハウスカオンキ』は2023年4月販売開始

3.葉の萎れをAI×画像で検知!自動かん水制御システム

株式会社クボタが開発した新商品「Hamirus(ハミルス)」は植物のしおれをカメラで検知し、画像解析を行いながら自動で潅水を行う装置。植物の状況を目でみて水を与えていた生産者の「目」になってくれる。実際に試験導入先の農家からも「ハミルスに任せられるようになったことで、精神的な負担が減った。休日も取りやすくなった」という声があったという。画像は1分に1枚撮影され、細かな萎れも見逃さない。

「しおれ率は生産者さん自身で設定してもらえます。朝一番で水を与えた後のしおれていない元気な葉を100%として、“しおれ度90%で水を与える”といったような設定をします。いつも生産者さんが目でみている葉のしおれ具合を数値化します。」(クボタ:谷口さん)

撮影した画像はAIを使って画像処理し、グラフ化される。0.1%単位でしおれを検知できるのは驚きだ。まさに人の目ではわからないほど細かい管理を画像×AIが叶えてくれる。




●来場できなかった方へのメッセージ

今までクボタでは次世代のスマート農業技術の開発に力を入れてきました。今後も施設園芸の技術開発をすすめ、生産者のみなさんが楽になれるよう貢献していきたいと思っています。




■ 自動かん水制御システム『Hamirus』は2022年10月リリース

4.各ブースが見どころ満載!新商品・新サービスが続々

展示会は新商品・新サービスのお披露目に絶好の場。他にもたくさんの新商品や新サービスが展示されていました。



霧のいけうちは、自慢の霧を利用した噴霧水耕システム「イケウチポニックス」を出展。養分を含んだ霧を特殊なスプレーから噴射し、水ストレスを与えて根を発達させる。節水や液だまりがないのが特徴。 野菜の機能性成分を安定的に増加させることで、ストレス軽減、血圧の上昇を抑える機能があるといわれているGABAを含んだトマトが作れることが実証された注目のシステムだ。



遮光ネットの老舗メーカー、日本ワイドクロスでは、新商品の内張りカーテン白くまや、プレミアムワイドスクリーンを展示。価格上昇が止まらない今、従来品に近い品質で農家さんがお求めやすい価格を提供。



鋼鈑商事(株)のブースでは新商品「ハイブリットUVB-LED光源」を展示。独自技術により、紫外線の高い透過率を実現した特殊な筐体の開発に成功し、商品化。病害予防のLEDと太陽光の波長に近い白色光源を同時に照射することで、病害防除と生育の促進が同時にできるようになった。




3日間で2万9千人以上が来場したGPECは大盛況のうちに会期を終えました。新商品や新サービスが続々登場し、脱炭素・持続可能な農業へのさらなる新しい道を開く、活気あふれた展示会でした!

取材動画

▲画像をクリックすると動画が再生します。

ライタープロフィール

【施設園芸ドットコム 編集部】
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新しいイベントの企画やコラム記事の執筆、農家さんや企業様の取材を行っています。みなさんに喜んでいただけるような企画を日々考案しています♪









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