コラム
公開日:2018.09.27
圃場を見てみると、同じ作物を栽培していてもマルチシートを使っている所とそうでない所があることに気が付きます。マルチシートを使っている人たちは、どのような目的で使用して実際どのような効果があるのでしょうか。
マルチシートは主に次のような目的で利用されます。
マルチの下に光が入らないので、雑草が育ちません。
日光を吸収して地温を上げたり、逆に日光を防いで上昇するのを防いだりします。
マルチで守られているため害虫の侵入を防ぎます。また雨が降っても水が跳ね返らないので糸状菌による病気の予防になります。
降雨による用土や肥料成分の流出を防ぎます。また、水分が蒸発しにくいので土が乾燥するのを防ぎ、かん水の手間を省いてくれる効果があります。
雨に濡れて土が固まるのを防ぎます。土が湿度を保っているため常に柔らかい状態が保たれます。
マルチシートは色、材質など種類があり、季節や用途に応じて使い分けます。 色別の効果は以下の通りです。
最もメジャーな黒のマルチシートは光を吸収するため地温を上げる効果があります。また、遮光されるので雑草を防ぐのに効果的です。しかし、日光を受けると熱くなりすぎるので暖かい時期の使用は避けましょう。
光を通す透明マルチは黒マルチよりも地温を上げる効果があります。夏場は藁などを敷いて内部が蒸されるのを防げば一年中使用することができます。
シルバーマルチは光を反射するためスリップスやアブラムシなど害虫が飛来するのを防ぐ効果があり夏場の使用に適しています。また、下から上へ光を反射するので作物の色づきがよくなるといった利点がありますが光を透過するため雑草の抑制効果は高くありません。
白黒マルチは白い面で光を反射させて害虫の飛来を防止し、黒い面が遮光するため地温の上昇を抑制する効果が抜群です。地温が上昇するのを防ぐため夏場のマルチングに最適です。 また、光をほぼシャットアウトするので高い雑草抑制効果が期待できます。 冬場の地温を確保したい時期には裏返して黒い面を表にしてマルチングすれば地温を確保できるため、使い勝手が非常に良いマルチシートです。
収獲が終わったらそのまま土中で分解される素材のマルチシートもあります。
片付けの労力を削減できますが、資材コストが高いうえ、保管中に濡れたり衝撃を与えるとマルチが劣化します。また、完全に分解されるまでには時間がかかり、畑にすき込むと敗れた破片が風で飛び散ってしまうなど取り扱いが難しいのがデメリットです。
それぞれの特徴と使い方を押さえて、作物に最適なマルチシートを選びましょう。
ライタープロフィール
【Sandersonia(サンダーソニア)】
花とスケートボードを愛するフリーライター。サンダーソニアとは好きな花の名前。
IoT技術による農業生産の革新と農協改革の今後に関心を寄せる。花屋、JA営農指導員を経て独立。生産から流通、花束やフラワーアレンジメントまで花の知識ならお任せを。