コラム
公開日:2025.02.12
年間を通して人気のイチゴ。果菜類の中ではトマトに次いで二番目に消費者需要が高い品目ですが、国内のイチゴ栽培は90%以上がクリスマス需要に狙いを定めた「促成栽培」(通称:冬イチゴ)です。
その理由として、イチゴは高温環境に弱く花芽がつかないことが多いため、6月~10月の夏秋期は収量・品質が低下するなど栽培が難しい点が挙げられます。
実際に夏秋栽培(通称:夏イチゴ)が適している地域は冷涼な気候である長野県や北海道、東北地方です。
しかし、夏場に最適な温度管理ができれば全国どこでも夏秋栽培に挑戦でき、年間を通してイチゴ栽培できるようになります。
そこで今回は、夏場の高温対策に最適なイチゴ栽培システム「断熱送風栽培槽DN-1」の仕組みや、年二作栽培に成功したイチゴ農家の導入事例をご紹介します。
△イメージ画像
夏イチゴの最適栽培温度は18度から25度です。
しかし、現実的には夏季にハウス内をその温度にすることは不可能です。ハウス内が高温になると、イチゴの花粉が機能低下を起こし、着果不良や奇形が多く発生するといった高温障害を引き起こします。
また、葉やランナーに発生する炭疽病や萎黄病といった病気の発生にも注意が必要です。
△提供:ヤンマー
一般的にビニールハウス内の高温対策は天窓や側窓、遮光カーテンの開閉、遮熱資材の設置などによって行いますが、夏場の最高気温が35度を超えることが多くなった昨今、今までの方法では夏場の温度管理がますます難しくなってきました。
ヒートポンプの冷房機能を使う方法もありますが、ハウス内全体を冷やすためには多くの電力を消費します。
そこで注目したいのが群落部分へのダイレクト空調です。
株元へピンポイントに冷風を送ることで、群落部分の温度を効果的に下げることが可能になります。冬場は株元の加温にも利用できる点も大きなメリットです。
年間を通してハウス全体の空調を管理する一般的な栽培方法と比較すると、イチゴが生育する上で必要な部分へのダイレクト空調は管理コスト、ランニングコストの両面から見ても大きな魅力となります。
△夏季7月の圃場の様子(提供:ヤンマー)
ヤンマーの「断熱送風栽培槽 DN-1」は群落部分の温度を効果的に管理できる栽培システムです。
ヒートポンプと栽培槽を組み合わせて使用します。
発泡スチロール製の高設栽培ベンチで、培地を入れるプランター部の横に「送風経路」を設置。ヒートポンプから栽培ベンチの下部にある通風ダクトを通り、冷風 ・温風を株元へダイレクトに送ることができます。
△断熱送風栽培槽DN-1イメージ図(提供:ヤンマー)
オプションのCO2発生装置を接続すれば、CO2の局所施用も可能です。
△ヤンマー資料より抜粋
実際に外気温が36.9℃、ハウス内が38℃に達した酷暑日でも、花部(群落上部)は31.5℃以内に抑えることができました。
△ヤンマー資料より抜粋
必要部分のみ空調するため、省エネ効果も期待できます。また、冬場の暖房使用時も、株元をダイレクトに加温できるので、暖房の燃料費削減にもつながります。
△真岡市のほ場(提供:ヤンマー)
一年を通して花芽形成し、開花・結実をする四季成り品種であっても、高温によって上手く結実せず、夏場は廃棄果が増加します。
酷暑(8月)期に生育比較(※1)をしたところ、一般栽培法で生産した夏イチゴは廃棄果が8割以上発生しましたが、「断熱送風栽培槽 DN-1」を導入した圃場では廃棄果が1割程度に押さえられています。
イチゴの群落部を集中的に冷房することで、収量の増加や秀品率がアップする結果となりました。
※1:ヤンマーでのフィールド試験による
△左)断熱送風栽培槽設置の様子,右)定植の様子(提供:ヤンマー)
「断熱送風栽培槽 DN-1」を導入した栃木県真岡市のイチゴ生産者は、冬期に一季成り品種の「とちおとめ」「とちあいか」、夏期に四季成り品種の「なつおとめ」を栽培し、年2作栽培に挑戦。
10ヶ月もの長期にわたる「10ヶ月栽培」が実現しました。
△参考:ヤンマー資料(クリックで拡大)
イチゴの生育や果実の大きさに影響する温度管理。効率的な温度管理が実現すれば、イチゴ農家・生産法人にとって夏季の収入源が生まれるきっかけになるかもしれません。
高温対策、収益向上、年間を通した売り上げと雇用の確保など先々を見据えて、安定した生産能力をサポートする栽培設備を検討してみてはいかがでしょうか。
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ライタープロフィール
【施設園芸ドットコム 編集部】
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