コラム
公開日:2018.10.10
除草剤や殺虫剤、農薬を散布する時にあると便利なのが動力噴霧器。動噴(動力噴霧器)を使用すると作業効率が格段に上がるため、うまく使いこなしておきたいところです。
しかし動噴には様々な形状のノズルがあるため、用途に合わせてノズルを交換する必要があります。そこで「用途に合わせたノズルの選び方が分からない」人のために、今回は動噴ノズルの種類について解説していきます。
噴口が一つのタイプで、背負い式の噴霧器はほとんどがこの単頭ノズルになっています。
背負い式は基本的に低圧なので、シャワータイプなど水圧が弱い噴霧パターンが多いです。
散布する範囲が狭い場所に向いており、薬液のロスが少ないというメリットがあります。
噴口が2個以上ついているノズルのことを多頭口ノズルといいます。
広範囲へ同時に噴霧できるので均等で効率の良い散布ができ、作物への薬剤散布に適しています。
複数個所から噴霧されるため水圧が弱く、農具等の洗浄には向きません。
広範囲へ拡散するのではなく、細く遠距離へ散布できるタイプが鉄砲ノズルです。水圧を変えて飛距離を調整することができます。
基本的に高圧なので、近くの作物へ使用すると傷つけてしまう危険性があります。
高木の果樹など、通常のノズルでは薬液が届かない高い場所への散布に適しています。
通常の動噴ノズルよりも薬液の粒子が大きく、風で飛散しにくいタイプです。
ドリフトしにくいので除草剤の散布に適しています。飛散しにくい特徴を利用して、少し離れた場所への薬剤散布にも使うことができますが、粒子が大きいので丁寧に散布しないとムラが出てしまうことがあります。
ノズルの種類だけではなく、噴霧される拡散パターンにも種類があります。
薬液が扇状に拡散します。主に多頭口ノズルはこの広角タイプが使われています。
また、通常の広角よりもやや粒子が大きくドリフトしにくい新広角という拡散パターンもあります。
広角のように拡散しますが、円錐パターンは広角よりもやや角度が狭く噴霧されるのでよりピンポイントに散布することができます。
円の外周部のみ噴霧されるパターンと円の中まで噴霧されるパターンがあります。
直射されるノズルなら遠距離まで散布することができます。
しかし、水圧が高いので作物を傷つけないように注意して使いましょう。
作業を行う際は、ドリフトで周囲の圃場や環境へ被害を与えないように天候に注意しましょう。
風が強いと薬剤が飛散し、雨が降っていると用水路等へ流出してしまう危険性があります。
また、ノズル部分がしっかり接続されているか、パッキンが摩耗していないか、薬液を浴びる心配のない服装であるかなど、周囲と機械、自分の安全を確保して作業しましょう。
ライタープロフィール
【Sandersonia(サンダーソニア)】
花とスケートボードを愛するフリーライター。サンダーソニアとは好きな花の名前。
IoT技術による農業生産の革新と農協改革の今後に関心を寄せる。花屋、JA営農指導員を経て独立。生産から流通、花束やフラワーアレンジメントまで花の知識ならお任せを。