コラム
公開日:2018.03.07
まず土壌が酸性寄りになっている原因が「アルカリ成分が少ない」からなのか「酸性成分が多い」からなのかを確認します。逆に土壌がアルカリ寄りの場合も「アルカリ成分が多い」からなのか「酸性成分が少ない」を確認します。アルカリ分としては「カルシウム、マグネシウム、カリウム、アンモニア」、酸性成分としては主に「硝酸態窒素」です。そこがわかれば対応は明確です。不足する成分を適正量の範囲で増施用することとなります。
酸性寄りの場合はカルシウム資材(石灰資材)、アルカリに傾いている場合は(あまりお勧めしませんが)硫黄資材で矯正します。実際のアルカリ土壌の矯正は土壌表面のみの症状であることも多いため、天地返し、土壌の入れ替え、客土、アルカリ資材の投入を最低限に抑え年月をかけて矯正する方法などが現実的です。
酸性土壌矯正に関連する考え方です。
土壌が酸性でありながら酸性成分(主に硝酸態窒素)が適正範囲以下の場合
⇒アルカリ成分が不足しているということになります。
⇒カルシウム資材を増施することになります。
必要なカルシウム資材の量は「炭酸カルシウム」を基準に計算すると以下の表のようになります。
※しかし、酸性の矯正目的のみで石灰を投入すると「カルシウム過剰」となりバランスを崩し、他の成分吸収を邪魔することになってしまいます。処方箋の「カルシウム施用指示量」を守り投入しましょう。
【例】分析の処方箋でカルシウム適正値に対して100mg/100g不足していた場合
⇒カルシウム分100kg/10a相当(注)の石灰資材を投入することになります。
(参考)土壌分析値の単位は○○mg/100gですが、これはそのままkg/10アールに置き換えられます。10mg/100g=10kg/10アール
(注:ここでまたややこしいのですが、例えば炭酸カルシウムは100kg施用しても、別の成分を除いた正味のカルシウム成分は53%なので53kgとなります。⇒100kgのカルシウム補給にはおよそ200kg弱の炭カル施用が必要になります。)
苦土石灰など別の製品であれば正味のカルシウム分、マグネシウム分は様々ですので以下の表を参考にしてください。
【参考文献:最新農業技術 野菜Vol.7(農文協)】
まず参考にするのは、地域の「作物ごとの施肥基準」です。これを基準に土壌分析の処方箋と照らし合わせて、とくに「窒素量」を調整します。
・硝酸態窒素の分析値が10mg/100g未満であれば基準通りの施肥で構いません。
・作物にもよりますが、硝酸態窒素が20~25mg/100gを超える場合無施肥とします。