コラム

夏の暑さ対策!遮光カーテンを使ってハウスの温度を上手に下げるコツ

公開日:2020.06.02

夏になり猛暑が続くと、ハウス内の温度が上がって作物に高温障害を引き起こします。生育不良や病気などが発生するため、これらを防ぐにはハウス内の暑さ対策が必要になります。
主な暑さ対策として、遮光ネットや遮光カーテン、遮光塗布剤などの遮光資材を使っている方も多いと思いますが、中には「遮光カーテンを使っているのに上手く温度が下がらない…」と感じている方も多いのではないでしょうか?

そこで、今回は農業改良普及員の深田先生に、「遮光カーテンを使って上手にハウスの温度を下げる方法」を聞きました!

1.ハウス内の温度が上手く下がらない…その原因とは?

遮光カーテンを使用しているのに、ハウス内の温度が上手く下がらない時、よくある原因として「遮光カーテンの選定方法と張り方がハウスに合っていない」という可能性があります。まず、遮光カーテンには「熱線遮断型」「熱線反射型」の2種類あります。



「熱線遮断型」…カーテンのフィルムで赤外線を遮っているため、カーテン自体に熱をため込んでしまい、ハウス内の温度はあまり下がらない。
「熱線反射型」…フィルムが赤外線を反射して熱線を外に逃がすため、カーテン自体が熱を持ちにくく、暑さ対策に最適。



「熱線遮断型」の方が安価なため導入し易いですが、ハウス内の温度が1~2℃程度しか下がらず、遮光していない状態と変わらないことがあります。 このような場合は、「熱線反射型」を使用して遮熱できているか確認する必要があります。

遮光カーテンの選定を誤ると、温度を下げるために遮光カーテンを設置したしたはずなのに、“遮光だけされて、肝心な遮熱が出来ていない”ということになりかねません。光が遮られてしまうと、植物は光合成が出来ず、生育にも悪影響を及ぼすため、注意が必要です。



2.オススメの熱線反射型の遮光カーテン

遮熱を目的とする場合、カーテンが熱を持ちにくい「熱線反射型」の商品がおすすめです。




「明涼®」/日新商事(株)

ポリエチレンに特殊な添加剤を含有させ、太陽光の赤外線をカットさせることでハウス内の温度上昇を防ぐ高温対策シートです。光合成に必要な可視光線を可能な限り透過させ、熱源となる赤外線は反射します。耐候剤を添加しており、耐久性に優れています。遮光率は4種類あり、作物によって選べます。


可視光線透過型高温対策シート「明涼」/日新商事(株)




ら~くらくスーパーホワイト/日本ワイドクロス㈱

反射率約80%のPOフィルムスノーテックスでハウス内の過熱化を抑えます。ミクロボイドにより太陽光を反射・拡散。チタンホワイト糸でハウス内を明るくし、生育促進をします。 遮光率は4種類あり、作物によって選べます。希望のサイズやハトメ加工、ロープ加工も可能です。

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遮光カーテンを長く使うためには、遮光しない時期はハウスから外して紫外線を当てないように保管しましょう。 「取り外すのが面倒」と、ハウスのてっぺんに巻き上げて、そのまま翌年まで放っておくような保管方法ではせっかくの良質な資材が劣化してしまいます。保管方法を守り、大切に扱いましょう。
※設置の目安は梅雨明けから9月頭~中旬くらいまでです。

3.熱線遮断型カーテンで効果を得る【ハウスの条件】

「熱線反射型」の遮光カーテンであれば、軒の低いハウスでも、高いハウスでも内張りとして使用できますが、効果が高い分価格も高価です。

一方、「熱線遮断型」の遮光カーテンでも、使い方次第でしっかり効果を得ることができます。
例えば、ホウレンソウなど背の低い作物であれば、軒が低くても作物までの距離が遠いため、熱が下りてくる影響が弱くなります。このような場合であれば「熱線遮断型」の遮光カーテンでも内張りが可能です。

キュウリなどの背が高い作物の場合は、遮光カーテンと作物との間に距離を空ける必要があるため、3~4mほどの軒の高さがあるハウスであれば、同じく「熱線遮断型」の遮光カーテンでの内張が可能です。

※注意点
遮光カーテンと作物の間が近いと、作物に熱が伝わりやすくなり、立枯病や軟腐病など高温性の病害が発生する恐れがあるため、注意しましょう。



4.熱線遮断型カーテンで効果を得る【設置方法】



遮光カーテンの外張り「外部遮光」

遮光カーテンでの暑さ対策と聞くと、ハウスの内側にカーテンを張り巡らす内張りのイメージがあるかと思いますが、「外部遮光」という外張りの方法もあります。

ハウス外側の天井フィルムに、べたがけのように乗せて使用することで、温度を下げながら光を取り入れることができます。熊本県鹿本のアスパラガスハウス、熊本県宇城の育苗ハウス、阿蘇の夏秋トマトハウスでは「熱線遮断型」を外部遮光として使い、4~5℃の温度を下げることができた実績があります。

「熱線遮断型」の遮光カーテンでも上手に使えば、しっかりハウス内の温度を下げることができるのです。








設置方法

外張りは専門業者へ頼まずとも、自分たちで設置することができます。ハウスの長さにもよりますが4人程度で簡単に設置できます。また、必要な資材はどこでも購入できます。



地面に直管パイプを置き、引き上げ用の紐(ハウスバンド)を約5m間隔で結びつけます。ずれないよう、きつく縛ってください。




両端から遮光資材を巻いた状態で、直管パイプの上に被せます。パッカーで直管パイプと資材を固定しましょう。




数人でハウスの側面からハウスバンドを引っ張って資材を引き上げます。パッカーで固定された直管パイプがハウスの天井中央にくるようにしましょう。




引き上げに使ったハウスバンドを地面に固定します。新たに2本の直管パイプを、巻き上げ所となる資材の左右に取り付けます。
ポイント
・強風などで資材が飛ばされないよう、資材の上から約10mおきにハウスバンドで固定しましょう。
・きつく結びつけると巻き上げが出来なくなってしまうため、緩めに縛りましょう。





遮光カーテンは、上手く使えば確実にハウス内の温度を下げることが出来ます。遮光資材を正しく使って、暑い夏を乗り切りましょう!



取材協力

農業専門家 兼 アグリアドバイザー
深田正博(ふかだ まさひろ)

熊本県野菜専門技術員・普及指導員の経験があり、現在は株式会社ニッポーのアグリアドバイザーとして現場目線の栽培指導やセミナーの講演を行う。

ライタープロフィール

【施設園芸ドットコム 編集部】
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