コラム

ほうれん草農家の基礎知識~収入の目安・育て方~

公開日:2019.07.19

1.年中需要の高いほうれん草栽培で農家の年収アップを目指そう

一年を通して市場の需要があるほうれん草。収入アップのため育て方を調べて作付けを検討している農家が少なくありません。
ほうれん草は栄養価が高く、日本の食卓によく上る野菜のひとつです。炒め物や白和え、サラダなど多彩なレシピで調理されています。露地栽培では晩秋の11月から晩冬の2月にかけて旬なほうれん草ですが、ハウス栽培も盛んに行われており一年を通して栽培しているほうれん草農家もいます。

近年、寒さや病気に強く、東洋種と西洋種の品種改良で誕生した交雑種が人気です。スーパーで消費者が目にするほうれん草のほとんどは、葉の厚みがあってアクが少ない交雑種です。
栽培時期を考えながら出荷のタイミングを見計らえば、これまで栽培してきた農作物の閑散期をカバーできるため、農家の収入そのものを底上げして安定化を目指せるのです。

2.初めてのほうれん草栽培で気をつけたいこと

他の葉物野菜と同様に、ほうれん草も病害虫がつきやすく定期的な消毒が欠かせません。
ほうれん草に多い病害虫には、葉が斑点状に枯れていき、やがて穴があいていく炭疽病や煤(すす)のようなカビが生えるベト病、葉にモザイク模様が浮かび上がり葉が縮れていくモザイク病などが代表的です。
また、ハダニやヨトウムシなどの害虫もつきやすく、頻繁に消毒を行わないと、出荷ができるほうれん草の栽培は非常に難しいため繊細な管理が求められます。
また、ほうれん草は酸性に弱いため、作付けを考えている土壌のpHによっては酸度矯正を行わなければなりません。目標は6.2〜7.0pH。ちなみに5.0前後まで下がってしまうと生育不良になって立ち枯れていきます。もともとほうれん草は連作に強い作物とはいわれているものの、市場で勝負できるほうれん草を栽培するためには、作付け前に十分な堆肥を与えたり、耕運機やトラクターで深く土起こしをしたりなど、ほうれん草に適した土壌づくりが不可欠です。

さらに、ほうれん草は乾燥を嫌うため、種まきから発芽までは土の表面を乾かさないようにたっぷりと水をやることが大切です。また、思い切った間引きで、ほうれん草の株を太らせて商品価値の高い大ぶりのものを育てるよう心がけましょう。
ほうれん草は旬に当たる冬の栽培で約2ヶ月春や秋では約1ヶ月で収穫できます。成長後は速やかに収穫しないとしぼんで萎えてしまいます。収穫時期は頻繁に出荷していくのが望ましいため、消費地に近い郊外での栽培に適していることも押さえておきたいところです。

3.夏場のほうれん草にチャレンジしてみよう

農林水産省の調べでほうれん草農家(露地栽培)の10aあたりの農業所得は182千円でした。ほうれん草は冬に旬を迎えるため、供給が偏りやすく市場価格が上がりづらいのもネックと言われています。

一方、ほうれん草栽培でも収入アップを実現している農家も登場しています。それは夏場のほうれん草栽培です。旬から外れるため栽培は難しいものの、業務用で夏のサラダに生のほうれん草が使われるニーズが高まっています。また、夏場に大量に栽培する場合は、夏休みの学生バイトを雇って収穫作業の手伝いをしてもらうと、さらに大規模な栽培が可能なためコストパフォーマンスが高まります。



このように、病害虫や土壌管理など、デリケートな栽培が求められるほうれん草ですが、栽培時期を捉えた農業に転換していくことで、より大きな収入アップを目指せる作物だといえるでしょう。




▼参考サイト
●(株)秀農業経営コンサルタント、ホウレンソウの栽培
<https://www.hidefmc.com/hourensou/>
●農業情報ニュースレター
<http://rakumou.com/?p=145>
●農林水産省、統計情報、分野別分類/農家の所得や生産コスト、農業産出額など、品目別経営統計、平成19年
<http://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/noukei/hinmoku/index.html>
●旬の食材百科、ほうれん草:美味しい旬の時期や産地と生産量
<https://foodslink.jp/syokuzaihyakka/syun/vegitable/epinard.htm>



ライタープロフィール

【緒方裕理】
健康と環境に配慮した農業を第一としており、ハウス栽培や有機ブドウ栽培を経験しています。また農業に関心のある方を増やすために、身近にできる農業のやり方について研究しています。施設園芸に使える知識と経験をご提供していますので、ぜひご覧ください。
親の介護をしながら、実家の農園作りに勤しんでいます。