コラム
公開日:2019.08.06
ニラは多年草の野菜で冬になると休眠し地上部は枯れますが春になると新芽が出てくるので一度植えれば毎年収穫することができます。ただ何年もすると細い葉ばかりになってしまうので、農家として質の良いニラを生産するには株分けや種まきをして株を更新する必要があります。
ニラの栽培は露地栽培か施設栽培かによらず自分で育苗した苗や市販の苗を定植することが一般的です。定植時には数本の苗を一緒に植え付けると生育が良くなるなど外せないポイントがあり、良いニラを作るには苗植えの時期や方法が株分けと同じくらい重要です。
そこでここからはハウスのニラ栽培で失敗しない株分けや苗植えのポイントについてお伝えしていきたいと思います。
植え付けから3年程して細くて薄い葉ばかりになってきたら株分けを行います。
株分けの適期は2月下旬から3月上旬ごろ、根株が休眠から覚めて新芽が動き始めた頃です。
(1)まず地上部の枯葉を5cm位の高さで切り取り根株を掘り起します。
(2)少しずつ手で割って1株ずつに分けたら2~3株を一ヵ所に平置きにして株間20~25cm、条間80cmで植え付けます。覆土は株の上部が少し出るくらいが適切です。
肥料は元肥として堆肥や油粕、即効性の化成肥料を与えるようにします。
生産力の高い2~3本の分げつがある草丈35cm位の苗を選んで植えます。
株間30cm、条間30cmで数本を同じ場所に苗が触れ合わない位離して植えます。植え付け本数は品種ごとの分げつのしやすさで異なり、低温伸長性に優れたワンダーグリーンベルトを改良した冬の施設栽培に適した新品種のハイパーグリーンベルトやハウスで多発する白斑葉枯病に強いスーパーグリーンベルトの場合は5~6本を、市場性が高く周年栽培できるミラクルグリーンベルトの場合には4~5本を植えるのが一般的です。
植え付け本数を多くすると分げつ数が確保しやすく単位面積あたりの増収が期待でき、本数を少なくすると株が充実しやすく品質向上が期待できます。
浅植えにすると分げつが進んだときに株が浮いてくるので10cm程の深さに植え付けます。
分げつ【ぶんげつ】とは?
イネ科作物の根に近い茎の関節から側枝が発生すること。種子から発生した茎を主茎といい,通常,主茎には十数個の節があり,このうち地中の節のもつ芽が発育して多くの茎を出す。主茎から出た場合を第1次分げつ,それから出た場合を第2次分げつ,さらにそれから出たものを第3次分げつと呼ぶ。分げつの多少は栽培の条件により異なるが,収量と関連するため品種の特性として重視される。
―引用―百科事典マイペディアの解説
定植前の土づくりは土壌pHに気を付けます。酸性土壌では生育が抑制されるのでpH6.5を目標に苦土石灰などの石灰資材を撒きます。元肥として窒素肥料を窒素成分が25kg/10aとなるように施用します。元肥は少なめにして生育に応じて追肥で調整するようにしましょう。
株分けは休眠から目覚めた頃を狙って、苗植えは数本を一緒になど。株分けや苗植えの重要ポイントをしっかり抑えて素晴らしいニラを沢山収穫して下さいね。
▼参考サイト
●JAさいたま、ニラは春先の株分け更新が大切
<http://www.ja-saitama.or.jp/wp/?p=271>
●高知の元気の源こうち農業ネット、ニラ-育苗管理-
<http://www.nogyo.tosa.pref.kochi.lg.jp/info/dtl.php?ID=761>
●株式会社武蔵野種苗園、商品紹介/葉菜類/ニラ
<http://www.musaseed.co.jp/product_category/317leek/>
ライタープロフィール
【haruchihi】
博士(環境学)を取得しています。
持続可能な農業を目指し、有機質肥料のみを使ったトマトや葉菜類の養液栽培を研究してきました。研究機関やイチゴ農園で働いた後、2児の母として子育てに奮闘する傍ら、家庭菜園で無農薬の野菜作りに親しんでいます。