コラム
公開日:2019.09.17
植物の生育上、栄養となる肥料は水、光に次いで欠かすことが出来ません。
肥料にも色々な種類があり、それぞれ成分や効果が異なります。中でも窒素、リン、カリといえば植物に必須の3大要素。農家としては必ず知っておきたい代表の肥料です。
今回はそんな代表的なカリ肥料である「塩化カリウム」について、その用途や特徴、効果についてお伝えしていきたいと思います。
カリウムは窒素、リンに並び植物の生育に必須の3大要素の1つです。
「葉肥の窒素」、「実肥のリン」、「根肥のカリウム」として知られており、丈夫な植物を育てるためにカリ肥料は欠かすことができません。カリ肥料の中でも塩化カリウムと硫酸カリウムは良く使われている有名な肥料です。特に塩化カリウムは硫酸カリウムよりも安価に購入でき、成分含有量が高く、水によく溶ける使い勝手の良い肥料です。
カリウムの施用に用います。基肥と追肥のどちらにも使うことができます。特に果菜類では果実のカリウム必要量が大きいので追肥として重宝します。
固形のまま直接撒いても良いですし、水に溶かして液肥として散布しても良いです。水によく溶けるので養液栽培用の肥料にも利用できます。
またカリウム欠乏の緊急対策として養液を葉面散布することもあります。
塩化カリウムとはカリウムの塩化物で固形の肥料です。
カリウムを60%以上含み、成分のほとんどが水に溶ける即効性の肥料です。単肥のため成分設計がし易く、中性の安全で扱い易い肥料です。ただし植物にカリウムが吸収されると塩酸が残るので土壌が酸性化します。●施用後には土壌pHの低下に気を付けましょう。
また、吸湿性があるので開封後はできるだけ使い切るようにしましょう。
塩化物を好むキャベツやニンジンでは塩化カリウムが用いられますがタバコやイモなど使用により品質の低下が知られる作物があるので注意が必要です。そのような作物には硫酸カリウムなどを用います。一口に塩化カリといっても、一般的な鉱石由来の塩化カリ、養液栽培に適した化学合成した完全溶解する塩化カリ、有機JASに適合する海水由来の塩化カリというように様々なので用途によって使い分けましょう。
カリウムは窒素やリンのように元素自体が植物体の構成には使われず、細胞液中にイオンの状態で存在して植物体内の化学反応の促進に役立ちます。
カリ肥料全般に言えることですが、カリウムが根の生育を促進します。また、根や茎を丈夫にし、病害虫や寒さに対する抵抗力をつける効果もあります。
また、カリ欠乏時に塩化カリウム水溶液を葉面散布することで素早い症状改善も期待できます。
※ただし枯死部分を回復させることはできません。
塩化カリウムは基肥に追肥に葉面散布にと使い道が豊富なうえに安全、安価で素早く効きます。便利な塩化カリウムを上手に使いこなして、丈夫で病害虫に強い立派な野菜を沢山作りましょう。
▼参考サイト
ルーラル電子図書館、農業技術辞典、塩化加里
<http://lib.ruralnet.or.jp/nrpd/#koumoku=10585>
ライタープロフィール
【haruchihi】
博士(環境学)を取得しています。
持続可能な農業を目指し、有機質肥料のみを使ったトマトや葉菜類の養液栽培を研究してきました。研究機関やイチゴ農園で働いた後、2児の母として子育てに奮闘する傍ら、家庭菜園で無農薬の野菜作りに親しんでいます。