コラム
公開日:2021.02.22
小松菜はハウスで栽培を行う場合、よほどの寒冷地でなければ1年中安定した収量が期待できる野菜です。非常に育てやすいため新たに始めるという方でも気軽に栽培することができます。 今回は、小松菜栽培におけるコツや注意するべき病害虫などについて紹介します。
まず、栽培をするにあたって意識するべき点は品種選び。周年栽培が可能な小松菜ですが、
栽培時期に合った品種を作付けすることで、1年を通して計画的に栽培することができます。
例えば、様々な産地で作付けされている「春のセンバツ」という品種は早生品種。同じく代表的な「いなむら」という品種は中・晩生品種です。それぞれ時期をずらすなど工夫をし、収穫作業の負担軽減や安定した収穫を目指しましょう。
通気性がよく水はけの良い環境が理想です。また 土壌pHは6.0〜6.5が適正。酸性の強い土の場合は、 播種2週間前には苦土石灰を入れて耕しましょう。元肥はたっぷりと入れ、 窒素不足にならないようにする事が立派な小松菜に育てるポイントです。 また、畝は立てずにほ場にぎっしりと小松菜を植え付けるスタイルが主流。かん水設備などが備わっている必要がありますが、限られた土地で多くの収量が得られます。
まき溝を深さ1cmほどで作り、1cm間隔で一粒ずつ播種していきます。この時、まき溝の深さに差ができると生育にも差が生じてしまいます。また、 覆土は5mmほどにし軽く鎮圧します。小松菜は好光性種子のため、 深く土を被せてしまうと発芽できないため注意してください。
発芽し、葉が混み合っているところの間引きを行います。 生育の悪いものを取り除き、 株間が3cmほどになるようにします。また、生育し葉が3〜4枚になったところで再び間引きをし、 株間を5cmほどにします。
追肥は、基本的には行いませんが、葉の色が悪いなど生育がよくない時には化成肥料を撒きます。しかし、小松菜は肥料をあげすぎる事でエグ味などが生じるため注意してください。
小松菜栽培で気をつけたい病害虫を紹介します。ハウス栽培では、露地栽培に比べ病害虫のリスクは減らせる傾向にありますが、高温多湿になりやすいなど、ハウスならではの注意したい点もあります。 通気性の確保を行いつつ、病害虫の侵入を防ぎましょう。
夏場の高温多湿が原因のことが多く、 葉の変色や生育不良などが見られます。 また、萎黄病は土壌感染で広がってゆく病気です。病気が発生すると周辺の苗も全て駄目になってしまう恐れがあります。発症した苗は、ハウス外で処分するようにしましょう。
モザイク状の病班が葉や茎に見られ、生育不良となります。 主に、アブラムシによるウイルスの媒介が原因のため、ハウス内にアブラムシが飛来することを防ぐしかありません。また、薬剤による予防も効果的です。
葉の表面に白い病班が見られ、葉の変色、生育不良につながります。冬から春にかけて発症しやすく、 カビの発生による病気です。発見した場合、薬剤の散布が効果的。カビの胞子による感染があるため発症した苗はハウス外で処分しましょう。
葉の中に侵入し葉を食べながら進むため、 白い線が見られます。発見した場合、指で潰すか被害が大きい場合には農薬の散布が必要となります。
水耕栽培は、土の必要がないことから室内でも可能な栽培方法として世界的に注目されています。
特に小松菜は丈夫で、生育が早いことから
水耕栽培初心者の方に適した作物とされ、ハウスで水耕栽培を始めたい方にはオススメです。
水耕栽培は、設備の初期投資こそ必要になりますが、たくさんのメリットがあります。
また、小松菜であれば、 季節を問わず1ヶ月ほどでの収穫が可能です。興味のある方は、ハウスでの水耕栽培にもチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
ハウス栽培で気軽に始めることができる小松菜。丈夫で生育期間も短く、時期を問わず収量が確保できることから様々な地域でオススメできる作物です。また、水耕栽培など従来とは違った方法で栽培をすることで、さらなる成果も期待できるかもしれません。皆さんも挑戦してみてはいかがでしょうか。
〇マイナビ農業
https://agri.mynavi.jp/2019_11_13_95028/
〇サカタのタネ 園芸通信
https://sakata-tsushin.com/oyakudachi/lesson/vegetable/post_23.html
〇トキタ種苗
http://www.tokitaseed.co.jp/bai.php?varietycode=7030
〇水耕栽培ナビ
https://www.suikou-saibai.net/blog/2016/03/25/328
ライタープロフィール
【本澤貴史】
北海道の農業系大学出身のフリーライター。
大学では主に作物栽培を専攻し、広大な土地で露地栽培や施設栽培を学んでいました。
普段は、北海道の地域情報や食にまつわる記事の執筆をしています。
農業をされている方に少しでも興味を持っていただける情報を目指し発信していきます!