コラム
公開日:2023.01.25
細長い茎と、ブロッコリーによく似た花蕾が特徴の「スティックセニョール」(茎ブロッコリー)。調理がしやすく、栄養価も豊富な野菜として人気を集めています。今回は、スティックセニョールの栽培方法をわかりやすく解説します。
スティックセニョールとは、中国野菜のカイラン(芥藍)とブロッコリーを交配させてできたアブラナ科の品種で、茎ブロッコリーやサラダブロッコリーとも呼ばれています。草姿は立性で、地中まで深く根をはるのが特徴です。播種後は90日程度とブロッコリーよりも短期間で収穫できます。株の先端にできる花蕾(頂花蕾)を収穫した後も、わき枝にできる小さな花蕾(側花蕾)の長期収穫が可能です。
①播種から収穫までおよそ90日
②株の先端にできる花蕾(頂花蕾)を収穫した後も、わき枝にできる小さな花蕾(側花蕾)を15本程度収穫できる
③草姿は立性で、根張りが良く育てやすい
スティックセニョールは耐暑性があり、一般地や暖地では、7月から9月にかけて播種・定植すると、11月から2月頃まで収穫できます。一方で、種まきの時期を逃すと根張りがうまくいかず、花蕾ができないため注意が必要です。
育苗トレーに種を1つずつ播種し、軽く覆土してたっぷりと水やりをします。発芽するまで土の水分を保ち、表面が乾かないように気をつけましょう。育苗適温は20℃から23℃。日当たりがよく風通しのよい場所で管理します。収穫期間が長いので、圃場へ緩効性肥料を多めにすき込むのがおすすめです。植え付けの1週間前に1㎡あたり堆肥2kg、苦土石灰100g、油かす100g、化成肥料40gから60gをまき、20㎝から30㎝の深さまで耕します。
苗の本葉が2枚半ほどに成長したら定植します。植え方は、畝間は70cm以上、株間は40から50cm程度の間隔をあけましょう。植え穴を開けたら水をたっぷり含ませ、培土に土がかぶるくらいの深さに植え付けます。
定植後、20日から25日程度で化成肥料を追肥します。畝間の土に化成肥料40gから60gを混ぜ込み、株元にしっかりと土寄せします。
苗の先端にできる頂花蕾が500円くらいの大きさになったら摘芯します。その後は脇芽の側花蕾がどんどん成長するので、付け根の葉っぱを2枚ほど残して摘んでいきます。花蕾が開いてしまうと出荷に影響するため、ふくらみの状態を見極めながら収穫しましょう。
スティックセニョールは排水のよい圃場に定植しましょう。排水が悪いと根こぶ病、黒腐れ病や黒斑細菌病が発生する可能性があります。株間を十分に確保し、葉かきをして風通しをよくする、高畝にして水はけをよくするなどの対策が効果的です。
また、ヨトウムシやアブラムシ、シンクイムシなどの害虫被害にも対策が必要になります。育苗期は防虫シートで苗を覆うのがおすすめです。定植後は葉の裏側や芯をよく観察し、捕獲、薬剤を使うなどの方法で駆除しましょう。
今回は、スティックセニョールの育て方をご紹介しました。一本の苗から側花蕾がたくさん出るため、安定した収穫量を見込める野菜です。みなさんもぜひスティックセニョール栽培にチャレンジしてみてください。
▼参考記事
〇JAとぴあ浜松「スティックセニョールの育て方」
https://jatopia.ja-shizuoka.or.jp/archives/garde/%ef%bc%97%e6%9c%88-%e3%82%b9%e3%83%86%e3%82%a3%e3%83%83%e3%82%af%e3%82%bb%e3%83%8b%e3%83%a7%e3%83%bc%e3%83%ab%e3%81%ae%e8%82%b2%e3%81%a6%e6%96%b9/
▼参考文献
〇関東農政局「Let’s農業第42号:今注目のスティックセニョールとブロッコリー」
https://www.maff.go.jp/kanto/nouson/shigen/lets_nougyou/attach/pdf/lets42-7.pdf
〇サカタのタネ「茎ブロッコリー 「スティックセニョール」
https://www.sakataseed.co.jp/product/search/code000216.html
ライタープロフィール
高橋みさと
自然に近い場所を求めて2021年に都内から郊外へ移住。
ライター業をしながら米や野菜づくりを実践しています。
趣味は登山と外遊び。
発酵に興味があり、コンポストを利用して生ごみを捨てない生活にはまっています!