コラム
公開日:2023.03.09
南国を代表するフルーツ、パパイヤ(パパイア)は熱帯各地で栽培されている人気の果物です。日本では沖縄県と鹿児島県、宮崎県で栽培されています。暖かい地域で栽培されるイメージがありますが、育て方や収穫時期を工夫したり、ビニールハウスを使って施設栽培することにより、近年では関西や関東でも収穫が可能です。この記事では、パパイヤの基本的な栽培方法をご紹介します
温暖な地域を好むパパイヤを栽培するには、生育時の温度を管理することが大切です。パパイヤの生育に最適な温度は21℃から33℃です。高温になると生育が安定し、年間を通じて花を咲かせ、実をつけます。月の平均気温が12℃を下回る環境では生育が低下し、霜にあたると凍害により枯れてしまいます。適切な温度を保つために、日本では施設栽培が主流です。
また、パパイヤは生育時の大きさに注意が必要です。パパイヤは生育環境が整っていると常緑樹として開花、結実を続け、10m近くまで生長します。樹高が高すぎると、簡単に果実を採取することができません。家庭で育てる場合は、あまり大きくならない品種を鉢植えするのがおすすめです。
パパイヤは、気温が安定する5月から6月に植え付けます。挿し木では育たないため、種を播くのが一般的です。果実の中の種を育てることも可能ですが、パパイヤには雌雄異株の品種が存在します。種で雌雄を見分けるのは難しいため、種苗店で販売されている種を購入しましょう。種まき用の清潔な土に播種し、土が乾かないように管理すると、1、2週間で発芽します。春から秋にかけての成長期は追肥が必要です。チッソ、リン酸、カリが同等に配合された肥料を施して栄養切れから株を守ります。
パパイヤの植え替えや切り戻しは、植え付けと同様に5月から6月が最適です。パパイヤは生育が早いため、鉢で育てる場合は根詰まりを起こしやすくなります。1年に1度は植え替えましょう。大きくなりすぎた株を切り戻す場合は、地面から約30㎝が目安です。切り口に殺菌剤を塗っておくと、雑菌や害虫の影響を防げます。
植え付けから1、2年を過ぎると、パパイヤの果実を収穫できるまでに生長します。自分の花粉や他のパパイヤの花粉で受粉するため、受粉樹は必要ありません。花が開いた後、半年ほど経過し、果実が黄色く色づいたら収穫時期です。
パパイヤは、過湿した土壌が苦手です。水はけのよい用土で栽培し、土の表面が乾いたらたっぷり水を与えます。黄色く変色した葉や枯葉はこまめに取り除くと、湿気を防ぎ、病気や害虫被害の予防につながります。また、土壌が乾燥すると株がすぐに弱るため、気温が高く乾燥しがちな季節には水切れに気をつけましょう。気温が下がる冬は休眠期に入り、根から水を吸いません。土が乾くまで水やりを控え、乾かし気味に育てます。
南国特有の果物というイメージを持つパパイヤですが、近年では沖縄や九州以外でもパパイヤ栽培が広がりを見せています。関西では樹の高さを2m前後に抑えた品種の改良に成功し、ビニールハウスでの栽培が可能になりました。また、黄色に色づく前の青パパイヤなら、短い期間で収穫できるため、千葉県でもパパイヤ栽培に参入する農家が増えています。
黄色く熟した甘い果肉が魅力のパパイヤ。栽培には低温期の温度と樹高を管理するのがポイントです。青パパイヤの出荷を目指すと、沖縄や九州以北でも商品作物として栽培できます。完熟した果実としても、サラダや炒め物など、野菜としても利用できるパパイヤ。ぜひ栽培にも挑戦してみてください。
▼参考文献
〇農林水産省, 遺伝子組換えパパイヤに関する情報(詳細)
https://www.maff.go.jp/j/syouan/nouan/carta/torikumi/papaya/ppy_5.html
〇みんなの趣味の園芸 NHK出版,パパイヤ
https://www.shuminoengei.jp/m-pc/a-page_p_detail/target_plant_code-953/target_tab-2
〇播州ファーム 【赤穂郡上郡町】
https://banshyufarm.com/detail/index.cfm?cl_id=1240
〇千葉の園芸,(1)令和元年7月1日第68巻7号
http://chiba-engei.or.jp/images/img_newsletter/chibanoengei_1907.pdf
ライタープロフィール
高橋みさと
自然に近い場所を求めて2021年に都内から郊外へ移住。
ライター業をしながら米や野菜づくりを実践しています。
趣味は登山と外遊び。
発酵に興味があり、コンポストを利用して生ごみを捨てない生活にはまっています!