コラム

菌核病の原因とは?発生しやすい条件と6つの対策方法

公開日:2022.01.21


▲イメージ写真

植物の葉や茎、花の部分に、ふわふわとした白いカビのようなものが付着しているのを見たことはありませんか?それ、もしかすると「菌核病」の症状かもしれません。菌核病は、キャベツ・ブロッコリー・レタス・キュウリ・ナス・トマト・いちごなど、非常に多くの作物で発生し、放っておくと圃場全体に蔓延してしまう厄介な病気です。ハウス栽培では一年中警戒が必要ですので、適切な対策方法を押さえておきましょう。

1.菌核病の症状

菌核病に感染すると、葉の根元や茎の枝分かれ部分などに“暗褐色のシミ”のような病斑が出現します。病斑は徐々に広がり、白い綿毛のような「菌糸」を発生させながら、植物全体を腐敗させてしまいます。果菜類や果樹では咲き終わった花から発病し、果実全体を白い菌糸で覆い尽くしてしまうことも。葉・花・果実などが灰色のカビで覆われる「灰色かび病」とは、発生する菌糸やカビの色で区別することができます。

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2.菌核病の原因と発生のしくみ

菌核病の病原菌は、糸状菌(カビ)の一種である「Sclerotinia sclerotiorum(スクレロチニア スクレロチオラム)」。原因となるのは、この菌がつくる黒い塊「菌核」です。植物上で菌糸が密集した部分に発生し、作物が収穫された後も土壌中で生き延びるため、長期にわたって菌核病の発生源となります。

土壌中の菌核は気温が20℃前後になると発芽し、小さいキノコのような「子のう盤」を生やして胞子を飛ばすようになります。胞子が植物に付着すると菌糸を伸ばして植物体内に侵入し、感染を広げることに。土壌中の菌核から伸びた菌糸が植物体内に直接侵入するケースもあります。

3.菌核病に効果あり!6つの対策

1.ハウス内の湿度を低く保つ

「気温約20℃」と「多湿」という条件が揃うと、菌核病の発生は急増します。ハウスは密閉せず、適度に換気や送風を行って、湿度をできるだけ低く保ってください。土壌水分量が多すぎるのも発病を助長するため、圃場の排水対策や潅水量にも気を遣いましょう。

2.密植・過繁茂にならない栽培管理を

株元の風通しが悪いと、湿度が上がって菌核病が発生しやすくなります。密植を避け、枯れた下葉などは適宜取り除くようにしましょう。過繁茂にならないよう、窒素のやりすぎにも注意が必要です。

3.マルチで土壌感染を防止

潅水などの作業時に水や泥を跳ね上げてしまうと、胞子が植物に付着しやすくなります。ハウス内をマルチで被覆して、胞子飛散のリスクを軽減させましょう。

4.発病株はただちにハウス外で処分

発病株を見つけたら菌核ができる前に抜き取り、ハウスから離れた場所で埋没または焼却しましょう。抜き取った株をハウス内やハウスの近くに放置するのは厳禁です。

5.農薬散布は「早め」が肝心

感染が広がってからでは薬剤の十分な効果が得られない場合もあるため、予防的な農薬散布が有効です。耐性菌の発生を防ぐため、同じ分類の薬剤を連続で使用せず、複数の農薬をローテーション散布してください。

6. 連作をしない

菌核病の被害が激しかった圃場では、収穫後の土壌に高確率で菌核が残っています。連作や菌核病にかかりやすい作物との輪作は避けるようにしましょう。圃場に水を溜める湛水処理や天地返しなど、菌核を死滅させる対策も有効です。

以上、菌核病の原因と防除のポイントについてご紹介しました。手遅れになると対策が難しくなってしまう病害ですので、早期発見・早期防除を心がけましょう。

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▼参考サイト

○病害虫・雑草の情報基地,全国農村教育協会
https://www.boujo.net/
○病害虫ライブラリー,宮城県病害虫防除所
https://www.pref.miyagi.jp/soshiki/byogai/lib-top.html
○病害虫の解説ページ,三重県病害虫防除所
https://www.pref.mie.lg.jp/byogai/hp/59482007443.htm

ライタープロフィール

【にっく】
農業研究所の研究員として日本全国を飛び回ったり、アフリカ・東南アジアで農業技術普及プロジェクトに携わったり…国内外の農業に関わってきた経験を持つ農学博士です。圃場作業で汗を流すのが大好き。これまでの経験と知識を生かして、わかりやすい記事をお届けします!







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