コラム

今話題の「環境保全型農業」とは?メリット・デメリット紹介

公開日:2019.02.22

今話題の環境保全型農業について、農林水産省の施策を中心にご紹介します。環境にも人にも優しい農法のため取り組む新規就農者や若手農家が増えています。是非チャレンジしてみてください。

1.環境保全型農業とは

農法については厳密な定義を持って実践される農家さんも多くいらっしゃいますが、環境保全型農業とは自然農法や有機農法など様々な「環境に優しい」農法をざっくりとひっくるめた言葉と言えそうです。


①環境保全型農業とは
「農業の持つ物質循環機能を生かし、生産性との調和などに留意しつつ、土づくり等を通じて化学肥料、農薬の使用等による環境負荷の軽減に配慮した持続的な農業」のことを環境保全型農業と呼びます。  

〜農林水産省HPより抜粋〜

2.環境保全型農業直接交付金とは

環境保全型農業直接支払交付金とは、自然環境の保全に資する農業生産活動の実施に伴う追加的コストを国が支援するものです。詳細は下記の通りです。


「対象となる活動」
1)H23年度から農業者が実施する化学肥料・化学合成農薬を原則5割以上低減する取組と合わせて行う地球温暖化防止や生物多様性保全に効果の高い営農活動に取り組む場合に支援を実施。
2)地球温暖化防止や生物多様性保全に効果の高い営農活動として全国胸中の取組のほか、地域の環境や農業の実態などを勘案した上で、地域を認定して支援の対象とする地域特認取得を都道府県の申請に基づき設定し、支援を実施。     

〜農林水産省HP資料より抜粋〜


これだけではわかりづらいので、具体的な活動例を見ながら対象となる活動を確認してみましょう。

「対象となる具体的な活動」
1)地球温暖化防止に効果の高い営農活動への支援
 例)カバークロップ(緑肥)の作付けなど
2)生物多様性保全に効果の高い営農活動への支援
 例)化学肥料・化学合成農薬を使用しない有機農業
3)地域特認取組
 例)リビングマルチ、IPMの実践、江(え)の設置、等々

「主な金額」
●カバークロップの取組を行う場合 →8,000円/10a の補助
●有機農業を行う場合 →8,000円/10a の補助 
●地域特認取組を行う場合 →3,000円〜8,000円/10a の補助

「対象者・事業者の要件」
農業者(対象者)の要件として①販売を目的に生産②国際水準GAPの実施、の2つが設定されています。

「事務手続き」
農業者(対象者)は事業計画などを市町村に提出します。市町村は交付要綱にもとづき交付します。
申請にあたっては早い段階で提出する市町村の農政担当窓口で相談しましょう。
なお、申請にかかる様式は農林水産省HP上にあります。


3.事例から見るメリット・デメリット


メリット

本件を活用して有機農業を推進。有機JAS取得して販売することで販売価格が慣行栽培と比較して1.5倍前後になることもあり得ます。




デメリット

申請にあたっては計画書の作成など、手間がかかってしまいます。小規模な農場の場合は金額も小さく、メリットを感じ辛い場合があります。


現在、有機農業者の平均年齢は農業全体に比べて7歳若いことがわかっています。また、新規就農希望者の3割が有機農業を希望しています。若い農家にとって環境保全型農業についての理解は必要不可欠です。ぜひ参考にしてみてください。



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ライタープロフィール

【uen01】
1反のハウスで夏秋ミニトマトの養液栽培(不織布ポットを利用した少量培地栽培)を行なっています。
元営農指導員のベテラン農家指導のもと、様々な実証実験を行いながら生産しております。元金融マンというバックグラウンドを生かして、数字に基づいた栽培及び経営を行なっています。








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