コラム
公開日:2019.07.05
1年を通してハウス周辺に生える雑草。伸びる度に草刈りをするのは大変ですし、かといって除草剤を使うのはためらってしまいますよね。しかし、ハウス周辺の雑草をそのままにしておくと、「作業の邪魔になる」「病害虫の原因になる」「外から目隠しになって盗難目的の侵入者を引き寄せてしまう」など、さまざまな問題が生まれます。
そこで、今回はハウス周辺の雑草に困っている農家におすすめの防草シートを使った雑草対策をご紹介します。
住宅周辺に砂利を敷き詰めた家を見かけたことはありませんか?地面に砂利を敷き詰めることで侵入者がやって来ても砂利を踏む音が響いて防犯につながる理由のほか、日光が遮られるので雑草が生えづらくなるというメリットがあります。砂利は庭でもよく使われていて、通水性も良いため水はけ効果も抜群です。
農家の中にも、作業後や普段あまり立ち入らない場所に砂利を敷き詰めて雑草対策にしていることがあります。ただ、砂利は重たいため扱いづらいこと、必要なくなったときに処理が大変なこと、歩きづらく一輪車や手押し車など農業機械が行き来しづらくなることなどが問題です。
そこで、雑草対策として防草シートを取り入れてみてはいかがでしょうか。
防草シートとは、除草剤を使わなくても雑草が気になる場所に敷き詰めるだけで、雑草を生えづらくするリーズナブルな価格の農業資材です。大切な作物への影響を考えてできるだけ除草剤の使用は避けたい人に向いています。
市販の防草シートは黒色でメッシュタイプの大きなレジャーシートのようなものです。黒色なのは太陽光を遮って植物を育たなくするためです。防草シートをピン留めして敷き詰めるだけで、夏場伸び放題だった雑草にも悩まされなくなります。重い防草シートを選んでしまうと敷くのに苦労しますので、なるべく軽くて強度の高いシートを選びましょう。
※防草シートはあくまで雑草が生えるのを防止するためのものなので、高温期などに多少の雑草が生えてしまうこともあります。
防草シートの使い方には大切なことがあります。
まず、地面に敷き詰める時期は雑草が生えづらい低温期を選ぶこと。次に、敷きたい場所の草刈り、または除草剤できれいにした後で防草シートを敷くことです。さらに、もしピン止めに失敗して穴が空いたままになったり、使用していて破れた箇所があったら、必ずピンシールや補修テープで修繕をしておきましょう。耐用年数を長くすることができます。
このポイントを守れば、ハウス周辺の夏場の雑草対策はほぼ終わったといっても過言ではありません。
なお、防草シートにもデメリットがあります。黒色のため直射日光の照り返しが強く、防草シートを強いた周辺は暑く感じられること。そして、素材や敷き方によっては水はけがうまくいかなくなることです。
最近は、素材の改良で水はけがよく太陽光に強くなって、値段もお手頃ながら耐用年数が5年から10年のものもホームセンターや農業資材商店で見かけるようになりました。「草刈りの手間をなんとかしたい」「除草剤は作物への影響が心配」といった農家さんなら、ぜひ一度防草シートを検討してみてください。
※参考サイト
●「防草シートの専門店」らくやのう、「防草シート比較・値段」、「防草シートの敷き方」
<https://www.bousou-sheet.com/>
●国華園、防草シートのメリット・デメリットについて
<https://www.kokkaen-ec.jp/agricultural%20materials/anti-weed-sheet.html?gclid=CjwKCAjw9dboBRBUEiwA7Vrrzep1VigML1oAnkh7Tj19vRXpNVCJQ1P0W29z8Hf-gM18vzEE1zd6XBoCgA0QAvD_BwE>
ライタープロフィール
【緒方裕理】
健康と環境に配慮した農業を第一としており、ハウス栽培や有機ブドウ栽培を経験しています。また農業に関心のある方を増やすために、身近にできる農業のやり方について研究しています。施設園芸に使える知識と経験をご提供していますので、ぜひご覧ください。
親の介護をしながら、実家の農園作りに勤しんでいます。