コラム

認定農業者のメリットとは?制度や申請方法・支援内容を解説!

公開日:2021.01.22

農業経営において上手に活用したい制度の一つが「認定農業者制度」です。

認定を受けることで、様々な公的な支援や補償を受けられるようになり、資金調達の優遇など、経営の安定と成長に関して多くのメリットがあります。

この記事では、認定農業者制度の認定要件や、具体的に受けられる支援制度について詳しく解説します。

認定を受けるために必要な条件や手続き、また認定後に得られる支援や補助金などについても紹介します。
認定農業者制度を活用して、農業経営をさらに強化しましょう。

1.認定農業者とは?

認定農業者とは?

認定農業者制度とは、市区町村が設定した農業経営目標に沿って、自らの創意工夫で経営の改善を目指す農業者を認定し、支援する制度です。

この制度は、市区町村が農業者の立てた経営改善計画を認定することで、効率的かつ安定的な農業経営を促進するものです。

経営改善計画は農業経営基盤強化促進法に基づき、市区町村が地域の実情に即した基本構想に掲げる目標を達成するために作成されます。

具体的な目標としては、農業所得が概ね350万円以上、就労時間が概ね2000時間以内といった数値が設定されます。

認定期間は5年間であり、期間が満了した際には、新たな農業経営改善計画を作成し、再度申請することで再認定を受けることが可能です。

複数の市区町村で農業を営む場合は、営農区域に応じて都道府県または国が認定を行います。

この制度は、農業者の意欲と能力を引き出し、地域の農業振興に貢献することを目的としています。

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2.認定農業者になるには?申請方法や認定基準を紹介

認定農業者になるためには、どのような手続きや基準、条件が必要なのでしょうか。

ここでは、認定農業者になるための具体的な申請方法や認定基準について詳しく解説します。

申請の流れや必要な書類、認定を受けるためのポイントなどを知ることで、認定農業者への道がより明確になります。

これから申請を考えている方は、ぜひ参考にしてください。

申請方法

認定を受けるには、市町村等に「農業経営改善計画書」を提出する必要があります。

この計画書には、5年後の経営目標とそれを達成するための具体的な取り組み内容を記載します。

具体的な内容としては、以下の項目が挙げられます。

1.経営規模の拡大に関する目標(作付面積、飼養頭数、作業受託面積)
2.生産方式の合理化の目標(機械・施設の導入、ほ場の連担化、新技術の導入など)
3.経営管理の合理化の目標(複式簿記での記帳など)
4.農業従事の様態等に関する改善の目標(休日制の導入など)

引用:農林水産省HP




この計画書を市町村に提出し、審査を経て認定されることで、認定農業者となることができます。

審査では、提出された計画書が地域の農業経営基盤強化促進法に基づく基本構想に適合しているかが評価されます。

申請には、しっかりとした準備と明確な目標設定が求められますので、事前に市町村の担当窓口で相談しながら進めるとよいでしょう。





認定基準

認定農業者制度の認定基準について、農林水産省のホームページには以下のように記載されています。

1.計画が市町村基本構想に照らして適切なものであること
2.計画が農用地の効率的かつ総合的な利用を図るために適切なものであること
3.計画の達成される見込が確実であること

引用:農林水産省HP




以上の通り、認定基準に関して、国としては具体的な数字などは明記していません。

実際の認定基準となる経営規模などは、市町村等ごとに定められており、その内容も地域ごとに若干違いがあります。

また、各市町村の基本構想に基づいた計画の適合性や、計画の実現可能性が重要視されます。

そのため、お住まいの市町村や営農を行っている市町村のホームページや担当窓口で具体的な認定基準を確認することが重要です。

認定農業者になるメリットとは?支援が豊富?

認定農業者になることで得られる最大のメリットは、多様な支援制度や補助金制度を利用できるようになることです。

これにより、農業経営の安定化や成長を支援するための経済的なサポートを受けることができます。

主要な支援制度や補助金には、以下のようなものがあります。

畑作物の直接支払交付金(ゲタ対策)

…麦・大豆等のコスト割れの補填




米・畑作物の収入減少影響緩和対策交付金 (ナラシ対策)

…米・麦・大豆等の収入減少に対するセーフティネット




農業経営基盤強化資金(スーパーL資金)

…経営改善のための長期低利融資(農地、施設・機械などの取得に必要な資金及び長期運転資金) 実質化された人・農地プランの中心経営体として位置付けられた認定農業者等が借り入れるスーパーL資金について、貸付当初5年間の金利負担が軽減。




強い農業・担い手づくり総合支援交付金(旧経営体育成支援事業)

…融資を活用して農業用機械等を導入する際、融資残について国庫補助。




農業経営基盤強化準備金制度

…経営所得安定対策等の交付金を積み立てた場合、この積立額を個人は必要経費に、法人は損金に算入。 さらに5年以内にこの積立金を取り崩して、農地や農業用機械、農業用建物等を取得した場合に圧縮記帳が可能。




農業者年金の保険料支援(特例付加年金)

…月額2万円の保険料のうち1万円~4千円/月の国庫補助(最大20年)



以上の通り、様々な支援・補助制度、税制面での優遇が受けられるようになります。実際には各制度ごとに細かく要件が定められているので確認が必要ですが、認定農業者制度がとても有利な制度だとおわかりいただけるでしょう。

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3.認定農業者制度は活用しない手はない!

認定農業者制度は、農業経営者にとって非常に有益な制度です。

補助金や支援制度を活用することで、経営の安定化や発展を図ることができます。

これらの支援を受けることで、最新の技術や設備を導入しやすくなり、競争力を高めることが可能です。

まだ制度を利用していない方は、この機会に認定を目指してみることをおすすめします。
認定農業者制度を最大限に活用し、より豊かな農業経営を実現しましょう。




▼参考サイト
〇農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/kobetu_ninaite/n_seido/seido_ninaite.html
〇農地コンシュルジュ
https://no-chi.com/certified-farmers-ninteinougyousya/
〇経営所得安定対策等の概要
https://www.city.moka.lg.jp/material/files/group/21/pamph-30.pdf (ゲタ・ナラシ対策)




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ライタープロフィール

【オオタニ コウスケ】
北海道出身。
酪農経営について学んだ後、大手農業機械メーカーにて勤務しました。現在は機械メーカーで培った経験と知識を元にライターとして活動しています。得意分野は酪農、トラクタ、作業機、噴霧器やポンプに関することです。








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