コラム
公開日:2026.05.28

収穫した野菜に付加価値をつけ、新たな収入源につなげたいと考え、加工品販売に挑戦するケースが増えています。近年は、直売所やマルシェに加え、ネットショップや無人販売機、個人経営の小売店など販路も多様化しています。販売方法の選択肢が広がったことで、自分に合った形で取り組みやすくなりました。
そこでこの記事では、加工販売に着目し、代表的な加工方法や必要な資格、届け出について解説します。

ピクルスやジャム、ドライ野菜など加工品の製造は、生鮮野菜よりも長期保存ができる点が魅力です。
売るタイミングを調整できるため、価格が下がりがちな時期でも販売が可能になり、収益の安定化につながります。
袋やシールのデザインにこだわり、自家製の加工品をおしゃれに見せるなど、工夫次第で魅力的な商品づくりができる時代です。直売所や地域のマルシェ、無人販売機といった方法はもちろん、インターネットの販売サイトやアプリを活用すれば、販路はさらに大きく広がります。
一方、加工品販売には、加工にかかる費用や時間がかかるというデメリットもあります。
加工をするには設備、材料費、パッケージ資材の準備、ラベルなどのデザイン制作などが必須です。また、食品衛生に関する知識や資格、販売に必要な許可も求められます。
ただし、最寄りの保健所に相談する、デザイン制作はスキルマッチングができるプラットフォームを利用するなど、しっかり準備をすれば未経験でもチャレンジできる分野です。

加工方法には大きく2つの方法があります。
1つは、自宅や家の敷地内に加工スペースをつくり、自分のペースで製造する方法です。時間を気にせず製造できる、レシピ作りに集中できるといったメリットがあります。
もう1つは、外部の加工所や食品加工センターに委託する方法です。自治体や農協が運営する施設であれば、比較的低コストで利用できます。個人で加工に必要な機械をそろえなくても済むため、初めて加工に挑戦する人にはおすすめです。ただし、製造スケジュールは加工所に合わせる必要があります。

生鮮の野菜販売であれば、特別な資格を必要としません。無人販売所、マルシェ、ネット販売、店舗販売など、さまざまな方法で販売できます。
しかし、ジャムやピクルス、漬物など、生鮮野菜に少しでも手を加えた商品を販売するには、食品衛生法に基づく「営業許可」が必要です。商品によっては「そうざい製造業」「菓子製造業」「漬物製造業」など、製品内容に応じた営業許可が求められます。
保健所の検査を受け、設備や衛生管理についての基準をクリアしなければなりません。製造する調理場や製造施設は、各都道府県等の条例で定める施設基準を満たしていることで初めて営業許可を取得できます。加工の方法にかかわらず、営業許可を取得する場合は、食品衛生に関する知識を備えた「食品衛生責任者」の設置が原則として必要です。
委託先が必要な許可を持っていれば、個人で許可を取らずに製造を委託できます。
ただし、販売者としての食品表示や、販売後の責任の所在については、事前に確認しておくことが重要です。
商品に貼るシールには、食品表示法に基づく原材料名、賞味期限、アレルゲン表示、製造者情報などの記載が必要です。おしゃれなデザインを楽しみつつ、ルールに沿った正しい表示を行うことが大切です。
加工品販売は、作物への想いをそのまま商品にできる魅力的な挑戦です。直売所やマルシェ、ネット販売で、自作の商品を楽しみにしてもらえるファンができるかもしれません。
加工品や加工方法を明確にしたら、最寄りの保健所へ問い合わせをして、必要な知識を押さえましょう。
「届けたい」という気持ちを形にしながら、ぜひ自分らしい販売スタイルを築いてみてください。
▼参考文献
〇厚生労働省「営業許可業種の解説」
https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000706467.pdf
▼参考サイト
〇埼玉県「食品営業に関する許可・届出」,2026
https://www.pref.saitama.lg.jp/a0708/eigyokyoka/index.html
〇行政書士てしろぎ事務所「食品衛生法の新しい営業許可・届出制度」,2022
ライタープロフィール
高橋みさと
自然に近い場所を求めて2021年に都内から郊外へ移住。
ライター業をしながら米や野菜づくりを実践しています。
趣味は登山と外遊び。
発酵に興味があり、コンポストを利用して生ごみを捨てない生活にはまっています!