コラム

生姜栽培農家必見!失敗しない栽培方法と収穫量を増やすコツ

公開日:2019.12.17

1.品種が多い生姜!栽培するならハウス栽培がおすすめ

様々な品種がある生姜は、根茎重量で小生姜、中生姜、大生姜の3つに大別されます。そのうち90%以上の生産量を占めるのはガリや紅生姜の原料となる大生姜です。晩生種で茎や葉も大きく、一株1キロ以上になることもあります。
代表的な品種として近江、印度、お多福、八郎、土佐一号、長崎一号などがあります。


▲参照:JAやつしろ生姜部会、生姜の品種





生育に時間がかかる大生姜は、露地栽培では台風などの気象災害や病害虫の被害を受けやすくなります。その点ハウス栽培では露地栽培のデメリットを克服し、早出しや増収を狙うことも可能です。


そこでここからはハウス栽培の生姜農家向けに、大生姜の失敗しない栽培方法や収量アップのコツについてご紹介します。

2.生姜栽培方法(1)種生姜の準備から~植え付け



1. 種生姜の準備

保存状態の良い無病の種生姜を選び、150g程に分割します。10aあたり1,000kg程が必要です。病害虫予防のため温水を使った種子消毒を行いましょう。



2. 土づくり

生姜は高温・多湿を好みますが過湿は根腐れを招くので排水性の良いほ場が適します。
12月に堆肥を投入し、2~3回耕起します。生姜の重要な病気“根茎腐敗病”を防ぐために農薬による土壌消毒を行いましょう。

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3. 植え付け

地温が15℃以上になったら植え付け時期です。地温を確保するため植え付けの半月前頃からマルチを行っておきます。より早い出荷を狙う加温栽培の場合は株間15cm、無加温栽培の場合は株間20~25cmで浅植えします。
※連作障害にならないように、同じ場所に3~4年は植えないようにしましょう。

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4. 施肥

5~6葉期までは種生姜の養分で生育するので基肥は控えめにした方が根を傷める心配がありません。5~6葉期に一回目の追肥を行い、以降は収穫まで1ヵ月ごとに追肥を行います。

3.生姜栽培方法(2)植え付け後の管理~収穫

5. 植え付け後の管理

■ 温度管理
ハウス内の気温が35℃を超えないように換気します。最低気温は15℃以上を確保しましょう。

■ 潅水
土壌が乾燥すると収量が激減するので潅水が重要です。生育初期は1回につき20mm程度かん水し、生育に応じ30mm程まで増やします。テンションメーターを使うと土壌表面の水分状態に惑わされることがありません。目安はpF2.0以下です。

■ 土寄せ
塊茎を肥大させ青首を防ぐため生育に応じて土寄せを行います。土寄せの際には根を傷つけないように気を付けましょう。

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6. 収穫

生食用の新生姜として早出しを狙う場合には、新生姜が200g程度になったら収穫します。加温ハウスの場合は5月頃から、無加温の場合は9月頃から収穫が始まります。



解説💡「早出しの新生姜とは?」 <収穫時期別 生姜の種類>

新生姜とは、ハウス栽培で夏に収穫された生姜で、茎の赤い部分がついているもの。または露地栽培で秋に収穫された生姜で貯蔵せずに出荷する白いものです。露地栽培は9~10月頃収穫期に入るため、施設栽培ではそれよりも早く収穫して出荷することができます。収穫したばかりの新生姜は、繊維がやわらかでさわやかな辛味があります。

他にも、根茎がまだ2~3センチと小さくて柔らかいうちに葉がついたまま収穫した「葉生姜」、葉生姜よりもさらに早採りの「矢生姜」、秋に収穫した生姜「根生姜」があります。
葉生姜は繊維が少なく辛味も少ないので、生でも食べやすいのが特徴です。矢生姜は焼き魚などに添えられるはじかみとして使われています。茎が鮮やかな紅色になっているのが特徴です。 根生姜は収穫後に2ヶ月以上貯蔵庫で保管するため、皮は飴色になり、辛味も増します。


▲新生姜



高温・多湿を好む生姜の性質を頭に入れ、種生姜選びから収穫まで育て方のポイントをしっかり押さえて収量アップを目指しましょう。連作ほ場では根茎腐敗病の防除が特に重要ですよ!

▼参考サイト
●生姜 野菜の栽培方法 営農情報、JAつやま.
https://www.ja-tsuyama.or.jp/einou/greens/index17.html
●オリーブオイルをひとまわし、まずはおさえておきたい【生姜】の種類と選び方
https://www.olive-hitomawashi.com/column/2017/12/post-1067.html
▼参照資料
●生姜(ハウス・トンネル)技術体系栽培技術、一般社団法人熊本県野菜振興協会、2014
●生姜(露地)技術体系栽培技術、一般社団法人熊本県野菜振興協会、2014.

ライタープロフィール

【haruchihi】
博士(環境学)を取得しています。
持続可能な農業を目指し、有機質肥料のみを使ったトマトや葉菜類の養液栽培を研究してきました。研究機関やイチゴ農園で働いた後、2児の母として子育てに奮闘する傍ら、家庭菜園で無農薬の野菜作りに親しんでいます。








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