コラム
公開日:2020.06.04
施設園芸.com編集部では、5月26日、28日に Zoomを使った無料オンラインセミナー を開催いたしました。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、展示会やセミナーといった農業イベントが延期や中止となる中、農業関係者の学びの場を提供したいと思いから、栽培指導員の資格をもつ深田先生に「品質・収量がグッと上がる日射比例潅水の方法」について、計2回(約1時間)講演していただきました。
今回はオンラインセミナーの様子を簡単にご紹介させていただきます!
※本セミナーは沢山の申し込みをいただき、各回満員御礼となりました。この場を借りて改めて御礼申し上げます。ありがとうございました。
テーマ「品質・収量がグッと上がる”日射比例潅水”の実践」
■ 日射比例潅水とは
■ 日射量、蒸散量と光合成の関係
■ 品質、収量を上げる潅水のポイント
■ 潅水チューブの重要性
様々な実証データと、深田先生の経験をもとに実践できる管理方法をわかりやすく教えていただきました。
例えば、CO₂施用や草勢調整よりも気孔を閉じさせないための潅水管理の重要性について。
作物の呼吸口「気孔」が開いていると、作物は蒸散によって体温を下げることができます。太陽熱からのストレスを軽減することができるのです。また、気孔が開いていれば炭酸ガスをしっかり取り入れることができます。
しかし、蒸散に必要な水分を根から吸えなくなると、気孔が閉じてしまい、水蒸気を出すことができず体温を下げることができなくなります。これは葉焼けの原因にもなります。水も吸えず、肥料も運べない。気孔が閉じることで光合成を含めたすべての生育活動が止まってしまいます。
気孔を開かせ続け、蒸散を止めないためには過不足の無い潅水が重要 であって、「日射比例潅水」 が適しています。
潅水チューブの選び方については、高価な潅水チューブと安価な潅水チューブの性能を比較した実験結果を基に「最適な潅水量がわかっても、それが出来ているかどうかは潅水チューブにかかっている」として 「潅水量のムラをなくす最適なチューブの選び方」 を教えていただきました。
その他、「蒸散が出来ているかを確認するためには日射量に加えて飽差の条件を加えることで適正な判断ができるようになる」 と飽差を踏まえた判断方法やその重要性、ほ場ごとの潅水量の設定方法など、具体的な基準値を含めて教えていただきました。
最後は、「機材を導入すれば良いというわけではなく、必要最小限の投資で収量をグッと上げてゆくことが大切です」と締めくくりました。
※講演は、申し込み時にいただいた際の質問に対する回答を踏まえつつ進行されたため、各オリジナルの講演となりました。
質疑応答の時間
● 日射量が少ないが、気温が高く乾燥している場合、それでも日射量に合わせた潅水を行ったほうが良いのか?
● 講演中はトマトやピーマンの事例が出ていたが、イチゴでも同じような実績があるのか?
● 土壌水分(PF)での管理は良いのか?
といった質問や相談をいただき、深田先生のアドバイスがありました。
オンラインであっても、参加者の方々の温かい反応を受け取ることができ、盛況のうちに終えることができました。
各回15名(定員)の方々にご参加いただきました。
終了後のアンケートでは約9割の方より「満足」との回答をいただきました。ありがとうございました。
※全体を通しての結果
深田先生の話がとても分かりやすかったです。 循環扇以外の方法で温度湿度ムラの解消という件、取り上げていただきありがとうございました。今回は、参加させていただきありがとうございました。
テーマに沿ったわかりやすい講習会でした。他のテーマでも実施していただければ幸いです。
とても勉強になりました。参考書や本での知識がホントに理解しているのか確かめる機会にもなりました。これからの栽培にいかしていこうと思います。
大変有意義なセミナーでありました。深田先生の話も分かりやすかったです。次回も開催する予定があればお知らせください。
今日は貴重なお話をありがとうございました。 栽培方法について改めて考えさせられました。 内部で議論にもなり、大変良い機会でした。感謝しています。
大変勉強になりました。まだまだ知りたい情報が沢山あり、もっと長く深田先生のお話を聴きたかったです。
※アンケートより一部抜粋
他にも、「もっと初級クラスがあるとよい」「セミナーの時間を長くしてほしい」「資料の文字を大きくしてほしい」といったご意見もいただき、今後のイベント開催に活かしていくべき課題とさせていただきました!
今回のオンラインセミナーでは農家、役所・県職員、農業資材メーカー、教育関係などの方々が、北海道から鹿児島まで様々な場所から参加くださいました。これも 「離れた場所からだれでも参加ができる」オンラインセミナーの大きな魅力 だと感じます!
今後もみなさまにお喜びいただけるセミナーやイベントを企画して参ります。
ご意見・ご感想などございましたら施設園芸.com編集部までお気軽にご連絡ください。