コラム
公開日:2021.05.14
農業初心者の方の中には、摘心という言葉に難しいイメージを持つ方が多いのではないでしょうか。
近年新規就農する人が多いトマトや、家庭菜園でも人気のキュウリやカボチャなどの栽培では必須の作業です。摘心という名前から内容が想像しづらいため難しいイメージを持たれがちですが、作業時期とやり方さえ理解しておけばさほど難しいことではありません。
しかし、タイミングややり方を間違えてしまうと、その後の収量に大きな影響を及ぼすことがあるため注意が必要です。
そこで今回は、摘心を行う適切な時期とやり方、注意点についてわかりやすく紹介していきます。
摘心とは植物体の心芽を除去する剪定の一種で、ピンチと呼ばれることもあります。側枝の成長を促し、結果数を増やすためや、開花・結実を良くする目的で行われます。
トマトやキュウリ、メロンやカボチャなどに代表される摘心が必要とされる植物は、放っておくと上へ上へと茎を伸ばしていきます。これは「頂芽優勢」という、植物の最上部にある芽の成長が脇芽などの成長よりも優先される植物の性質によるものです。この成長を放って置くと、側枝の発達が遅れ、開花数の減少や後の果実肥大がうまくいかない、などの現象が起きてしまうのです。
つまり、株が大きくなることばかりに栄養を使ってしまうことを防ぎ、果実の量と質を高めるために摘心をすると言うわけです。
伸びた茎の先端にある芽を、手でひねって摘み取ります。
摘心のタイミングが遅れた場合は1節ほど切ってしまって問題ありません。このとき茎が固いことがあるためハサミなどでカットしていきましょう。
また、ハサミを使う際はできるだけ薄刃のものを使うようにしましょう。分厚い刃のハサミは植物の組織を壊しやすいためあまりよくありません。
摘心は主に発育段階である生育期に行います。作業タイミングが遅れると、無駄な部分の成長が行われるため効率的な栽培には摘心のタイミングが重要になります。
新規就農者さんも多いであろうトマトやキュウリについては、以下のポイントを参考にしてみてください。
収穫を終えたいと考える40日前に摘心を行います。
トマトは開花後約40日で収穫期になるため、最後の最後まで収穫を行うことが可能です。
親づるは150cm程度になったところで摘心を行います。
中段以上の孫づるは、力強い生長点のある枝を必ず3~4本残します。
実際に摘心をする適切な時期は育てる植物や作型によって異なるため、個別に下調べを行い実施してください。
▼参考サイト
〇頂芽優勢,光合成事典,日本光合成学会
https://photosyn.jp/pwiki/index.php?%E9%A0%82%E8%8A%BD%E5%84%AA%E5%8B%A2%28%E6%80%A7%29
〇摘心,コトバンク
https://kotobank.jp/word/%E6%91%98%E5%BF%83-100794
〇トマト わき芽かき・摘心の方法,トマトの育て方.com
https://xn--m9jp3ya3i5308a7pvb.com/%E3%83%88%E3%83%9E%E3%83%88-%E3%82%8F%E3%81%8D%E8%8A%BD%E3%81%8B%E3%81%8D%E3%83%BB%E6%91%98%E5%BF%83%E3%81%AE%E6%96%B9%E6%B3%95/%E3%83%88%E3%83%9E%E3%83%88-%E3%82%8F%E3%81%8D%E8%8A%BD%E3%81%8B%E3%81%8D%E3%83%BB%E6%91%98%E5%BF%83%E3%81%AE%E6%96%B9%E6%B3%95.html
〇野菜栽培マニュアル キュウリ,タキイ種苗株式会社
https://www.takii.co.jp/tsk/manual/kyuuri.html
ライタープロフィール
【畠中駿輔(ハタナカシュンスケ)】
慶應義塾大学卒。28才。
学生時代に東アフリカ6000kmを自転車で縦断。田舎の農村で見た人々の笑顔が忘れられず、銀行員を経て農業の世界へ。2019年日本の農業技術で世界の人々を豊かにするべくタイ北部に移住。
25aの圃場を立ち上げ、現地の方と共にイチゴの高設栽培をしている。