コラム

健康野菜「アイスプラント」とは?栽培方法とこだわりを生産者に取材!

公開日:2022.04.18

こんにちは!施設園芸.com編集部です。今回は栄養満点な多肉野菜「アイスプラント」について特集します。アイスプラントの葉にはミネラルや塩分が蓄えられた透明のツブツブがあり、プチプチとした独特の食感とほのかな塩味があります。美容や健康にもよく、アンチエイジング効果や脂質と血糖値の抑制が期待できる成分が豊富に含まれています。今回はそんなアイスプラントの魅力や栽培方法について、生産者の長谷川さんにインタビューしました!

1.アイスプラントとは?トマト農家が栽培を始めた理由

アイスプラントの栽培を始めたきっかけは何ですか?

トマト栽培は春~夏に忙しく冬は作業が少ないため、従業員さん達の仕事量が均一にならないという課題がありました。 そこで10年ほど前、ハウスを増設したことを機に冬場に栽培できてなるべく暖房代がかからない葉物野菜を探し始めました。母が家庭菜園でアイスプラントを栽培しているのを見て「これは商売になるのでは」と感じ、栽培を始めました。

2.栽培のコツは?気を付けるべきポイント

アイスプラントの栽培時期はいつですか?

9月に種を蒔き、10月に定植、11月から翌年4月にかけて収穫といったスケジュールで栽培しています。作型によっては春に栽培することも可能ですが、栽培期間が短くなってしまう上トマトの栽培時期と重なってしまうので私の農園では冬に栽培しています。

どんな土作りをしていますか?

ミニトマトの後作でアイスプラントを栽培しているのですが、トマトの栽培期間が短いので土に栄養が残っています。そのため、アイスプラント栽培時にはあまり肥料や堆肥を入れないようにしています。

栽培で難しい点などありますか?

私の農園では種から栽培していますが、発芽率がとても低いです。蒔く時期にもよりますが発芽率は50%程度です。9月に種を蒔くため、暑さで発芽率が低下している可能性があります。このため、定植予定数の倍以上の種を用意しています。種の価格は果菜類に比べれば低いため、価格面の負担は少ないです。

定植後はどのような栽培管理をされていますか?

25℃を上回ると花が咲いたり品質が悪くなるので、25℃以下で管理しています。温度が上がりすぎないように換気をしたり、日差しが強い場合は遮光ネットを閉めます。冬場はそこまで細かい温度管理は必要ないですが、凍ってしまうと見栄えが悪くなるので凍結には注意が必要です。

原産地が乾燥している地域なので、乾燥には比較的耐性があります。潅水は本当にざっくりで、乾燥してきたらかけるくらいのイメージです。ただ、あまり潅水を控え過ぎるとしおれてしまうので、様子を見ながら適度に潅水します。

収穫のポイントはありますか?

小さな芽を残しながら収穫します。全ての芽を摘んでしまうと次の芽が伸びてこなくなってしまうので切り口に気を付けています。収穫量は、多いときで2.4kgの箱を1日50箱ほど出荷できます。2月からだんだん収量が増えて、3月~4月に収穫のピークを迎えます。

どんな病気や害虫が発生しますか?

病気が発生しても蔓延することが少ないため心配ないのですが、春になるとアブラムシがハウス周辺の雑草から侵入します。アイスプラントはまだまだ珍しい野菜のため登録農薬がありません。そこで、農業大学校の先生に相談して天敵資材のテントウムシを使い始めました。これが功を奏し、アブラムシがかなり減りました。

3.直売所も好調!気になる販売面は?

販売先はどうされていますか?

農協さんがメインで、他に数社の仲介業者さん、直売所にも卸しています。定番の野菜ではないため大量に売れるわけではないのですが、コアなファンの方々が買ってくださっています。

収益性はいかがでしょうか?

坪あたり1万円を目標にしています。今は直売所への販売量を増やしているためもう少し上を目指せそうです。

10年間栽培されてきて、アイスプラントの人気は上がっていますか?

今年から大きな直売所に卸し始めたのですが、予想よりも売れ行きが良いです。認知度が上がっているのかなと感じています。健康野菜という側面もあるため、直売所でも長所をアピールして、もっと皆さんに知ってもらいたいです。

長谷川さんが思うアイスプラントの魅力とはなんですか?

トマトに比べて経費や栽培の手間が掛からない点が魅力的です。収穫まで特別な手入れがないため、ハウス内の管理が楽です。

これから新しくアイスプラントの栽培を始める方へのアドバイスはありますか?

比較的栽培しやすい作物ですので、暑さと凍らないように気を付けていただければ大丈夫です。ただし販売ルートはしっかり考えておいたほうが良いですね。

長谷川さんオススメの食べ方を教えてください

そのまま生で食べるのがおいしいです。お好みのドレッシングやマヨネーズをかけて食べていただければと思います。他の野菜と一緒にサラダに入れて、アクセントをつけるのもいいですよ。アイスプラントを見かけたら「栄養価もあるし食べてみようかな」と手に取ってもらえたら嬉しいです。

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取材動画

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今回取材させていただいたのは…

千葉県 旭市 長谷川さん
大学卒業後、一般企業に就職した長谷川さんは家業を継ぐために12年ほど前に帰省・就農しました。現在は3連棟(750坪)のビニールハウスを中心に複数のハウスでミニトマトを栽培しています。10年前、旭市では初となる本格的なアイスプラント栽培を開始。人が良く、穏やかで笑顔がすてきな方です。
●愛犬:マルちゃん(人懐っこくとてもかわいいです!)

ライタープロフィール

【施設園芸ドットコム 編集部】
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新しいイベントの企画やコラム記事の執筆、農家さんや企業様の取材を行っています。みなさんに喜んでいただけるような企画を日々考案しています♪









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