コラム

パパイヤ栽培をするために必要な基礎知識~病気対策編~

公開日:2023.04.19

甘い香りとみずみずしい食感がたまらない果物、完熟パパイヤ(パパイア)。日本では沖縄や九州地方で栽培されています。最近はシャキシャキとした食感が特徴の青パパイヤも野菜として人気があり、関西地方や千葉県でも収穫が可能です。しかし、収穫までの期間が長くなるほど、病気にかかりやすくなります。この記事では、青パパイヤからフルーツパパイヤまで、気をつけたい病気と対策について解説します。

1.パパイヤがかかりやすい病気は?

自家受粉で年間を通じて開花結実するパパイヤは、基本的には育てやすい作物です。しかし、環境によ ってはうどんこ病やアブラムシへの対策が必要になります。

うどんこ病は、葉の表面に白いまだら模様が現れる病気です。まるでうどんの粉をまぶしたように見えることから、うどんこ病と呼ばれています。葉の表面が覆われると、光合成が阻害され生育不良に。葉が黄色く変色して枯死する、果実が大きくならないなどの被害が出てきます。

また、アブラムシの発生も注意したいポイントです。アブラムシは、新芽やつぼみに群がり、植物の汁を吸って生育を阻害します。土壌肥料の窒素分が多い、風通しや日当たりが悪いなどの条件は、アブラムシが発生しやすい環境です。こまめに見回り、剪定をするなど対策を講じましょう。



2.ウィルスの被害に注意!

△病気に感染したパパイヤの葉


アブラムシは植物の生育を妨げるだけでなく、近年ではアブラムシが媒介するウィルスによるパパイヤ栽培への大きな被害が報告されています。

パパイヤリングスポットウィルス(PRSV)は、パパイヤの生産が盛んなハワイ、ブラジル、台湾などの生産地で問題となっているウィルスです。パパイヤ輪点ウィルスとも呼ばれ、果実に輪のような模様(輪点)ができるのが特徴です。ウィルスに感染すると、葉にモザイク状の模様ができ、果実が育たず、収量が低下します。また、1954年に沖縄本島で確認されたパパイヤ奇形葉モザイクウイルス(PLDMV)は、琉球列島のほか台湾まで勢力を伸ばしているウィルスです。パパイヤ奇形葉モザイクウィルスに感染すると、葉や茎、果実にモザイク状の模様が現れ、果実の色づきや形が悪くなります。

3.アブラムシ防除を中心に対策を

暖かい地域では屋外で育てられることが多いパパイヤ。アブラムシを媒体としたウィルスに感染しやすい条件がそろっています。アブラムシ類の侵入を防ぐために、栽培農家では網室やビニール温室などで隔離する栽培方法が実施されています。また、圃場の周辺を整備し、定期的にアブラムシを防除すること、育苗時からアブラムシの侵入を防ぐことが大切です。


熱帯、亜熱帯地域のパパイヤ生産国で被害が拡大しているパパイヤリングスポットウィルスや、パパイヤ奇形葉モザイクウィルスは、身近なアブラムシが媒介の原因です。葉や茎に付着していないかチェックを怠らず、早めのケアを心がけましょう。



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▼参考文献
〇J-STAGE,育種学研究
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsbbr/20/2/20_18J08/_html/-char/ja
〇住友化学園芸,病害虫ナビ うどんこ病
https://www.sc-engei.co.jp/resolution/pestanddisease/photolist/details/1280.html
〇Aces And Eights ™
https://www.ace8.net/grow-guide
〇みんなの趣味の園芸,パパイヤの基本情報
https://www.shuminoengei.jp/m-pc/a-page_p_detail/target_plant_code-953

ライタープロフィール

高橋みさと
自然に近い場所を求めて2021年に都内から郊外へ移住。 ライター業をしながら米や野菜づくりを実践しています。
趣味は登山と外遊び。 発酵に興味があり、コンポストを利用して生ごみを捨てない生活にはまっています!









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