コラム

石灰窒素の上手な使い方。雑草・病害虫対策に効果あり!

公開日:2021.04.23

1.石灰窒素って何?

日本では明治時代から製造されている昔ながらの資材「石灰窒素」。名前は聞いたことがあるけれど、効果や使い方まではよく分からない…という方も多いのではないでしょうか?

石灰窒素は、肥料としても農薬としても登録があり、ひとつでその両方の効果が期待できるという珍しい資材です。名前に「窒素」が入っているためか、どちらかと言うと肥料のイメージを強く持たれがちですが、実は農薬としても優秀。雑草から病害虫まで、幅広い対策に使える便利な資材なのです。
今回は、石灰窒素の防除効果や使い方、使用時の注意点などについてご紹介します。

2.石灰窒素の農薬効果と使い方

石灰窒素の主成分「カルシウムシアナミド」は、土壌中の水分と反応すると農薬としての有効成分「シアナミド」に変化し、除草・殺虫・殺菌に効果を発揮します。

除草効果

種まき・植付けの前に石灰窒素を土壌に散布処理することで、一年生雑草の防除が可能




殺虫・殺菌効果

種まき・植付けの前に石灰窒素を散布して土壌に混和することで、土壌中のセンチュウ類や白菜・キャベツの根こぶ病の防除が可能



緑肥・米ぬかなどのすき込みや、太陽熱による土壌消毒などと組み合わせて使用すると、上記以外の土壌病害虫に対しても防除効果が得られるとされています。石灰窒素の種類や銘柄によって農薬登録が異なる場合がありますので、使用前には適用情報をよく確認してくださいね。



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3.農薬としての石灰窒素~メリットと注意点~



メリット



肥料効果もあるので一石二鳥!

石灰窒素は、農薬として作用した後に肥料としても働きます。効果が長持ちする緩効性の窒素肥料なので、栽培期間が長い冬野菜などにもぴったりです。有機物の腐熟を促進する土づくり資材や、土壌の酸度(pH)をアルカリ性に傾ける矯正資材としても有効で、酸性土壌を嫌うネギやほうれん草などの栽培には欠かせません。土壌が窒素過多や高pHにならないよう、石灰窒素の肥料効果も考慮したうえで施用量を調整するようにしましょう。



環境にやさしい!

シアナミドは土壌中で尿素などの肥料成分に分解されるので、農薬成分が土壌に残留する心配がありません。また、石灰窒素の窒素成分は土壌から流亡しにくいので、地下水や河川水を汚染するリスクも抑えることができます。





注意すべきポイント ●散布後すぐの種まき・植え付けはNG!

石灰窒素の散布後は、シアナミドが完全に肥料成分に変わるまで、種まきや植え付けができないというデメリットもあります。散布から作付けまでは、春・秋期で7~10日、夏期では3~5日ほど期間をあけるようにしましょう。



●ほかの作物や人体への影響に注意!

散布時、周辺の作物の葉や茎に石灰窒素が付着すると、薬害を起こしてしまうことがあります。風に飛ばされにくい粒状タイプを使うなど、十分な対策をとってください。皮膚や眼に対する刺激性も強いので、直接触れたり、吸い込んだりすることのないよう注意が必要です。





肥料と農薬、両方の働きをもつ石灰窒素は、上手く使えば価格以上の効果が得られる注目の資材です。雑草・病害虫対策の一手として、ぜひ活用してみてはいかがでしょうか?





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▼参考文献
○石灰窒素なるほどガイド,デンカ株式会社
https://www.denka.co.jp/pdf/product/detail/00071/calcium_cyanamide.pdf
○石灰窒素の除草効果を考える − 何がどこまでわかっているのか?,独立行政法人 農業・生物系特定産業技術研究機構 中央農業総合研究センター 耕地環境部 畑雑草研究室 浅井元朗
http://www.cacn.jp/technology/dayori_pdf/140_jyosou_asai.pdf
▼参考サイト
○農薬登録情報提供システム,農林水産省
https://pesticide.maff.go.jp/
○日本石灰窒素工業会
http://www.cacn.jp/

ライタープロフィール

【にっく】
農業研究所の研究員として日本全国を飛び回ったり、アフリカ・東南アジアで農業技術普及プロジェクトに携わったり…国内外の農業に関わってきた経験を持つ農学博士です。圃場作業で汗を流すのが大好き。これまでの経験と知識を生かして、わかりやすい記事をお届けします!


 

    
    


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