コラム
公開日:2024.01.23
旬を迎えても実が赤くならない白いちご。近年、じわじわと注目を集めている果物です。出荷数が少ないことから希少性があり、高級果物として高い値段で取引されています。また、赤いいちごと組み合わせてスイーツのデコレーションに使ったり、縁起のよい紅白をあしらった贈り物として活用したりなど、今後も需要の広がりが予想される栽培果物です。 この記事では、白いちごの栽培に関心がある方へ、白いちごはなぜ白いのか?おすすめ品種や育てる際のポイントをご紹介します。
白いちごとは、白い果肉が特徴のいちごです。いちごはポリフェノールの一種であるアントシアニンにより果肉が赤くなります。白いちごの場合、アントシアニン色素を作る酵素が少ないのがポイントです。変異により誕生したいちごを掛け合わせ、糖度や酸味にこだわった新品種が次々と誕生しています。 赤くないいちごって甘いの?と心配になるかもしれません。白いちごには十分に糖度があり、赤いいちごにも劣らない味わいがあります。また、爽やかな香りが楽しめる点にも注目です。甘さを期待せずに口に入れると、思った以上にいちごの風味と甘みが感じられます。見た目と味わいのギャップを楽しめる果物です。
「白いちご」は、品種名ではなく、淡い色をしたいちごの総称です。現在では、真っ白ないちごから、ほんのりとオレンジ色をしたいちごまで、さまざまな種類の白いちご栽培が始まっています。
2009年に品種登録された「初恋の香り」は、糖度が12度から17度と甘みが強く、程よい酸味を味わえる品種です。うっすらとピンク色をした果肉に赤い種が広がる、かわいらしい見た目が特徴です。
鹿児島県で生まれた「淡雪」は、2013年に品種登録された白いちごです。果皮は白みがかったピンク色ですが、果実を割ると淡い橙赤色をしており、色の違いを楽しめます。旬を迎えると甘い香りが漂い、いちごの芳香も存分に味わえる品種です。
白いちごの栽培は、通常のいちごと同じく、苗の大きさに合わせた摘花の見極めや、収穫期前の追肥の量、タイミングなどに気を付ける必要があります。品種によって年に1度だけ実をつける「一季なり」と、年間を通じて実をつける「四季なり」があるため、栽培を軌道に乗せるためには、それぞれの特性を把握する期間が必要です。
白いちごの栽培で特に気をつけたいのは、収穫時期の見極め方です。白いちごは、通常のいちごのように果肉の赤みを目安に収穫することは難しくなります。食べ頃を見分ける合図は「香り」です。収穫が遅れると、出荷時に実が完熟を迎え、果肉が柔らかくなり出荷に耐えられません。いちごの芳醇な香りが圃場に漂ってきたら、見逃さずに収穫しましょう。
いちごの産地として有名な栃木や千葉では、白いちごが食べられる観光農園も増えています。まだまだお目にかかることが少ない、貴重な白いちごが食べ放題のいちご狩りは話題性も十分です。
真っ白な品種からほんのりと赤みのある品種まで、さまざまな種類の栽培が進んでいる白いちご。白いちごだけをふんだんに使ったタルトやパフェなど、目玉商品として注目を集めるのに十分な存在感があり、今後も需要が見込めそうです。これまで培ったいちご栽培のノウハウを生かして、白いちご栽培に挑戦してみませんか?
▼参考サイト
〇三好アグリテック
https://www.miyoshi-agri.co.jp/hatsukoi-no-kaori/hatukoi-no-kaori-main/
〇株式会社つのたんIP
https://tsunotan-ip.jp/product02/
〇カネコ種苗株式会社
https://www.kanekoseeds.jp/
〇株式会社ICHIGO
https://www.ichigo.asia/blogs/whitestrawberry/farm
ライタープロフィール
高橋みさと
自然に近い場所を求めて2021年に都内から郊外へ移住。
ライター業をしながら米や野菜づくりを実践しています。
趣味は登山と外遊び。
発酵に興味があり、コンポストを利用して生ごみを捨てない生活にはまっています!