コラム

農業用ハウスにはどんな種類があるの?メーカーや資材の選び方

公開日:2018.11.27

農業を知らない方から見ると農業用ハウスの違いはわかりづらいものです。今回は農業用ハウスの種類などをまとめました。これでハウスの基本的な見方や選び方がわかると思いますので、ぜひ確認してみてください。

1.農業用ハウスの種類

被覆資材による分け方

農業用ハウスには「ガラスハウス」と「プラスチックハウス」の2種類があります。「ガラスハウス」はガラス板を被覆資材として利用しています。「プラスチックハウス」とはポリオレンフィルム(農PO、農ポリ)を被覆資材として利用しているハウスのことを指します。以前は農ビ(農業用塩化ビニルフィルム)が被覆資材の主流だったため「ビニールハウス」と呼んでいました。そのため、農ポリが主流となった現在でもガラスハウス以外のハウスを総称してビニールハウスと呼ぶことがあります。
被覆資材には上記以外にもさまざまなものがあります。フッ素系フィルムなどの硬質フィルムや、FRP板FRA板などです。





骨材による分け方

プラスチックハウスの多くはU字型パイプを支柱に利用することから「パイプハウス」と呼ばれます。一方大規模に建設するハウスの場合、コンクリートの基礎に鉄製の柱など、強固な作りが必要です。このようなハウスを「鉄骨ハウス」と呼ぶことがあります。「鉄骨ハウス」の被覆資材はガラスの場合もあれば、フッ素系フィルムの場合もあります。





その他

ハウスが連続して繋がった状態のハウスを「連棟」、1つだけのものを「単棟」と呼びます。
昨今の大規模ハウスでは「両屋根」「片屋根」「スリークォータ」(※南側の屋根面積が大きく冬季の採光性に優れたハウス)、「フェンロー」(※連棟で骨材が細く、採光性が良いオランダ型)等、これまで日本になかった形の農業用ハウスも増加しています。



※注意点

ハウスの呼び方は意外と曖昧です。私の周囲にはフッ素樹脂のハウスもビニールハウスと呼ぶ人も結構大勢います。ハウスメーカーや先輩農家に相談する時などで、単に「ハウス」と呼ばれても分かりませんから、相手がどんな資材をイメージして話しているのか確認するようにしましょう。

2.農業用ハウスと資材の関係

農業用ハウスの種類を考える際には、ハウス内に設置する資材も同時に検討しながら決める必要があります。例えば「連棟では中間のハウスの換気が悪くなるので、単棟では不要だが、循環扇を大型で良いものにしよう」というような判断があります。冷暖房機やCO2発生装置、ミスト装置や電照など、多くの資材の選択はハウスの種類や設計に依存します。

3.農業用ハウス選び方「3つのポイント」



ポイント1

農業用ハウスは「価格」と「頑丈さ」がトレードオフの関係です。プラスチックハウスよりガラスハウス、パイプハウスより鉄骨ハウスの方が耐久性は良いですが価格は当然高くなります。また、「価格」と「頑丈さ」について、実際は2択ではなく、「パイプハウスに鉄骨の柱を組み合わせた、鉄骨ハウスより安くてパイプハウスより高い、パイプハウスより丈夫で鉄骨ハウスより弱い中間のハウス」が沢山ハウスメーカーから出ています。地域の先輩農家やハウスメーカー複数社から、この地域でこの作物を作るにはどれくらいのハウス(耐久性)が必要か相談することが大切です。





ポイント2

イニシャルコスト(初期投資額)だけでなく、「ランニングコスト」にも注意しましょう。例えば、暖房機を使う場合は、被覆資材を選ぶ際に、「価格」と「耐久性」だけでなく、内張との組み合わせや「気密性」も考えなければ、ケチったばかりに暖房費が高くつくという場合もあり得ます。





ポイント3

新品では高すぎて買えないと思っていても、近所で中古を譲ってくれるという場合もあります。パイプハウスの簡単なものは農家同士で売買し、自分たちで引っ越し作業を行うこともあります。近隣の農家ネットワークをフル活用しましょう。

ライタープロフィール

【uen01】
1反のハウスで夏秋ミニトマトの養液栽培(不織布ポットを利用した少量培地栽培)を行なっています。
元営農指導員のベテラン農家指導のもと、様々な実証実験を行いながら生産しております。元金融マンというバックグラウンドを生かして、数字に基づいた栽培及び経営を行なっています。








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