コラム

水耕栽培のメリットとは?おすすめ野菜と栽培方法

公開日:2018.11.30

1.水耕栽培とは?

家庭用の簡易な栽培キットの普及やスーパーに並ぶ野菜への表記により、「水耕栽培」という言葉の認知度が上がっています。
「水耕栽培」とは、土を使わずに水と液体肥料で作物を栽培する方法のことです。植物の根の部分が水に浸かり、施肥管理は水に溶かして行うので、栽培の過程で土を必要としません。

2.水耕栽培のメリット

水耕栽培には次のようなメリットがあります。


  • ●施肥や温度の管理が容易で生産量が安定する
  • ●衛生的な環境で栽培できるので、無農薬でも病害虫の発生リスクが少ない
  • ●土を使わないため、連作障害がない

3.おすすめの野菜と栽培方法

水耕栽培を始める時におすすめの野菜は、レタスサニーレタスチンゲンサイ小松菜などの葉物野菜や、いちごトマトなどの果菜類です。



栽培方法には、いくつか方式があります。



DFT方式(湛液型水耕法)

最もメジャーな水耕栽培の方式です。専用のベッドに養液を溜めて、植物の根を浸すことで栽培します。養液は水を経由して植物へ与えます。栽培に手間はかかりませんが、植物の根が全体的に浸っているので酸素不足に陥りやすいというデメリットがあります。酸素不足を解消するためには、エアポンプを使って水中に酸素を取り込むなどの対策が必要になります。





NFT方式(薄膜型水耕法)

塩ビなどのパイプに植物の根を挿して、緩やかな傾斜のついたパイプの中に水を流す方式をNFT方式と呼びます。パイプを使っているので簡単に拡張できますが、パイプが汚れやすく、定期的に手入れをする必要があります。また、NFT方式では塩ビではなくアルミニウム製のC型鋼を使った鉢物の栽培にもよく使われています。少量の養液で栽培可能で、空気に触れている部分が大きいので酸素不足の心配もありません。しかし、万が一停電などの理由で水を循環させるシステムが停止してしまうと、栽培ができなくなる危険性も考慮しましょう。





EZ水耕

水田に苗を挿したパネルを浮かべて行う水耕栽培の方法です。水田にあらかじめ元肥を投入しておくことで、土から栄養が少しずつ溶け出し、栽培開始後は施肥管理の手間がかかりません。ビニールハウスなどの施設がなくても始めることができ、休耕地の有効活用としても期待されています。さらに、同じ面積の水田で稲作を行うよりも収益性が高く、通常の水耕栽培よりも導入費用が安価といったメリットがあります。





アクアポニックス

水耕栽培+水産養殖という馴染みのない組み合わせですが、環境にやさしい新しい方式です。水耕栽培に使われる水の中で魚を養殖し、魚の排出物から得られる栄養分で作物を栽培します。栄養を吸収された水は、植物の力で綺麗になり魚のいる水槽へ戻るので、水を交換する手間もかかりません。家庭用の小さなものから施設用の大きなシステムまであります。





栽培方法は、設置したい場所や予算に合わせて検討しましょう。

ライタープロフィール

【Sandersonia(サンダーソニア)】
花とスケートボードを愛するフリーライター。サンダーソニアとは好きな花の名前。
IoT技術による農業生産の革新と農協改革の今後に関心を寄せる。花屋、JA営農指導員を経て独立。生産から流通、花束やフラワーアレンジメントまで花の知識ならお任せを。








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