コラム
公開日:2023.04.06
ニュージーランドなどではポピュラーなフルーツ「ペピーノ」。日本でも注目されつつありますが、まだまだ手に入りにくいということもあり、実物を見たことがないという方が多いのではないでしょうか。 そこで本記事では、ペピーノとは一体どんな植物なのかをはじめ、育て方のポイントやおすすめの食べ方を紹介します。比較的簡単に育てられるので、ペピーノを食べてみたいという方はぜひ家庭菜園で育ててみてください。
スペイン語できゅうりという意味を持つペピーノは、トマトやピーマンなどと同じナス科の植物です。原産地はアンデス高地(ペルー、エクアドル)とされていますが、現在はニュージーランドで盛んに栽培が行われています。冷涼な気候のアンデス高地が原産のため、高温に弱く涼しい環境で旺盛に育ちます。
多年草の植物ですが、日本では1年草として扱われています。
食味はスイカとメロンを合わせたような甘くてジューシーな味が特徴で、そのまま食べたりサラダにトッピングしたりして食べるのが一般的です。果実の大きさはテニスボールくらいのものから、大きいものだとりんごくらいの大きさのものまであります。レモンやイチゴなどと比べてもビタミンC含有量がダントツに多く、栄養価も高いフルーツです。
ペピーノの栽培が盛んなニュージーランドでは、品種改良が行われさまざまな品種が栽培されています。初心者にも育てやすく、おいしい品種を3つピックアップしたので育てる際の参考にしてください。
ゴールドNo.1は糖度が高くそのまま食べるのに適した品種です。豊産性で食味もいいので初心者の方にもおすすめ。
糖度が高くおいしいのでそのまま食べるのはもちろん、ジャムにするのもおすすめです。収穫適期になると紫色の縞模様が出るので、食べ頃の判断がしやすいというメリットも。
モンローダンスは細長い形が特徴の果実です。生食には向きませんが、漬物や炒め物にして食感を楽しむことができます。
ペピーノは草姿や花もナスによく似ています。育て方もナスと同様で良いですが、暑さには弱いため注意が必要です。ここからは、ペピーノの育て方のポイントを見ていきましょう。
ペピーノは日当たりのいい環境を好みます。生育適温は日中が18~24℃、夜間が13~17℃です。27℃以上になると生育が鈍化し花も咲かなくなるため、夏は半日陰などの涼しい場所で育てるようにしましょう。地植え栽培も可能ですが、管理がしやすい鉢植えがおすすめ。冬は室内の明るい場所で管理すれば越冬させることも可能です。
ペピーノは種が手に入りづらく発芽率が悪いこともあり、購入した苗を植え付けるのがおすすめです。
植え付けは、4〜9月の間に行います。苗はネット通販が確実ですが、ホームセンターなどで販売されていることもあります。植え付け時期になる4月頃から販売され始めるのでチェックしてみてください。
肥沃で水はけのよい土を好むので、植え付けに使用する土は市販されている野菜用培養土、もしくは赤玉土と腐葉土を7:3くらいの割合で混ぜたものを使用します。
植え付けの手順は以下の通りです。
1.鉢に鉢底石を入れる
2.鉢の8分目あたりまで土を入れる
3.鉢の中心に穴を掘り苗を植え付ける
4.土を鎮圧して安定させる
5.水やりをする
ナスと同じように主枝と脇枝2本を残して伸ばしていく3本仕立てで育てると開花や結実がしやすくなるのでおすすめです。そのままにしておくとわき芽が次々に出てくるので、こまめに取るようにしてください。
土の表面が乾いたらたっぷりと水やりを行いましょう。結実し始めのときは乾燥に注意し、果実が肥大しきったら糖度を高めるために控えめに水やりをします。
4~9月の生長期間中に3回に分けて追肥を行います。チッ素、リン、カリが等量のものか、リンが多めの肥料を適量与えてください。
病気については特に心配する必要はありませんが、アブラムシやハダニなどが発生することがあります。これらの害虫が発生した場合は、適合する農薬などを使用して早めに防除を行ってください。
水やりの際に葉にも水をかけてあげるとハダニの発生が抑えられるので、忘れずに行うようにしましょう。
ペピーノは挿し木で増やすことが可能です。枝を5cm程度に切ったら、挿し木用培養土に挿しておきます。日が当たらない場所で管理し、土が乾かないように水やりを行うと1か月ほどで発根します。発根して新芽がでてきたら、ポットなどに植え替えて通常通り管理を行います。
収穫時期は5月~12月。果実が黄色く色づけば収穫の合図です。収穫後は3日ほど置くことでやわらかくなります。
ペピーノは両性花で自家結実可能な植物ですが、自然受粉では実がつかないこともあります。そんなときは、雄花を軽く揺らして花粉を噴出させたり、筆や綿棒を利用して人工授粉させるのがおすすめです。筆など道具を使用するときはなるべく優しく、雌花が傷つかないように行いましょう。
ペピーノはそのまま食べてもおいしいですが、ジャムにするのもおすすめです。とても簡単に作れるので、たくさん収穫出来たらぜひ作ってみてください。
【材料】
ペピーノ:300g
砂糖:90g
レモン果汁:大さじ1
【作り方】
① 洗って皮をむいたペピーノを一口サイズにカットして、砂糖をまぶして3時間ほど放置する
② ペピーノから水分が出たら火にかけ、好みの状態になるまでヘラなどで潰しながら混ぜる
③ アクが出てきたら取り除き、焦げないように煮詰めていく
④ 仕上げにレモン果汁を加えて火を止める
⑤ 冷めたら保存容器などに移す
今回はペピーノの栽培方法とおすすめの食べ方を紹介しました。夏の暑さにさえ気を付ければ比較的簡単に育てられるので、ぜひ家庭菜園でチャレンジしてみてください。
▼参考記事
〇東京農業大学「南米原産「ペピーノ」アンデスの恵みを農大ブランド化へ」
https://www.nodai.ac.jp/application/files/2115/4710/0606/j_1709_pepino.pdf
〇トロピカルフルーツネット「ペピーノの育て方」
https://tropikalfruit.net/plantguide/pepino.html
〇みんなの趣味の園芸「ペピーノの育て方・栽培方法」
https://www.shuminoengei.jp/m-pc/a-page_p_detail/target_plant_code-957/target_tab-2
ライタープロフィール
かくやさゆり
種苗会社で培った経験と知識を活かしライターとして活動。
家庭菜園とアウトドア遊びが趣味の半農半ライターです。農業を中心にアウトドアをテーマにしたメディアでも執筆中。