コラム

光合成を最大限に!日射量を確保して収量アップを目指す方法

公開日:2019.10.03

農作物の収量アップにおいて光合成をいかに高めるかは農家にとって大きなテーマの1つです。
光合成に必要な3大要素の1つ「光」は太陽光から得るわけですが、作物の上のほうにだけ光が当たり、重なった葉の部分には当たっていない・・・なんてことも。
この記事では日射量をしっかり確保し、作物にたっぷり光を与える方法についてご紹介します。

1.収量アップに不可欠な光合成の仕組みとは

作物の生育アップ、収量アップを目指すためには、まず光合成の基本的な仕組みを理解することが大切です。
光合成に必要なものは「光、水、二酸化炭素」の3要素です。この3要素を使って“太陽から受けた光エネルギーを使い、根からの吸水や空気中の二酸化炭素を吸って集めた要素(H₂OとCO₂)で糖を生成し、酸素を吐き出す”事が光合成です。
このとき生成される糖が多ければ多いほど植物の体内に(糖が)蓄積されていき、果実が大きくなります。


  • ▼関連記事

2.光合成を最大限に!日射量を測定して把握しよう

人の目に感じる明るさを「照度(ⅼX)」といいますが、植物が光合成を行うためのエネルギーは「日射量(W/㎡)」で表します。
日射量は私たちの目に感じる光だけではなく、紫外線、赤外線、X線なども含みます。まずは自分のハウスにどのくらいの日射が届いているのか日射計を使って測定し、把握しましょう。効率よく光合成させるために必要なポイントが見えてきます。

ここからは、この日射量を最大限利用するための方法をご紹介していきます。

3.効率よく光合成させるための4つの方法




①ハウスのフィルム洗浄

ハウスの屋根が汚れていては、そもそもハウス内に入ってくる日射量をしっかり得られません。定期的に屋根や側面のホコリ、苔を掃除して光線透過率を高めるようにしましょう。

  • ▼関連記事




②散乱光のフィルムの利用

日射はダイレクトに採光するだけでなく、散乱光化させることが有効だといわれています。散乱光化とは、直射日光を四方八方に放出させ光を散乱させる現象です。
サンテーラ(株)より発売されている「調光」はハウス内の散乱光化ができ、外気温に合わせてフィルムの透明度(色)が変化するという世界初の画期的な農業POフィルムです。
低温時には透明で直達光を取り込み、高温時には梨地調になって散乱光化します。
紫外線や高温による植物の葉焼け、果実焼けや色素落ち、ハウス内の高温化を防ぐほか、散乱光によって作物全体の光合成量のアップが期待できます。
調光機能は外気温によって働くため、台風一過など急な日照の変化にも上手く対応します。

▲透明フィルム(写真右)は葉焼けが発生している。



  • ▼農機具情報




③遮光カーテンの利用

オランダ農業から生まれた遮光カーテン「LSスクリーン」を利用することで多くの日射(光)を取り入れることができます。 LSスクリーンの特徴は次の3つです。


  • (1)素材がポリエステル

透明部分にポリエステルを使用することで、採光性を高めています。
昼間はたっぷりの光量を取り入れる
一方、夜間は素材の持つ保温効果で熱が外部に逃げるのを防ぎます。

  • (2)アルミに特殊な表面処理

アルミ面に特殊な処理を施すことで、アルミ上面は日中の余分な日光や熱をはね返し、下面は保温効果を高めています。

  • (3)ポリエステルの糸構造

縦糸にも横糸にもポリエステルの糸を採用しています。隙間がないのに水分は通すという糸構造によって光量も確保できます。




④反射シートの利用

小泉製麻の「ルンルンシート白ピカ」はトマト栽培、イチゴ栽培などの果物類、シクラメンなどの花卉類に使われている光反射・防草シートです。日射(太陽光)を上手に反射させて作物に必要な光を与えます。反射率が高いため、作物により多くの光を当てることができ光合成促進に高い効果が期待できます。果実の生育や着色にも効果的です。
また、耐熱性にも優れておりハウス内に敷くことで、地温の上昇を抑制します。
繊維の巾が細く、目の詰まった折り込みなので丈夫に出来ています。さらに汚れの付きにくい加工がされているため耐久性の高いシートといえます。地面への馴染みやすさも考慮され、人が歩きやすい設計になっています。雑草対策にもなるため、一石二鳥の資材です。




散乱光化の高いフィルムや光を通す遮光カーテン、反射シートなど「日射量」の確保に役立つ資材をご紹介しました。1%の光の増大は1%の増収と言われるほど大切な光。
ハウスの清掃といった基本的な作業を踏まえつつ、しっかりと日射量を確保して光合成の効率化を目指しましょう。



▼参考資料
●森林総合研究所 平成28年版研究成果選集、植物が光合成に利用可能な光の量の新たな推定法
●2011タキイ最前線 冬春号、野菜の収量と栽培環境~光合成を知れば管理も変わる~

▼参考サイト
●株式会社誠和、おすすめ商品、日中・採光性「1%ルール」とLSスクリーン
<https://www.seiwa-ltd.jp/recommend/ls/ls3/>
●株式会社誠和、svensson
<https://www.seiwa-ltd.jp/ls/>
●資材販売(株)アイ・エイチ・エス、農業用光反射シートについて
<https://www.ihs1187.com/matome/hansha-sheet.html>



ライタープロフィール

【緒方裕理】
健康と環境に配慮した農業を第一としており、ハウス栽培や有機ブドウ栽培を経験しています。また農業に関心のある方を増やすために、身近にできる農業のやり方について研究しています。施設園芸に使える知識と経験をご提供していますので、ぜひご覧ください。
親の介護をしながら、実家の農園作りに勤しんでいます。