コラム
公開日:2020.03.19
農家のみなさんの中には、空いたビニールハウスを何かに利用できないかと考えている方も多いのではないでしょうか?
この記事では、これからハウスでメロンの栽培にチャレンジしてみたいという方向けに、おすすめ品種や栽培方法についてまとめました!
起源をたどると、原産国はアフリカ、中近東、中央アジアなどといわれています。いずれの地域も、雨が少ない乾燥地帯ですね。そこからヨーロッパと中国に分かれていき、前者は西洋メロン、後者はマクワウリとして発達していきました。
メロンの種類は、ネット系とノーネット系という2つに大きく分けられます。 表皮にたくさんの網目がつくられるものがネット系、網目がなくツルっとしているものがノーネット系です。
ネット系の方が味が良いのですが、栽培が難しい傾向があります。
◆ ネット系(アールスメロン)
◆ ノーネット系(プリンスメロン)
ガラス温室、ビニールハウス、トンネルといったように、メロンの栽培環境にはいくつかの種類があります。そして、それぞれに向いた品種があります。
たとえば高級メロンであるアールスメロンは、ガラスハウスで細やかな環境制御を行わないとうまく育ちません。奇跡の品種といわれている静岡県産のクラウンメロンもガラス温室で大切に育てられた高級メロンです。
ハウス栽培の場合、向いている品種は以下の通りです。
▲ アンデスメロン(イメージ写真)
▲ クインシーメロン(イメージ写真)
栽培の難しさと価格のバランスが丁度いい品種になります。
また、メロン栽培がはじめての方にはプランター栽培が管理しやすくおすすめです。この場合、品種も栽培がしやすい家庭菜園用のものが良いでしょう。
高級メロンと聞いてイメージするのは「マスクメロン」ですよね。
実は「マスクメロン」というのは品種ではなく、強い香りをもつメロンの総称。高級メロンに使われることが多いため、「マスクメロン」という品種だと思っていたのですね。
ここからは、メロン栽培の流れを“育て方のコツ”を踏まえてご紹介していきます。
苗は病気に強い接ぎ木苗がおすすめです。定植には最低地温が18℃必要なので、時期には充分注意しましょう。
支柱を立てて誘引する立体栽培と、地表を這わせる地這い栽培があります。立体栽培は1株1果どり、地這い栽培は小づる2本仕立ての4果どりが一般的です。地這いの場合は、本葉4-5枚のときに摘心を行います。
▲ 立体栽培
▲ 地這い栽培
乾燥を好む植物なので、かわきすぎない程度に水やりをします。 また、葉っぱが黄色になったら肥料切れの合図です。液体肥料などの即効性がある肥料を使いましょう。
規模が小さい場合は人工授粉が確実です。ある程度の規模の場合には、ミツバチを使って自然受粉させます。
受粉後7-10日、果実が鶏の卵ぐらいの大きさのときに摘果を行います。立体栽培の場合は、この時点で専用のフックを使って果実を吊るすことで、傷や変形を防ぐことができます。
着果枝の葉が枯れてきたら収穫の相図です。見た目だけではなく、試し割りをして糖度や肉質をきちんと確認しましょう。
以上、ビニールハウスでのメロン栽培についてお伝えしました。
作物のなかでは栽培が難しいといわれるメロンですが、それだけに収穫の喜びもひとしおです!みなさんも是非、挑戦してみてください。
▼参考サイト
〇melonote
https://nira-melon.net/
〇バローナビ,メロン栽培の手引き
https://hcvalor-navi.com/gardening/kasai/melon/tebiki
ライタープロフィール
【内村耕起】
宮崎県の牛農家生まれ。大学院で植物工場での廃棄物利用に関する研究に従事したのち、全国の農家を訪ね歩いてファームステイ。岩手県の自然栽培農家で2年間の農業研修を経て、現在は宮崎県の山間部の村で自給的農業を営む傍ら、ウェブライターなどもしています。