コラム

ミツバチがうまく働くコツと管理方法を公開!イチゴの成功は受粉で決まる

公開日:2019.05.21

イチゴといえば春のフルーツでしたが、最近は冬でも美味しいイチゴが食べられるようになりました。施設園芸の進歩や生産者の工夫により、今ではお歳暮やお正月の贈り物としてもおなじみです。そんな美味しいイチゴを栽培する鍵はどうやらミツバチが握っているようです。
今回は農業におけるミツバチの活用法やミツバチ管理のコツを見ていきます。

1.ミツバチの働きが重要なイチゴの受粉とは?

植物は、花を咲かせ、受粉をし、実を作ります。
イチゴも同じです。花びらの真ん中にめしべがあり、その周りにおしべが並んでいます。このおしべの花粉がめしべの柱頭につくことで受粉をし、子房が膨らんでイチゴの実になります。
しかし、そのままでは受粉しないので、めしべに花粉がつくように何らかの手助けが必要です。


自然界でのイチゴの受粉は虫が手伝っています。花の蜜を吸うために集まった虫が花から花へ移動するときに、虫の体についた花粉が一緒に運ばれて受粉をするのです。
しかし施設園芸では、人工授粉が必要になります。ハウス内の人工授粉ではミツバチやマルハナバチ等の花粉交配用昆虫の働きが重要となっており、国内での経済効果は約780億円(施設内利用)とも言われています。
イチゴ栽培では主にミツバチを利用します。ミツバチが蜜を求めてイチゴの花から花へ飛び回り、おしべとめしべに体を擦り付けながら蜜を吸うことで、体毛に花粉が集まります。この体毛に集まったおしべの花粉がめしべにうまくかかり受粉ができるのです。
1つの花に対してミツバチが10回以上繰り返し蜜を吸いに訪れることで、形の良いイチゴが栽培できます。ミツバチは奇形果防止としても欠かせません。

2.ミツバチが上手に働く飼育管理と巣箱設置のコツ

巣箱には女王蜂が入っているもの、入っていないもの。春~秋用、周年使用可能なものなど、様々な種類があります。巣箱は自分で巣箱を作りミツバチを集めることもできますが、大体の農家さんは養蜂家や、最寄りのJA、農業資材販売会社で買い取りまたはリースで入手しています。




ミツバチ飼育における4つの注意点

(1)ミツバチはハウスの面積やハウス内の花の量に見合った巣箱を、開花時期に合わせて導入します。ミツバチを多く導入したからといってたくさん受粉ができるわけではありません。イチゴ栽培では10aあたり1郡(6000~8000匹)と言われています。地域や時期、環境により変わってきますので養蜂家や販売業者との相談をお勧めします。

(2)導入後は紫外線をさえぎるビニールフィルムに気を付けます。人間には見えない紫外線が、ミツバチには明るい光として見えています。紫外線が届かないとミツバチがうまく飛べなくなることもあります。

(3)農薬散布に注意が必要です。訪花活動に影響が出る可能性もあり、品質や収量に影響が出る場合もあります。ミツバチに影響が少ない農薬を選び、散布前日の日没後にハウスの外に出しておきます。ハウス外に出している間は、温度や換気に気を付けながら管理します。農薬散布後安全日数を超えたら必ず元の場所に戻すようにしましょう。

(4)ミツバチは20~25℃で訪花活動が活発化します。30℃以上になるとミツバチにとっては危険な状態になりますので注意が必要です。暑すぎて死んでしまうこともあります。




巣箱の置き場所

巣箱の置き場所は、セイヨウミツバチ飼育歴40年のイチゴ名人によると、「巣箱をハウスの縁に置くとミツバチが弱る。出入り口から5mほど入ったところの、両サイドの真ん中がいい」のだとか。ハウスの縁では夜の冷え込みや湿気も溜まりやすくミツバチが弱ってしまうそうです。

またこのようなコツもあります。



巣箱設置のコツ ●巣箱は台の上に置くなどして目立つようにすると、ミツバチが巣箱に戻るのに迷わない
●ミツバチは巣箱の位置が変わると戻れなくなるので、一日30cm以上は動かさないようにする
●巣箱のミツバチ出入り口・巣門は太陽の方向へ向ける
●寒さに弱いので施設内と巣箱内の温度に気をつけ、寒いときには巣箱を毛布でくるむ


●法令上の注意点
ミツバチの飼育には届け出が必要です。地域によって異なりますが、農林事務所などでの手続きがあります。

3.人とミツバチが上手に付き合っていくために

現在日本に生息するミツバチは大きくわけて二ホンミツバチとセイヨウミツバチの2種類います。攻撃性が低いので人を刺しにくく飼育がしやすいことで、現在はセイヨウミツバチを使うことが一般的になっています。 しかし、刺される可能性が0というわけではありません。




ミツバチに刺されないためには

ミツバチに刺されないためには服装にも注意が必要です。髪の毛を覆う帽子をかぶり、長袖、長ズボンを着用して袖や裾を絞りましょう。また、ヘアスプレーや香水など匂いが強いものはミツバチに刺激を与えるので、つけないようにしましょう。





ミツバチに刺されそうになった場合には

ミツバチを叩いたり攻撃をせずにその場から逃げましょう。





ミツバチに刺されたら

このように施設園芸でのイチゴ栽培では、ミツバチが大活躍です。デリケートで働き者のミツバチの環境に気をつけ、優しく接することが良質なイチゴ収穫への第一歩となります。イチゴ生産者にとってミツバチは良いパートナーですね。




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【参考サイト】
●一般社団法人 日本養蜂協会, イチゴの受粉と結実
<http://www.beekeeping.or.jp/farmer/pollinating-manual/strawberry>
●一般社団法人 日本養蜂協会,巣箱をハウスで利用する場合の留意事項
<http://www.beekeeping.or.jp/farmer/pollinating-manual/consideration>
●施設園芸をめぐる情勢,農林水産省,平成28年6月,「10.施設園芸における課題 花粉交配用昆虫の利用」
<http://www.maff.go.jp/j/seisan/ryutu/engei/sisetsu/pdf/jyousei_1.pdf>

【参考文献】
●「飼うぞ殖やすぞミツバチ 畑で働く交配バチ」,『現代農業 特選シリーズ8』2014年9月号,P44, 農山漁村文化協会
●久志富士男(2010)「我が家にミツバチがやって来た―ゼロから始めるニホンミツバチ養蜂家への道」



ライタープロフィール

【施設園芸.com編集部】