コラム
公開日:2020.08.19
※出典元:スガノ農機(株)
水はけの悪い土は、農業において様々な障害をもたらします。根腐れや生育不良など、作物そのものに与える影響はもちろん、ぬかるんでトラクタなどの機械が圃場に入れないといった、営農上の問題まで、その影響は多岐にわたります。
そこでここからは、「サブソイラー」を使った土壌の排水対策についてご紹介していきます。
水はけの悪い圃場への対策として有効なのが「サブソイラー」の使用です。サブソイラーとは別名「心土破砕機」と呼ばれる農機具です。「心土」とは作土層の下、深さ30cmより下にある硬い土の層のことで、サブソイラーの施工はこの心土を砕き、土中への水分の浸透性を上げることが目的です。
また、土中に溝ができて空気を含むことになるため、作物への酸素供給も増えます。土中の水分量や酸素量が増えることで作物の生育が良好になり、作物によっては食味が向上することもあります。良好な土壌環境を保つためには、定期的なサブソイラーの施工が有効と言えるでしょう。
サブソイラーの施工だけですべての問題が解決されるわけではありません。サブソイラーは基本的に、圃場の暗渠(あんきょ)工事がされていることを前提としています。
ナイフで圃場に縦溝を掘ることで多少の水分は浸透しますが、その水分が逃げる水路がなければ、結局水分がその場に滞留してしまいます。排水性を高める暗渠をメインとして、その暗渠の効果を最大限発揮させるのがサブソイラーというわけです。
圃場に暗渠が入っていない場合、「弾丸」と呼ばれるアタッチメントを装着した機種がおすすめです。ナイフ後方に装着する円筒状のアタッチメントで、サブソイラーの施工と同時に簡易的な暗渠を作ることがでます。
予算が潤沢にあるのであれば新品での購入をおすすめします。というのもサブソイラー自体、トラクタに装着する農機具の中では抑えめな価格で購入できるからです。小型~中型トラクタ用であれば数十万円、大型のものでも100万円台で各メーカーでラインナップされています。
また、PTOや油圧機構も使用しないものがほとんどなため、使用上のトラブルも少なく、一度購入してしまえば長期間使用でき、長い目で見れば十分元をとれる機械です。もちろん、コストを抑えるのであれば中古品やレンタル品も出回っています。まれに掘り出し物が見つかることもあるので、興味のある人は日頃から中古情報をチェックしておくことをオススメします。
作物の栽培において一番重要なのは良い土づくりです。その中でも排水性はかなり大切な要素となります。サブソイラーの施工で良い土壌環境を検討してみてはいかがでしょうか。
※リンク先:スガノ農機(株)「Channel SUGANO」
▼参考サイト
〇サブソイラ,製品情報,スガノ農機株式会社
https://www.sugano-net.co.jp/products/ssoiler/
〇土づくり編(2)心土破砕土づくり,機械,みんなの農業広場,農作業便利帖,土づくり
https://www.jeinou.com/benri/machine/soil/2011/05/020935.html
〇硬盤破砕・弾丸暗渠で排水性を大幅改善, 排水性の改善で収量アップ,営農情報,KAWABE
http://www.kawabenoken.co.jp/einou/supper01/
ライタープロフィール
【オオタニ コウスケ】
北海道出身。
酪農経営について学んだ後、大手農業機械メーカーにて勤務しました。現在は機械メーカーで培った経験と知識を元にライターとして活動しています。得意分野は酪農、トラクタ、作業機、噴霧器やポンプに関することです。