コラム
公開日:2022.07.26
料理の彩りや香りづけに利用される「パセリ」は、比較的簡単に育てることができるハーブのひとつです。脇役のイメージが強いパセリですが、栄養価が高いので貧血予防や免疫力アップなどの健康効果が期待できる作物として注目を集めています。今回は、パセリの基本情報をはじめ、ハウス栽培で行う栽培方法についてわかりやすく解説します。
パセリは、地中海地域沿岸が原産とされるセリ科オランダゼリ属のハーブです。パセリは基本的に「縮葉種」と「平葉種」の2種類に分けることができます。日本では「モスカールドパセリ」など縮葉種の品種が一般的ですが、最近では爽やかな香りが特徴の「イタリアンパセリ」や「チャービル」といった平葉種のパセリも人気です。栽培方法は比較的簡単で、過度な乾燥にさえ気を付ければ元気に育ってくれるため、初心者の方にもおすすめのハーブです。
パセリは、地植えとプランターどちらでも育てることが可能です。ここからは、種まきから収穫までの育て方と栽培のポイントをご紹介します。
●種まき・植え付け:4月上旬~5月下旬、9月上旬~10月中旬
●収穫時期:4月上旬~10月下旬
●開花時期:6月上旬~7月下旬
【種まき】
パセリの発芽適温は15℃~23℃です。春まきは4~5月、秋まきは9~10月の間にポットやセルトレーなどに種を播きます。種まきを行う際は、一晩水に漬けると発芽しやすくなります。パセリは好光性種子なので、薄めに覆土しましょう。
【植え付け】
本葉が5~6枚に育ったら苗を植え付けましょう。植え付けの2週間前までに1㎡当たり100gの苦土石灰を散布してよく耕しておきます。植え付けの1週間前になったら堆肥や緩効肥料を入れて耕し、高さ10cm程度の畝を作ります。プランター栽培の場合は野菜やハーブ用の培土を使用しましょう。複数植える場合は、30cm程度の間隔を空けて植えるようにしてください。
【栽培環境】
パセリは基本的に日当たりと風通しの良好な場所を好みます。直射日光を当てると葉が硬くなるので、柔らかい葉を収穫したい場合は半日陰の場所に置くなど好みによって調整してください。
【水やり】
パセリは乾燥が苦手な植物のため、生育期間中は土の表面が乾燥しているなと感じたら水やりを行うようにしましょう。
【追肥】
生育期間中は肥料を切らさないように注意しましょう。追肥の量やタイミングは、生育などによっても調整が必要ですが、葉の色が黄色っぽくなっていると感じたら市販の液体肥料や粒状タイプの緩効肥料を与えます。
【収穫】
本葉が13枚以上になったら収穫可能の合図です。外側の葉からかき取るイメージで収穫しましょう。夏から秋にかけて花芽を付けるので、見つけ次第切り取るようにすることで長く収穫を楽しむことができます。パセリの収穫時期は基本的に4~10月とされていますが、常緑の植物なので真冬以外であれば一年中収穫することも可能です。
パセリは二年草の植物なので植え付け後2年目に花を咲かせます。花が咲き終わり種を付けたら、採種した種をまくことで増やすことが可能です。
【害虫】:アブラムシ、イモムシ、ネキリムシ、ハダニ、ヨトウムシ
パセリは比較的害虫が付きにくい植物ですが、ヨトウムシやイモムシ、アブラムシには特に注意が必要です。特にヨトウムシやイモムシは大食いなので、1日でパセリが茎だけになってしまいます。見つけ次第捕殺するか、農薬を使用しましょう。アブラムシの捕殺は難しいので、発生したら農薬で対処を行ってください。
【病気】:うどんこ病、立枯病、苗立枯病、灰色かび病
病気が発生したらすぐにその部分を取り除くようにしてください。症状が治まらず広がっていくようなら有効な薬剤を使用して対処しましょう。
今回は、ハウス栽培におすすめのパセリの育て方を紹介しました。露地栽培では硬くなってしまいがちですが、日光の調整が行えるハウス栽培では柔らかくおいしいパセリを作ることができます。ぜひこの記事を参考に、パセリ栽培を始めてみてはいかがでしょうか。
▼参考サイト
〇住友園芸「パセリ【地植え】の育て方」
https://www.sc-engei.co.jp/cultivation/details/74.html
〇ヤサシイエンゲイ「パセリの育て方」
http://www.yasashi.info/ha_00010g.htm
ライタープロフィール
かくやさゆり
種苗会社で培った経験と知識を活かしライターとして活動。
家庭菜園とアウトドア遊びが趣味の半農半ライターです。農業を中心にアウトドアをテーマにしたメディアでも執筆中。