コラム

コナジラミを徹底駆除!効果のある農薬と天敵の使い方

2018.10.18

1.農薬に強い耐性を持つコナジラミの出現

コナジラミ類はハウス栽培でよく発生しますが、トマト黄化葉巻きウィルスなどのウィルス病を媒介する恐ろしい害虫です。

▲トマト黄化葉巻病



農薬を用いた防除が一般的ですが、2005年から多くの農薬に強い耐性を持つタバココナジラミが確認されるようになり駆除が難しくなってきています。

農薬に対する抵抗性発達はコナジラミに限らず深刻な問題となっており、人の病原菌が抗生物質に耐性を獲得する問題と同じように、農薬を使用する限り避けて通ることはできません。新しい系統の農薬が開発されることを待ちながら系統の違う複数種の農薬を使い抵抗性発達の時間を遅らせたり、農薬に依らない方法で対応していくことが重要です。

そこで今回はコナジラミ類に有効な農薬と天敵の効果的な使用方法を詳しく紹介していきたいと思います。

2.抵抗性発達は農薬使用の宿命

害虫として問題になる代表的なコナジラミ類はオンシツコナジラミタバココナジラミです。
利用できる農薬としてオルトラン®粒剤など様々なものが登録されています。しかしながらタバココナジラミのうちバイオタイプQ(外見での区別はできないが遺伝子型が異なる)は多くの農薬に耐性があり、切り札的に使われるネオニコチノイド系の農薬でさえほとんど効果がみられないものもあります。

以下のバイオタイプQにも効果のある農薬一覧を、農薬を選択する際の参考にしてください。農薬を使う場合には系統の異なる複数種をローテーションして使うことが重要です。



この表をダウンロードする

3.効果のある天敵資材を使いこなそう

天敵資材は生物農薬に分類されますが、一般的に農薬と呼ばれる化学農薬と異なり、抵抗性発達の心配がほとんどないので安心して繰り返し使うことができます。
高い効果を得るためには、各資材の説明書に従って適切に使用することが重要です。コナジラミ類の主な天敵資材としてオンシツツヤコバチスワルスキーカブリダニ、カビの仲間である糸状菌を利用したものがあります。



オンシツツヤコバチ(資材名:エンストリップ®、ツヤトップ®など)

オンシツツヤコバチ成虫がコナジラミ幼虫に産卵管を刺し、体液を摂取することでコナジラミを殺します。
資材を開封すると、蛹化した状態のオンシツツヤコバチが貼りつけられた厚紙のカードが入っています。資材が届いたらすぐに開封し、カードを施設内に偏りなく吊り下げます。
コナジラミ成虫の約2倍のオンシツツヤコバチを放飼するようにし、放飼開始後は毎週連続して3~5回放飼するようにしましょう。夏期は施設内の最高気温が40℃を超えないよう、冬期は昼間の最高気温が25~28℃まで上がるように気を付けます。




スワルスキーカブリダニ(資材名:スワルスキー®など)

コナジラミ類の卵と幼虫を捕食します。成虫は捕食できないので、施設の側面や天窓等に防虫ネットを張ることで成虫の侵入を防ぐことが重要です。生存日数は短いので、資材が届いたらすぐに使用します。ハウス栽培の場合、10aあたり25000~50000頭を均一に放飼し、放飼後2週間は摘葉しないようにします。適温は28℃で、夜温が15℃以上になるように気を付けます。




様々な糸状菌(資材名:ボタニガード®ES、ゴッツA®など)

カビの仲間である糸状菌を利用した天敵資材で、コナジラミ類に寄生し害虫体内で増殖しコナジラミ類を殺します。適切な濃度に希釈し、7日間隔で複数回散布するようにします。コナジラミ類が多く生息する葉裏や生長点にしっかりかかるようにしましょう。防除効果は湿度に大きく左右され80%以上の湿度を長時間必要とします。ハウス栽培の場合には、夜間に高湿度環境になるので湿度条件は満たす場合が多いのですが、除湿器や加温器を使っている場合には注意が必要です。菌糸に覆われて発病死したコナジラミ類は、取り除かず施設内に残しておくことで二次感染源として利用できます。




農薬ばかりに頼らず天敵や防虫ネットの使用蒸し込み処理などの方法を組み合わせて行うことで確実にコナジラミ類を駆除し、農薬に対して耐性を獲得させないようにしていきたいですね。



  • ▼蒸し込み処理について詳しくはこちら




【参考文献】
〇天敵資材 コナジラミ類、天敵大辞典 生態と利用、農山漁村文化協会、資43-75, 2008.
〇(13)コナジラミ類防除対策、群馬県農薬情報システム 病害虫雑草防除指針、群馬県 農政部技術支援課生産環境室、2017.
〇タバココナジラミ バイオタイプQに対する薬剤感受性、農業総合開発センター 生産環境部病害虫防除室・病理昆虫研究室、2017.



ライタープロフィール

【haruchihi】
博士(環境学)を取得しています。
持続可能な農業を目指し、有機質肥料のみを使ったトマトや葉菜類の養液栽培を研究してきました。研究機関やイチゴ農園で働いた後、2児の母として子育てに奮闘する傍ら、家庭菜園で無農薬の野菜作りに親しんでいます。