コラム
公開日:2018.10.29
うどんこ病は植物を育てたことの無い人でも知っているようなメジャーな病気ですよね。かびの仲間である糸状菌が原因の病気でほとんどの植物に発生し、粉がかかったように葉が白くなる症状が特徴的です。生育悪化に加え見た目を損なうことも問題となります。
発見は比較的容易ですが、いざ対処しようと思った時に問題となるのがその方法です。
「農薬はできるだけ使いたくない。けれども無農薬では効果に疑問がある…」というジレンマに陥っている方も多いのではないでしょうか?
そんな時には食酢や重曹といった安全な農薬を賢く取り入れて使うのも1つの手です。食酢や重曹が農薬と言われてもピンと来ないかもしれません。そこでうどんこ病対策として、一般的な農薬と食酢や重曹のような指定農薬の何が効くのか?を紹介していきたいと思います。
※ここでは登録を受けた農薬、指定農薬以外
効果的でごく一般的な対策となっています。様々な農薬が登録されていますが、家庭菜園の場合には殺虫剤と殺菌剤が混合されており、うどんこ病以外にも幅広い用途に使えるベニカグリーンVスプレー®などが便利です。どの農薬を使う場合にも作物名ごとの適応病害虫や使用方法をしっかり確認してくださいね。例えばトマトとミニトマトでは使える農薬が異なるので注意が必要です。
特定農薬とは、
“その原材料に照らし農作物等、人畜及び水産動植物に害を及ぼすおそれがないことが明らかなものとして農林水産大臣及び環境大臣が指定する農薬(改正農薬取締法第2条第1項)”
のことで、具体的には食酢や重曹、天敵などがあります。安全なものなので安心して使うことができ、どのような作物や病害虫にも使うことができます。
稲のもみ枯細菌病などに効果があり主に種子消毒に使われます。うどんこ病対策として用いていけないわけではありませんが効果はあまり期待できないと思われます。
野菜類、バラ、ホップのうどんこ病に効果があります。0.1%に薄めたもの(重曹1gに対し水1000ml)を10aあたり150~500L散布します。うどこん病だけでなく、野菜類、バラ、ホップの灰色かび病や野菜類のさび病にも効果があります。にがうりに使う場合には薬害が報告されているので注意が必要です。
電解次亜塩素酸水はあまり聞き馴染みがないかもしれませんが高い殺菌力があり、きゅうりやルッコラ、大葉、イチゴなどのうどんこ病に効果があり、イチゴの灰色かび病やミツバの菌核病にも効果があります。生成直後の電解次亜塩素水を散布する必要があるので自作は難しいですが、水やり感覚で簡単に使える農業用の電解水精製装置が市販されています。
農薬や重曹、電解次亜塩素酸水などを上手に使ってうどんこ病を発生初期で徹底的に退治しましょう。
▼引用文献
〇農林水産省HP、「農薬取締役法」
< http://www.maff.go.jp/j/nouyaku/n_kaisei/zenbun.html >2018/10/24アクセス
▼参考文献
〇農林水産省HP、「指定農薬とは」
< http://www.maff.go.jp/j/nouyaku/n_tokutei/about_tokutei.html >2018/10/24アクセス
〇農林水産省消費・安全局長・環境省水・大気環境局長、「特定農薬(特定防除資材)として指定された資材(天敵を除く。)の留意事項について」平成26年3月28日25消安第5776号
〇ホシザキなっとくラボ、「農業に使える電解水」
< http://www.hoshizaki.co.jp/h-lab/electrolyzed-water/ >2018/10/24アクセス
ライタープロフィール
【haruchihi】
博士(環境学)を取得しています。
持続可能な農業を目指し、有機質肥料のみを使ったトマトや葉菜類の養液栽培を研究してきました。研究機関やイチゴ農園で働いた後、2児の母として子育てに奮闘する傍ら、家庭菜園で無農薬の野菜作りに親しんでいます。