コラム

コナジラミを徹底駆除!専門家が教える効果的な5つの対策と予防策

公開日:2018.12.27

様々なウイルス菌を媒介させ、作物を病気に感染させてしまうコナジラミ。最盛期には10~14日の周期で卵から成虫になり爆発的に繁殖します。発生時期は4月~10月頃の高温乾燥時期とされていますが、温度・湿度が保たれているハウス内では冬でも発生します。一般的な駆除方法ではなかなか効かない…とお困りの方も多いのでは?

そこで、今回はコナジラミの駆除方法について、何が1番効果的な対策なのか?次の作に向けて、今から出来る予防策。発生してしまった方へのアドバイスを農業の専門家:深田さんに教えてもらいました!

1.苗~定植初期の感染は命取り!

コナジラミがウイルスを伝搬することによって感染するトマトの黄化葉巻病。その名の通り茎葉全体が黄化し、葉巻したり委縮してしまいます。発病株では開花しても不稔(発達不能)が起こるため著しい収量低下の恐れがあります。とくに育苗期から定植初期に感染、発症すると重大な被害に繋がるため、最も注意を必要とする時期です。罹病性品種(りびょうせいひんしゅ=抵抗性を持たない品種)の場合は収穫開始に至らず全滅する可能性があります。
抵抗性品種においても抵抗性遺伝子ty-2をもつ品種(最近は採用している産地も少なくなりました)の場合は、マイルド系の黄化葉巻病には抵抗力がないため、罹病性品種と同じようにコナジラミ対策が必要です。また抵抗性遺伝子ty-3aをもつ品種の場合はイスラエル系にも抵抗力がありますが、実際は抵抗性というほどの効力はなく耐病性レベルであるためコナジラミの密度が高いと発病・発症します。
低温時期には一時病兆が消えて正常な生育をしますが、春になると再発病し総収量、品質は低下します。




もし黄化葉巻病が発生したら?

株は必ず抜き取ります。黄化葉巻病発生部位のみ摘除しても強力な感染源となっています。肥料袋などで密封して処分しましょう。
※屋外に放置するとコナジラミがウイルスを獲得し新たな伝染源になります

▲トマト黄化葉巻病



2.防除の基本は「ハウスに侵入させない!」5つのポイント

コナジラミ防除の基本はハウスに侵入させないことです。
ここからは詳しい5つのポイントを見ていきましょう。

【point.1】紫外線カットフィルムの展張がコナジラミの活動抑制に有効です。
コナジラミをはじめ、虫は物を判断するのに必要な光の波長が人間とは異なります。人間に必要な光の波長は400~700nm(ナノメートル)、害虫に必要な光の波長は300~400nmです。
つまり、人間が明るいと感じる波長域の環境は昆虫にとっては暗黒です。実際の自然界は紫外線光~可視光線域~赤外線域と幅広い波長が降り注いでいるため、人間も虫も普通に活動することが出来ています。この特性を利用し、ハウスに展張するフィルムで400nm以下の紫外線部分の波長をカットし、コナジラミにとって暗黒と感じる状況を作ります。するとコナジラミは暗黒下では活動ができなくなります。
ただし、いちご、メロン、すいかといったミツバチを使う作物には使えません。紫外線が少ない状況下ではミツバチの活動も抑制されてしまいます。また、ハウスの全面を紫外線カットにする必要があります。部分的な展張では紫外線がハウスの中に多く照射するため、上記のような効果が現れません。


【point.2】黄色の粘着シートを成長点の高さに設置してください。物理的にコナジラミを捕獲します。育苗ハウス、本圃ともにハウスバンドを成長点の高さに合わせて張り、粘着シートをホッチキスで留め、成長が進むのに合わせてずり上げていきます。粘着シートは10アールあたり100枚程度必要です。そのままのサイズで数が少ないより、小さくても切り分けて枚数を多くしたほうが効果は高くなります


【point.3】育苗後半に粒剤を施用し、ハウスに成虫、卵、幼虫を入れないようにしてください。
おすすめの薬剤は、“定植前後に効果・残効能が高く土壌灌注(どじょうかんちゅう)”が可能なプレバソン®です。また、プリロッソ粒剤®は速やかな摂食活動を阻害し、散布後も約3~4週間の残効があります。天敵や訪花昆虫への安全性も高いのでこちらもおすすめです。
その他、モンベントフロアブル®は新規有効成分で難防除害虫に安定した効果があります。ただし、マルハナバチに影響があるので注意が必要です。コルト顆粒水和剤は即効性があり、天敵や有用昆虫に対する安全性が高い薬剤です。既存剤に抵抗性を持つ害虫に有効ですが、こちらもミツバチに影響があるので注意が必要です。

※ミニトマトにおけるコナジラミ対象農薬です。作物によって適用害虫が変わるため、詳細は各メーカーサイトをご確認ください。



※注意 育苗ハウスからの移動時の感染、コナジラミの本圃への侵入に注意してください。工場用扇風機を入口外に向けて送風しながら搬送すると良いですよ。




【point.4】ハウスの出入り口は2重扉にして、ハウス開口部に防虫ネットを展張してください。(サイド部分0.4mm♯、天窓部分は基本0.4mm♯ですが高温が問題になる場合は0.6~0.8mm♯)


【point.5】ハウス周辺に「シルバーマルチ」やスズメ除けの「シルバーテープ」を派手に設置してください。コナジラミが近寄る数が減少します(忌避効果)。ハウス周辺設置の場合「白マルチ」は紫外線を反射しないのでコナジラミ忌避効果がありません。しかしハウス内の畝に被覆するマルチは冬期の日射反射目的で白黒ダブルが有効です。

3.コナジラミが発生!薬剤防除3つの注意点

もしハウス内でコナジラミが発生してしまったら・・・。これ以上増やさない、外に出さないために薬剤防除を行います。




薬剤防除3つの注意点


(1)成虫は“目に見えなくてもいる!“と考えて定期的な防除が必須です。もし1匹でも見つけたら幼虫、さなぎ、卵はかなりの数いると考えてください。
高温期は生育サイクルを考えて最低でも5-7日おきの薬剤散布をしてください。とくに気温が下がる秋口は7-10日おきの薬剤散布が有効です。

(2)農薬の散布回数は限られているため、特効薬の間に気門封鎖剤、脱皮阻害剤を挟むことが有効です。気門封鎖剤は薬剤抵抗性(農薬が効かないコナジラミ)に関係なく効果が望めます。

(3)ウイルスを感染させながら飛び回る成虫を即効駆除する為に 栽培前半は「即効性の農薬」を中心にローテーションを組み、同時に遅効性の農薬を混用することです。 栽培後半は回数制限の理由から遅効性または回数制限のない農薬を使用します。




コナジラミを外に出さない対策

コナジラミは絶対にハウスから出してはいけません。
とくに黄化葉巻病発生圃場は屋外にコナジラミを出さないことは必須ですが、黄化葉巻抵抗性(耐病性)品種の場合は症状が出ていなくてもほぼ確実にウイルスを保持しています。
また、コナジラミが屋外に出ると周辺雑草で秋まで生息し、次年度栽培にまでコナジラミが世代交代しながら繁殖しますので、栽培終了後は必ず太陽熱、または農薬で防除してから片づけをしてくださいね。(トマト類、豆類、トルコギキョウなどが存在しない屋外で卵を産んだ子孫にはウイルスを引き継ぎません。)



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取材協力

農業専門家 兼 アグリアドバイザー
深田正博(ふかだ まさひろ)

熊本県野菜専門技術員・普及指導員の経験があり、現在は株式会社ニッポーのアグリアドバイザーとして現場目線の栽培指導やセミナーの講演を行う。

ライタープロフィール

【施設園芸.com編集部】