コラム

線虫(センチュウ)駆除に土壌消毒とマリーゴールド?防除と対策方法

2019.01.04

1.肉眼で見えないうえに根絶は困難!厄介すぎる線虫

線虫の種類は50万種以上とも言われており、中には生物農薬として活躍する線虫もいますが、農業で線虫といえば「ネグサレセンチュウ」や「ネコブセンチュウ」などの有害線虫(以下線虫)を思い浮かべる方がほとんどではないでしょうか。
線虫の被害を見つけても、その大きさは1mm弱と小さく透明なので肉眼で見つけることは難しく、しかも一度発生すると完全に駆除することは、ほぼ不可能な厄介な害虫です。

2.連作を避けても線虫を減らせない

一番の線虫対策は連作を避け、寄生対象でない作物を栽培することですが、線虫の代表である「ネコブセンチュウ」や「ネグサレセンチュウ」は寄生する作物種が広範なうえ、雑草にも寄生するので、その密度を減らすことは簡単ではありません。またダイズやジャガイモ等で問題になる「シストセンチュウ」は10年以上も土壌中で生存することもあるので、連作を避けるだけでは被害を抑えることは困難です。

※ネコブセンチュウに侵された根



そこで今回は線虫の防除方法について、熱や農薬による土壌消毒やマリーゴールドのような植物を利用する方法などを紹介していきたいと思います。複数の方法を組み合わせることで、より大きな効果が得られますよ。

3.複数の防除方法を組み合わせた対策を!

1.かん水

昔から行われている方法で、畑を1年間水田にするだけでほぼ線虫の被害が無くなるといわれています。畑地を水田にする余裕がある場合にはとても有効な方法です。




2.熱による土壌消毒

数分間、60℃に晒されることで線虫が死滅することを利用した方法です。熱水や蒸気による土壌消毒が効果的ですが燃料費や専用の設備が必要になるので、被害の程度によって導入を検討しましょう。太陽光を利用する方法は安価ですが、行えるのは盛夏だけです。行う場合は事前にできるだけ畑を深く耕して畝を立て、畝間までしっかり潅水します。その後30日程マルチで被覆します。1週間は40℃以上の温度が持続される必要があるので、作土層の温度を連続して測定すると確実です。深層の土壌には効果がないので、作付け時には予め作った畝を利用します。




3.対抗植物

対抗植物とは、畑で栽培した時に、休閑する以上の線虫密度低減効果のある植物を指します。
作用としてはマリーゴールドのように線虫を殺す物質を根から分泌するもの等が知られていますが、分かっていないものも沢山あります。特に線虫の活動の盛んな6~10月に栽培すると効果的で、長く栽培するほど効果が得られるので3ヵ月は栽培するようにします。鋤き込んで利用する作物の場合は、分解に1ヵ月かかることも念頭に入れておきましょう。




4.農薬

殺線虫剤を用い薬剤を土壌に処理することで土壌中の線虫を退治します。
栽培前に明らかに線虫による被害が予想される場合には、事前に土壌に対して薬剤処理を行うことが重要です。薬剤の使用前に前作の残渣はできるだけ取り除き、土壌を深く耕して大きな土の塊が無いようにしておきます。線虫が卵の状態で越冬している冬期は薬剤に対する抵抗性が強いので、地温が15℃以上になり幼虫がふ化した春先の定植前に使用すると効果的です。燻蒸タイプの薬剤は土壌に注入するとすぐにガス化するので、事前に説明書をしっかり読んでから使用することが大切です。薬剤は作付け前に使用するものが多いですが、生育期間中に散布できるものや天敵を利用した生物農薬も市販されているので状況に応じて使い分けができます。



線虫は一度発生すると完全に駆除することが難しいですが、複数の防除方法を組み合わせることで被害を許容範囲に抑えることは十分可能です。日頃からしっかり対策を行うことで線虫に悩まされない健全な土壌を維持しましょう。

▼参考文献
・オオタバコガの発生と見分け方、農林水産省、植物防疫害虫情報、vol.55, 1998, p.4-5.
・ヨトウムシ類の見分け方と防除、大阪府、大阪府病害虫防除、2001.
・愛知病害虫情報、野菜・花き共通、タバコガ類、愛知県農業総合試験場 環境基盤研究部 病害虫防除室



ライタープロフィール

【haruchihi】
博士(環境学)を取得しています。
持続可能な農業を目指し、有機質肥料のみを使ったトマトや葉菜類の養液栽培を研究してきました。研究機関やイチゴ農園で働いた後、2児の母として子育てに奮闘する傍ら、家庭菜園で無農薬の野菜作りに親しんでいます。