コラム

コナカイガラムシの駆除!殺虫剤が効かないときの対策方法とは

公開日:2019.02.28

1.吸汁害にスス病の原因にもなるコナカイガラムシ

コナカイガラムシは白い粉状のロウ物質に覆われた体長数ミリ程の楕円形をした吸汁害虫です、ミカンなどの果樹だけでなくピーマン、ナスなど施設栽培の果菜類で問題となっています。吸汁害に加え、排泄物がスス病の原因となり植物の外観を損ねたり光合成を阻害して生育不良を招いたりします。

2.農薬を弾く!ロウ物質に覆われた難防除害虫

農薬を使おうにも卵や孵化してしばらくした幼虫、成虫はロウ物質に覆われているので、殺虫剤を散布しても“弾いてしまい”あまり効果が得られません。散布適期は孵化してからロウ物質に覆われるまでの幼虫発生期のみで、その場合でもヘタと果実の隙間に潜り込んでいると農薬がかかり難く、難防除害虫として知られています。

そこで今回は殺虫剤が効かない場合のコナカイガラムシ対策について紹介していきたいと思います。

3.複数の方法を組み合わせ総合的防除方法!

コナカイガラムシの駆除には複数の方法を組み合わせた総合的防除が重要です。




1.侵入防止と補殺

どのような害虫でも同じですが寒冷紗(かんれいしゃ)などの防虫ネットでハウスの開口部を覆い侵入防止を徹底しましょう。ハウス内をよく観察し早期発見に努め、発生を確認したらすぐに補殺することが重要です。スポット的に発生することが多いので密集して発生している部位を切り取って駆除することも効果的です。茶色く木化した硬い茎の場合にはブラシ等でこすり落としてから処分すると楽ですよ。
▼寒冷紗(かんれいしゃ)とは作物を覆って保護する被覆資材の一つです。




2.天敵利用

かつては生物農薬として寄生蜂が市販されていましたが現在は市販の天敵製剤はありません。しかし寄生蜂としてクロバチ類やトビコバチ類など、捕食者としてタマバエ類やヒメカゲロウ類、テントウムシ類、ヒメハナカメムシ類など様々な土着天敵が存在します。土着天敵を温存することでコナカイガラムシの発生をゼロにすることは難しくとも密度増加を防ぐことは可能です。天敵を活かすにはカメムシ類によく使われる合成ピレスロイドのような天敵に悪影響の大きい薬剤の使用はできるだけ避けることが重要です。

実は、自分でコナカイガラムシの天敵を採集できる方法があります。
2.5cm×12cmの黒マジックテープに毛糸を絡め、毛糸の隙間にコナカイガラムシの卵を約10個と幼虫や成虫を付けます。次にマジックテープを野外の枝に10日程固定しておき、マジックテープごとビニール袋へ回収すると捕食者やコナカイガラムシに寄生した状態の天敵を捕獲できます。
寄生天敵はビニール袋ごと25℃位の暖かい環境に2ヵ月程おくと羽化します。




3.農薬の散布時期を見直す

ロウ物質に覆われていない一齢幼虫は農薬が効きます。特に最初に発生する第一世代は孵化時期が揃いやすいので薬剤防除の最適期です。一齢幼虫は1mm程と肉眼での確認が難しいので国や県の “発生予測情報”に注目しましょう。
日本植物防疫協会が運営している「JPP-NET」という会員制の情報提供サービス(有料)では、国や都道府県が発表する害虫発生予察情報が発表当日に登録されているため、常に最新情報を確認することができます。病害虫防除ほか、気象情報や農薬情報、植物検疫関係等に関する情報も公開されています。


  • ▼日本植物防疫協会HP
http://www.jppa.or.jp/information/jppnet.html


4.食酢の散布

酢は特定農薬に指定されており種子消毒などでは有効ですが、コナカイガラムシの場合には農薬と同様にロウ物質に弾かれてしまうためあまり効果は期待できず、薬効も確認されていません。


農薬だけでは防除の難しいコナカイガラムシに対しては物理的防除や生物的防除など複数の方法を組み合わせた総合的防除が重要です。天敵を活用する場合には天敵に優しい農薬を選択することを忘れないようにして下さいね。




●参考サイト
・コナカイガラムシ類、高知県病害虫防疫所、2002.
<http://www.nogyo.tosa.pref.kochi.lg.jp/info/dtl.php?ID=4748>
・フジコナカイガラムシの天敵が効率的に採取できる天敵誘引トラップ、福岡県農林業総合試験所
<http://farc.pref.fukuoka.jp/farc/seika/h17a/08-02.pdf>



ライタープロフィール

【haruchihi】
博士(環境学)を取得しています。
持続可能な農業を目指し、有機質肥料のみを使ったトマトや葉菜類の養液栽培を研究してきました。研究機関やイチゴ農園で働いた後、2児の母として子育てに奮闘する傍ら、家庭菜園で無農薬の野菜作りに親しんでいます。