コラム

知らなきゃ損!農薬RACコードを使った効果的な防除とは

公開日:2019.08.23

1.同系統の農薬連用は命取り!

病害虫の防除に欠かせない農薬ですが、同じ系統の農薬を繰り返し使うことで農薬が効かなくなる“薬剤抵抗性の発達”が深刻な問題となっていまいす。農薬を使用する場合には異なる系統の農薬を用いたローテーションを組むことが重要です。

しかし沢山のメーカーや種類がある農薬の中から異なる系統を選ぶことは簡単ではありません。系統とは作用機構(効く仕組み)のことです。農薬ラベルには商品名や有効成分は書いてあっても作用機構は書いてないことがほとんどです。

農薬の系統は作用機構分類を表すRAC(ラック)コードを調べることで簡単に知ることができます。そこでここからはRACコードを使った防除方法についてお伝えしたいと思います。

2.ラベルを見てもわからない!農薬の系統はRACコードで確認

RACコードは農薬の作用機構分類を表し、国際団体CropLife International(CLI)が取りまとめています。【殺菌剤はFRACコード】、【殺虫剤はIRACコード】、【除草剤はHRACコード】に分けられています。農薬取締法に基づき登録されている農薬については日本語に翻訳されたRACコードの分類表を農業工業会のホームページで見ることができます。

殺菌剤のFRACコードは作用が生じる部位によって決まります。
例えば同じ核酸合成代謝を阻害する農薬でもRNAポリメラーゼⅠに効く農薬は「4」、DNA/RNA生合成に効く農薬は「32」という具合です。他にも、複数の作用機構を持つ場合は数字の前に「M」がつきます。天敵やフェロモン剤のような対象外のものは「-」で表されます。




殺虫剤の場合には作用機構を数字で、有効成分の違いをサブグループとしてアルファベットで表しています。
例えば作用機構がアセチルコリンエステラーゼ阻害でサブグループがカーバメート系の場合は「1A」、サブグループが有機リン系の場合は「1B」という具合です。

3.RACコードを使った効果的な防除方法

RACコードを活用した防除方法をご紹介します。
作用機構の詳しい中身が分からなくてもRACコードだけで異なる系統の農薬を選ぶことができます。農薬のローテーションを組む場合には殺菌剤の場合にも異なる数字の農薬を選ぶのが原則です。

▶殺菌剤の場合にはFRACコードの分類表に耐性についての情報も記載されているので選択の参考にしましょう。
▶殺虫剤はカーバーメート系や有機リン系、ネオニコチノイド系などよく「○○系」と呼ばれていますが、作用機構ではなくその下のサブグループを指しているので注意が必要です。
例えばカーバメート系と有機リン系のRACコードは「1A」と「1B」で同じ作用機構なのでしっかりとIRACコードを確認するようにしましょう。

RACコードの分類表では農薬の商品名まではわからないので、実際の農薬選択の場面では農業工業会のサイトで公開されている商品名とRACコードが対応した「商品名別RAC検索表」が便利です。この表は殺菌剤、殺虫剤、除草剤の各コードが1つにまとめられていて大変使い勝手の良い表です。

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  • ●<商品名別ラックコード検索表(2019年5月版)>.Excel
https://www.jcpa.or.jp/labo/xlsx/mechanism_rac.xlsx

参照サイト:農薬工業会




また現代農業のサイトでも作用機構分類一覧が公開されています。とても見やすい表になっており、主な農薬名も紹介されています。また、RACコードをシールに印刷して農薬の袋やボトルに貼りつけられるテンプレートが公開されており、こちらもおすすめです。

  • ●<作用機構分類一覧>.PDF
http://www.ruralnet.or.jp/gn/201706/image/rotation.pdf

参照サイト:農文協

  • ●<RACコードシール用テンプレート>
http://www.ruralnet.or.jp/gn/201706/tokusetsu.htm

参照サイト:農文協



農薬の系統選択に悩んだらぜひRACコードを活用してくださいね。農薬の使用には抵抗性発達の他にも様々な危険性や面倒がありますが、農薬全般の情報は農薬インデックスのサイト、希釈倍率計算には無料アプリ、混用散布の可否には混用表、散布には動力散布機など各種の便利アイテムを使って少しでも楽をしちゃいましょう。




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【参考サイト】
●農薬工業会、農薬の作用機構分類(RACコード)
<https://www.jcpa.or.jp/labo/mechanism.html>



ライタープロフィール

【haruchihi】
博士(環境学)を取得しています。
持続可能な農業を目指し、有機質肥料のみを使ったトマトや葉菜類の養液栽培を研究してきました。研究機関やイチゴ農園で働いた後、2児の母として子育てに奮闘する傍ら、家庭菜園で無農薬の野菜作りに親しんでいます。