コラム

アスパラガス栽培で気を付けたい病気・害虫対策【初心者編】

公開日:2019.09.24

1.様々な病気・害虫に狙われるアスパラガス

アスパラガスは日当たりの良い環境でしっかりと株を育てれば10年程は収穫を続けることができます。育苗や定植の手間が少なくて済む一方、長期にわたって病害虫に注意が必要です。高額な大苗を植えて、すぐに病害虫にやられてしまったのでは元も子もありません。


有名な病気は茎枯れ病で、雨が続くと多発し露地栽培やプランター栽培では特に被害が大きくなります。土壌病原菌による連作障害も重要な問題となっています。また、天敵のいない特殊な閉鎖環境であるハウス栽培ではハムシなどの害虫にも気を付ける必要があります。

そこでここからはアスパラガス初心者向けに、気を付けたい病害虫対策についてお伝えしていきます。

2.アスパラガス栽培の代表的な病気と対策




茎枯病

【特徴】
糸状菌が原因の主に空気伝染性の病気です。茎に紡錘形の病斑ができ、病斑上には黒色の小粒点が多数見られます。酷くなると立茎数が減ったり枯死したりします。雨が続くと多発し、露地栽培で特に被害の大きい病気です。

【対策】
立茎開始直後から農薬の予防散布を行うことが重要です。次作に病原菌を持ち込まないよう秋冬に黄化した茎葉を刈り取り処分します。根株が残らないように地際で刈るか培土しましょう。




斑点病

【特徴】
糸状菌が原因の主に空気伝染性の病気です。茎や枝に紡錘形の小斑点ができます。病斑の外側は紫褐色、内側は灰褐色をしています。酷くなると細い枝から枯れていきます。露地、ハウスに依らず一般的に発生します。

【対策】
風通しを良くすることが重要で、立茎数を7本程度に抑え倒状に気を付けます。病気の発生前や発生初期の農薬を散布も効果的です。




疫病

【特徴】
疫病菌が原因の土壌伝染性の病気で連作障害の要因として知られています。地際あたりに水浸状の病斑ができ若茎は萎凋することもあります。酷くなると立茎数が減り根部が腐敗し枯死します。目視では立枯病や株枯病との区別が難しいので診断は農業改良普及センターなどに相談しましょう。

【対策】
ほ場の排水を良くすることが最重要です。発病した株はすぐに抜き取り処分し、農薬を散布します。耐病性のある品種を使うことも有効です。亜リン酸肥料の施用は枯死株を減らす効果が知られています。

3.長年の収穫に欠かせない害虫対策




ジュウシホシクビナガハムシ

【特徴】
成虫は体長7~8mmで、全体が橙色で14個の黒点があります。萌芽が始まる春先から越冬成虫による被害が出始めます。幼虫、成虫ともに茎葉を食べ、特に若茎を好んで食べます。食害された茎は変形、変色し商品価値が著しく低下します。

【対策】
ハウス開口部に防虫ネットを張り侵入を防ぎます。春先に成虫を見つけたら農薬を散布して防除に努めましょう。散布は成虫の活動する日中に行うと効果的です。収穫後にも防除を続けると越冬密度が低くなり次の収穫時の被害を減らすことができます。




美味しいアスパラガスを長年収穫できるようにしっかりと病害虫対策を行いましょう。
基本的な栽培方法については「アスパラガス栽培の基礎!株分けや肥料のコツを解説」という記事で紹介しているのでそちらを参考にしてくださいね。



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▼参考サイト
・長野県農業関係試験場、農作物病害虫データベース 野菜
<https://www.agries-nagano.jp/pest/genre/genre03>
▼参考文献
・アスパラガス疫病等連作障害総合対策マニュアル、アスパラガス安定生産コンソーシアム、中央農研、2019.
・長野県病害虫防除所「アスパラガス疫病」について、2017.



ライタープロフィール

【haruchihi】
博士(環境学)を取得しています。
持続可能な農業を目指し、有機質肥料のみを使ったトマトや葉菜類の養液栽培を研究してきました。研究機関やイチゴ農園で働いた後、2児の母として子育てに奮闘する傍ら、家庭菜園で無農薬の野菜作りに親しんでいます。








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