コラム

アスパラガス栽培【上級者編】収量・品質をアップさせる3つのポイント!

公開日:2019.12.13

1.気軽に始めやすくなったアスパラガス栽培

アスパラガスは日当たりが良ければプランターでも栽培することができます。この頃は冬が近くなるとホームセンターでも植えた年から収穫が楽しめる大苗が販売され、アスパラガスの栽培はより身近なものになってきています。
これまでの記事では初心者向けに肥料の与え方や株分けといった栽培方法や、代表的な病気や害虫についてご紹介しました。



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2.アスパラガスの収量・品質アップに重要な「株の力」と「質」

今回は上級者編として収量や品質をアップさせるポイントについてご紹介します。
注目するのは株の力といえる「貯蔵根に蓄えられる養分量」と株の質といえる「地下茎の生長点やリン芽の数や太さ」です。収量・品質アップを目指して地中の状態をしっかりと想像しながら株の力と質を良い状態へ導きましょう。





3.収量・品質アップに必要な【3つのポイント】

ここからは具体的なポイントとして土づくり、立茎管理、かん水の3点について紹介していきます。




1. 土づくり

アスパラガスの根は深さ70cm、幅150cm程になります。一度定植したら何年も植えたままなので定植前に望ましい根圏環境を整えるべく、しっかりと土づくりを行いましょう。

アスパラガスは湿害に弱く、乾燥に耐性はあるけれど収量が低下するため排水性と保水性が良好な土壌を好みます。目標は有効土の厚さが40cm以上、ち密度が中山式硬度計で20mm以下、地下水位が50cm以下、pH5.5~6.5です。また10aあたり10~15tの完熟堆肥を投入して土壌の保水性を高めましょう。

定植後は毎年、通路部分に堆肥や有機質資材を施用し畝への培土を行いほ場全体の土づくりに努めます。

2.立茎管理

根株は地下茎の先端に生長すると若芽として収穫するリン芽を作りながら大きくなります。同時に地下茎の外側には側芽が作られて新しい生長点となります。複数の生長点が独立して発達し、生長点にリン芽ができることで新たな収穫が増えていきます。

このことを踏まえ、定植2年目までは生長点ごとに立茎させ、生長点を増やして株を広げるようにします。立茎位置を最優先し畝幅に均等に配置するようにし、同じリン芽群から2本立茎させないようにしましょう。
4年生以降の成株は生長点ごとの立茎にこだわらず成長点数を維持するようにします。立茎本数の目安は1株あたり3~4本、うねあたり10~12本です。茎の太さは10~14mmが良く、余分な茎や細い茎は根元で刈取ります。

立茎は株の貯蔵養分量が低下してきたら開始します。具体的には収量がピーク時の30%減やL級以上が30~40%減となった時、穂先の開きが目立ってきたり曲がり茎が増えてきたりと品質が低下してきた時です。

3.かん水

かん水を効果的に行うことで大きな増収が期待できます。
光合成や同化養分の流転に多くの水分を必要とすることに加え、若芽の萌芽期間中に土壌水分が不足するとリン芽が一時的に休眠状態になってしまうからです。かん水の効果は増肥より大きいといわれています。

かん水は株の生長にあわせて畝全体が湿るように、けれども長時間滞水しないように気を付けます。1回のかん水量の目安はpF2.3以下で、テンションメーターを使うと簡単に判断できます。かん水時には茎枯病などの病害対策として茎葉をできるだけ濡らさないようにすることも重要です。
萌芽が止まってからもかん水を継続すると貯蔵養分量が増え、貯蔵養分量に大きく左右される春の収穫において増収や品質向上が見込めます。

根株の生長と萌芽の関係などアスパラガスの性質をしっかりと把握し栽培上級者を目指しましょう。地中の生長も想像しながら土づくり、立茎管理、かん水の3つのポイントを抑えることが収量・品質アップの近道です。



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▼参考文献
〇長野県園芸作物生産振興協議会,アスパラガス収量性向上マニュアル
〇山口県農林総合技術センター,山口県アスパラガス栽培管理マニュアル


ライタープロフィール

【内村耕起】
宮崎県の牛農家生まれ。大学院で植物工場での廃棄物利用に関する研究に従事したのち、全国の農家を訪ね歩いてファームステイ。岩手県の自然栽培農家で2年間の農業研修を経て、現在は宮崎県の山間部の村で自給的農業を営む傍ら、ウェブライターなどもしています。