コラム

萎黄病の防除と対策。発生後すぐにやるべき3つのこと

公開日:2020.10.26

1.葉の黄化、萎凋から枯死に至る萎黄病(いおうびょう)

萎黄病(いおうびょう)とは名前の通り 葉が黄化、萎凋する病気 です。葉にねじれなどの奇形が生じることもあります。初期には株の片側だけに現れる ことが多いのですが、徐々に全身に及び、酷い場合は枯死 します。イチゴやアブラナ科でよく知られた病気ですが、トマトやネギなど様々な野菜に発生します。
萎黄病の原因菌は作物によって異なりますが、野菜では カビ(イチゴ、キャベツ、ダイコンなど) か、ファイトプラズマ(ネギ、ニンジン、トマトなど) が引き起こします。どちらにしても、今のところ 治療効果の期待できる薬剤は無い ため、徹底した予防と発生後の迅速な対応が重要です。

そこでここからは、萎黄病の防除方法や発生した場合にすぐにやるべき3つの対策についてお伝えしていきたいと思います。

2.萎黄病の効果的な防除方法

防除①:土壌消毒

萎黄病は典型的な土壌伝染性の病気なので、発病圃場では土壌消毒が効果的です。クロールピクリンダゾメットⓇ微粒剤 などで 土壌を燻蒸処理 しましょう。また圃場に持ち込むものが病原菌に汚染されていないか常に気を付けましょう。




防除②:抵抗性品種の導入

罹患性品種を避け、抵抗性品種を栽培 するようにしましょう。特にキャベツやダイコンでは抵抗性品種(YR(Yellow Resistance)品種)の開発により被害が減少していますので積極的な導入がおすすめです。




防除③:健全苗の定植

本圃に罹患株を持ち込まないように、定植には健全苗を選ぶ ことが重要です。イチゴでは親株が萎黄病に罹っているとランナーから採った苗も病気に罹っているので、特に注意しましょう。



3.発生後すぐにやるべき3つの対策

対策①:抜き取り処分

発病株は見つけ次第抜き取り、処分しましょう。治療方法がないため、抜き取り処分が最も効果的かつ重要な対策 になります。「一分一秒でも早く病気に気づける育て方」を心がけましょう。感染株の放置は被害拡大だけでなく、次作の感染源にもなるため丁寧に除去しましょう。


対策②:媒介害虫の防除

アブラムシがウイルス病を媒介するように、ヒメフタテンヨコバイ などが野菜を吸汁した際に ファイトプラズマを媒介して萎黄病を引き起こします。 病気が発生したということはヒメフタテンヨコバイがいるということです。農薬を散布するなどして ヨコバイの防除を徹底 しましょう。

※ヨコバイ






対策③:感染源の雑草退治

ヒメフタテンヨコバイは野菜より雑草を好んで餌としており、萎黄病に罹っている雑草を吸汁してから野菜を吸汁することで病気が発生します。圃場周辺をチェックし、宿主雑草であるカヤツリグサやタネツケバナなど を見つけた場合はすぐに除去し、感染源を無くしましょう。

※対策①.と対策③.は発生後だけでなく普段の防除にも取り入れると効果的です。




病徴から萎黄病との診断を下したら、すぐさま今回ご紹介した対策を実行してみてください。萎黄病は土壌伝染するので素早い対処は今作だけでなく、次作の被害低減にも繋がりますよ。




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▼参考サイト
〇タキイ種苗
https://www.takii.co.jp/
〇イチゴ 萎黄病、茨城県
https://www.pref.ibaraki.jp/nourinsuisan/nosose/byobo/boujosidou/shiryoshitsu/shiryo-ichigoio.html
▼参考文献
葉根菜類における病害抵抗性育種の現状と展望、小原隆由、植物防疫、69巻4号、p257-261、2015.
http://jppa.or.jp/archive/pdf/69_04_45.pdf

ライタープロフィール

【haruchihi】
博士(環境学)を取得しています。
持続可能な農業を目指し、有機質肥料のみを使ったトマトや葉菜類の養液栽培を研究してきました。研究機関やイチゴ農園で働いた後、2児の母として子育てに奮闘する傍ら、家庭菜園で無農薬の野菜作りに親しんでいます。








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