コラム

やっかいな雑草オヒシバを対策しよう!根まで枯らす除草剤「ナブ乳剤」の効果的な使い方

公開日:2025.09.29

オヒシバは、夏になると一気に勢力を増す厄介な雑草です。放置すれば、旺盛な繁殖力であっという間に圃場が覆われてしまいます。非常に生命力が強く、何度抜いても増え続けるため、管理が追いつかないといった経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
この記事では、イネ科一年生雑草である「オヒシバ」に効果がある除草剤「ナブ乳剤」の効果的な使い方と注意点について解説します。

1.根まで完全に枯らす除草剤「ナブ乳剤」とは?

施設栽培では、ビニールハウス周辺の雑草対策は欠かせません。ハウス内に害虫を入れないためには、防虫ネットの設置と併せて虫の発生源となる雑草を除去することが必要不可欠です。
雑草の中で最も厄介な雑草が「オヒシバ」です。根を広く張り巡らすため、簡単には抜き取れず、すぐに再生します。他の植物が育ちにくいような過酷な環境でもたくましく生育します。

△オヒシバ

そこで除草剤「ナブ乳剤」の出番です。
ナブ乳剤は、有効成分にセトキシジム(Sethoxydim)を含む除草剤で、オヒシバを含む「一年生のイネ科雑草」に効果を発揮します。茎葉処理型として作用し、生育期の一年生イネ科雑草に散布することにより、速やかに生長を停止させ、根まで枯死させる薬剤です。

△ナブ乳剤散布後(約3週間)

近年では、非選択性除草剤の主成分として使用されている「グリホサート」に対して抵抗性を持つオヒシバも確認されていますが、ナブ乳剤は根まで完全に枯らすため、抵抗性オヒシバ対策にも効果的です。

△ナブ乳剤の散布試験 ※茨城県で採取したグリホサート抵抗性オヒシバに対する効果(日本曹達(株)社内試験 温室)

また、ナブ乳剤には全面散布が可能な登録作物が50種類以上あります。農薬登録がある農作物であれば、他の作物を枯らす心配もありません。作物の上から全面散布できます。

※稲、麦類、トウモロコシ等のイネ科作物にかかると薬害が発生する恐れがあります。対象作物以外に噴霧器の薬剤がかかる「ドリフト」に注意しましょう。
※水稲畦畔・果樹園下草には登録がないので使用できません。適用内容をご確認ください。

2.オヒシバ対策に効果的なナブ乳剤の使い方と注意点

ナブ乳剤の効果を発揮するためには以下5つのポイントを押さえておきましょう。

ポイント1.希釈方法

ナブ乳剤は原液を希釈して散布する乳剤タイプの薬剤です。
希釈倍率は単位面積当たりの薬量を計算します。
■ 10aあたり:原液150~400ml 散布水量100-200L(250~1000倍相当)に希釈

※作物や雑草の成長段階により使用薬量が変わります。使用前に必ず製品ラベルをご確認ください。

ポイント2.散布機のノズル選定

除草剤用の散布ノズルは霧状に散布できないものがあるため、効果が十分に発揮されない場合があります。霧状に散布できるノズルを使用しましょう。

ポイント3.散布時期

オヒシバは4月から6月にかけて発芽し、梅雨明けから夏にかけて一気に繁茂するのが特徴です。発芽期や開花期には効果が劣ることがあります。そのため、3-5葉期のタイミングでの除草が最も効果を得られます。
また、草丈が大きくなると効果が薄れるため、3~5葉のタイミングを狙うのが理想的な撒き方です。「草丈が30cmまで」を目安にすると良いでしょう。

ポイント4.散布の日

散布は雨の日を避けて晴天か曇天で風の少ない日が理想です。
また、散布後すぐに雨が降ると効力が弱まる恐れがあるため、散布後、6時間程度は雨が降らない日を選びましょう。薬剤が乾けば、その後の雨でも効果に影響しません。浸透が早く、安定した効果を発揮します。

ポイント5.散布方法

葉の上からまんべんなく散布します。
すでに花が咲いている場合、散布翌日以降に刈り取ると再生することはほとんどありません。



ナブ乳剤を使用する際の注意点

ナブ乳剤を安全かつ効果的に使用するためには、以下の点に注意が必要です。

土壌処理効果がないため、後から生えてくるオヒシバ(イネ科雑草)とイネ科雑草以外の雑草には効果がありません。
オヒシバが大きく生長していると、ナブ乳剤単独の除草は効果が不十分な場合があります。他の接触型除草剤との体系処理や混用処理、刈り取りとの組み合わせも検討するのがおすすめです。

土壌処理効果とは

雑草の種が発芽する前に、土の中で抑える防除方法




非農耕地では「樹木等」の適用で散布します。

樹木等とは 農作物の栽培・管理がされていない場所や植栽地を除く場所(公園、庭園、堤とう、駐車場、道路、運動場、宅地等、植栽地を除く樹木等の周辺地)の周辺地です。

※樹木が植えてある土地(レンガや庭石等で区画された場所)や樹幹下での散布は避けてください
薬量 10aあたり 150~400ml(250~1000倍相当)
希釈水量 10aあたり 100~200L(250~1000倍相当)

※樹木が植えてある土地(レンガや庭石等で区画された場所)や樹幹下での散布は避けてください、「樹木等」登録の農薬や非農耕地用除草剤は使用できません。





ナブ乳剤は選択性除草剤です。
イネ科一年生雑草に対してのみ高い効果を示します。グリホサート系のような非選択性除草剤と異なり、雑草の対象種類が限定されています。オヒシバ以外の雑草が混在している場所では、作用の異なる薬剤との組み合わせを検討しましょう。

3.オヒシバが枯れない?その理由と対策

オヒシバが枯れていないように見える場合

ナブ乳剤は使用後、オヒシバが完全に枯死するまで一カ月程度かかる場合があります。
非選択性剤と比べて効果がゆるやかに見えることもありますが、発芽抑制効果に優れています。じっくりと時間をかけて根まで枯らすのが大きなメリットです。 特に施設園芸のような管理区域が限定されている環境では、計画的に使用することで非常に高い効果を発揮します。

オヒシバが再生したように見える場合

オヒシバは長期間にわたって継続的に発生し、生育も速いため、土壌処理効果のないナブ乳剤や非選択性除草剤では、効果が乏しいように感じられることがあります。しかし、実際には処理された株は枯死しています。その後も発生が見られる場合は、再度処理を行ってください。

抵抗性のオヒシバが混在している場合

ナブ乳剤との体系処理や混用処理がおすすめです。 グリホサート剤(またはグルホシネート剤)と体系または混用で処理することで、抵抗性のオヒシバが混在している場所でも素早く効果を発揮します。根まで枯らし、再生を抑制する他、広葉雑草にも高い効果を示します。



オヒシバ対策は、病害虫の抑制や作業効率の向上に欠かせない重要な作業です。適切な時期・方法で使用し、安全管理と作物への影響を考慮した運用で、一年生イネ科の雑草対策にお役立てください。

※除草剤を使用する際には、栽培作物や芝など対象植物への影響を確認してから使用することが重要です。農薬使用基準や使用回数、作物との適合性については最新の農薬登録情報(農林水産省やメーカー資料)を必ず確認しましょう。




動画




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ライタープロフィール

【施設園芸ドットコム 編集部】
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