コラム
公開日:2018.09.07
施設園芸用ハウスの中でも”パイプハウス”は台風などの自然災害に弱いのが実態です。
今回は台風が近づいてきた時に、どのような対策をすれば良いかをご紹介します。
まずは天気予報をこまめにチェックし、段取り良く早めに対策をすることを心がけましょう。
入り口、天窓などをしっかり戸締りすることが基本です。
ただし、台風シーズンにハウスを閉め切るとハウス内の湿度が上昇しカビや病気等が発生しやすくなります。戸締りが基本ですが、必要以上に早く閉め切ってしまうのも考えものですので注意しましょう。
また、破れ等がある古い被覆資材を利用しているパイプハウスの場合は剥ぎ取ってしまった方が被害が少なく済む場合があります。台風の勢力や風向き等から総合的に判断するようにしてください。
ハウス周りに飛散する物がないか確認し、整理しておきましょう。
周辺から物が飛んできて被覆資材に少しでも穴が開けば、そこから強風がハウス内に入り、被覆資材全体を内側から吹き飛ばしてしまいます。
また、排水溝が詰まっていないかも確認しておきましょう。パイプハウスは基礎部分が少しでも浸水したら極端に弱くなってしまいます。
防風ネットは風圧を軽減する効果がありますので、あるのとないのとでは被覆資材への負荷が異なります。積極的に活用しましょう。
また、ハウスの肩の部分から地面に向かってアンカーを打つと効果的です。強風による浮き上がりを防止することができます。
※写真提供:日本ワイドクロス株式会社様
ヒートポンプエアコンは、基本的には稼働を停止させた方が無難です。
室外機はブルーシートで覆い、バンドで抑えるようにしましょう。強風下で稼働すると、ファンの部分に負荷がかかってしまい故障の原因になります。
ハウス内部から外部に排水するドレンホースは稼働停止中でも注意が必要です。強風がドレンホースをつたいハウス内に入ってきます。その勢いでドレンホース内に溜まった汚れがハウス内に勢いよく吹き飛んできます。ホース内を清掃しておくかキャップで閉じましょう。
換気扇がある場合は必ず稼働させておきましょう。
ハウス内部の気圧を下げることでハウス全体の浮き上がりを防止する効果があります。
少しでも被害を抑えるためには、ハウスの”強度アップ”を行うことが大切です。
ハウスの風害対策として、アーチパイプと直管パイプ(奥行き)をダブルに止める専用部材「トートラス®」(東都興業株式会社)が販売されています。トートラス®は、トラス構造によりハウスの上から・横から・斜めからのハウス全体の強度を高めます。
被覆資材の破れや穴は小さくても危険です。強風が入って内側から吹き飛ばされるリスクがあります。細かくチェックし補修しておきましょう。
ハウスサイドのばたつきを抑えるためのバンドです。防風ネットと併用するなどしてサイドを補強しましょう。
特別なグッズではありませんが、室外機等ハウス外にある機材を保護することができ、あると重宝します。
いざという時の安心発電機!「トラクタージェネ」/長田通商(株)
台風対策はパイプハウスの状況によって変わります。
“風がハウス内に入ってこないようにすること”が基本ですが、破れた被覆資材の場合は剥がしてしまった方が良い場合もあります。破れた部分から風が侵入し、被覆資材だけでなく骨組みまで吹き飛ばされてしまうという被害がよくあるためです。
パイプハウスの状況と天気予報をよく確認して対策をとるようにしましょう。
また、雇用者がいる場合は対策の手順などをマニュアル化し、対策漏れが無いようにしましょう。
ライタープロフィール
【uen01】
1反のハウスで夏秋ミニトマトの養液栽培(不織布ポットを利用した少量培地栽培)を行なっています。
元営農指導員のベテラン農家指導のもと、様々な実証実験を行いながら生産しております。元金融マンというバックグラウンドを生かして、数字に基づいた栽培及び経営を行なっています。